大ヒット映画となったのに、その出演オファーを断っていた13人の俳優
ハリウッド俳優に、スケジュール問題はつきものです。そのため、本当は“あの俳優”が“あの名作”に起用されていた可能性があったと言われる事例は数多くあります。今回は、その中から13人の人気俳優に焦点を当てました。
ダニエル・クレイグのいない『007 カジノ・ロワイヤル』は想像できませんし、キアヌ・リーブスなしの『マトリックス』もありえないと思われる方は少なくないことでしょう。ですが、驚くなかれ、この2人がそれぞれの映画で演じた役は、まったく違う俳優によって演じられていた可能性もあったのです。
今回は、スケジュールの都合からよくある「クリエイティブの方向性の違い」まで、さまざまな理由で大ヒット映画の大役を辞退した俳優たちを紹介します。
レオナルド・ディカプリオ:『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のアラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)
米エンタメニュースサイトの「Deadline」は2011年、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のアラン・チューリング役の有力候補に、レオナルド・ディカプリオが挙がっていることを伝えていました。
しかし1年後、エンタメメディア「ヴァラエティ」は、ディカプリオがもはやこの役を検討していないことを報道しました。
最終的には、ベネディクト・カンバーバッチがこの数学者の役を演じることに…。そうして彼は、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。
チャーリー・ハナム:『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のクリスチャン・グレイ(ジェイミー・ドーナン)
チャーリー・ハナムが大きな話題になった、同名小説を原作とした『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を降板したのは有名なエピソードで、この役は最終的にジェイミー・ドーナンが演じることになりました。
ハナムは出演していたドラマ『サン・オブ・アナーキー』やギレルモ・デル・トロ監督作品の映画『クリムゾン・ピーク』の撮影で多忙となっていたため、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のサム・テイラー=ジョンソン監督に電話して降板を伝えた…とのこと。
ハナムはエンタメメディア「ヴァラエティ」の取材に、「電話越しに20分くらい大泣きしました」とし、「当時は私生活で多くの問題が起きていて、感情的にも精神的にも参っていました。とにかく何も手につかない状態になって、あらゆることにある種のパニック障害を起こしていたんです」と、語っています。
エミリー・ブラント:『アイアンマン2』のブラックウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の女性ヒーローであるブラックウィドウが初登場した『アイアンマン2』で、エミリー・ブラントはもう少しでアベンジャーズの一員になるはずでした。
しかしながら、映画『ガリヴァー旅行記』と撮影スケジュールがバッティングしたことで、彼女は降板することになりました。
ブラントはエンタメメディア「MTV News」に、「スケジュールが重なっていた映画の1本でした。ですから、うまく調整できなかったのは残念です。当時は多忙であったため、とにかく自分のメンタルを保つためにも降板しなければいけなかったんですね…」と語っています。
エマ・ワトソン:『ラ・ラ・ランド』のミア(エマ・ストーン)
アカデミー賞の多くの部門に受賞・ノミネートされたミュージカル映画の『ラ・ラ・ランド』には、もともとエマ・ストーンではなく、エマ・ワトソンが出演することが伝えられていました。
しかしながらワトソンは、『美女と野獣』の撮影に集中するため、このオファーを蹴ることになりました。
彼女は衛星ラジオ「Sirius XM」のインタビューの中で、「乗馬やダンス、3カ月の歌のトレーニングがあることがわかっていましたし、そのためロンドンに居なければなりませんでしたので…」とコメントしました。
「『美女と野獣』は、準備もなく撮影に入れるようなものではありませんでした。事前にやることはたくさんありましたし、その準備もどこでもできるわけではありませんでした。ですので、スケジュールの問題でうまくいかなかったんです」と、ワトソンは語りました。
ヒュー・ジャックマン:『007 カジノ・ロワイヤル』のジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)
ヒュー・ジャックマンはエンタメメディア「ヴァラエティ」のインタビューの中で、『007 カジノ・ロワイヤル』でピアース・ブロスナンの後を継ぐ、新たなボンド役への打診があったものの、それを辞退したことを明かしています。
「当時は脚本が度を超えていて、クレイジーに感じられました。もっと地に足のついたリアルさが必要だと感じたことを伝えると、『口出しはできません。契約するだけです』と言われました」と、ジャックマンはコメントしました。
また、「『007』シリーズと『X-MEN』シリーズの両立にも懸念がありました。なにせ、他のことが何もできなくなりそうでしたから…」と、ジャックマンは続けて語りました。
グウィネス・パルトロウ:『タイタニック』のローズ・デウィット・ブケイター(ケイト・ウィンスレット)
グウィネス・パルトロウは2015年、ラジオパーソナリティのハワード・スターンに『ブギーナイツ』のある役を断った話をしましたが、『タイタニック』のローズという象徴的な役を断ったことについては話したがりませんでした。
そのことについてパルトロウは、「私が役を断ったことを話しているなんて母が知ったら、殺されそうでしたね」と語り、「過去は変えられませんね」と付け加えています。
ベニチオ・デル・トロ:『スター・トレック イントゥ・ダークネス』のカーン(ベネディクト・カンバーバッチ)
『スター・トレック イントゥ・ダークネス』で、ベニチオ・デル・トロは、おなじみの悪役カーンを演じる話が進んでいました。
しかし、エンタメ情報サイトの「ヴァルチャー」によれば、デル・トロは製作会社とギャラの折り合いがつかず、結局、交渉を打ち切ったと言います。
こうしてカーン役は、ベネディクト・カンバーバッチが演じることになりました。
マーク・ウォールバーグ:『ブロークバック・マウンテン』のイニス・デル・マー(ヒース・レジャー)またはジャック・ツイスト(ジェイク・ギレンホール)
マーク・ウォールバーグは、同性愛ロマンス映画の『ブロークバック・マウンテン』について、「脚本を読んで少し気持ち悪く感じました。理由は、とても露骨で生々しい描写であったからです」と語っています。
「(監督の)アン・リーに、『あなたは才能があって、好きだけど...』とあまり気が進まないことを伝えると、幸い声がかかることはありませんでした」と、ウォールバーグは語りました。
結局本作には、ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールが出演し、いずれもアカデミー賞主演男優賞と助演男優賞にノミネートされています。
ウィル・スミス:『マトリックス』のネオ(キアヌ・リーブス)
ウィル・スミスは、『マトリックス』のネオ役のオファーがありましたが辞退。この役は、最終的にキアヌ・リーブスが演じることとなりました。
スミスはライフスタイルメディア「Wired」の取材に、「説明を聞いてもイメージできませんでした」とし、「キアヌの演技を見ました。こんなことはめったに言いませんが、自分だったら台無しにしていたかもしれません。当時は俳優として、あの映画を成立させられるほど賢くはありませんでした。一方でキアヌは、違いました。映画や監督の伝えたい物語をカタチにし、一瞬一瞬を自然に演じていたんです」と語っています。
スミスはその後、『ジャンゴ 繋がれざる者』のジャンゴ役のオファーも辞退しています。「ハリウッド・レポーター」によれば、彼はこの映画について「復讐劇ではなく、ラブストーリーであるべき」と感じていたようです。
ジョン・トラボルタ:『フォレスト・ガンプ/一期一会』のフォレスト・ガンプ(トム・ハンクス)
人生とキャスティングの決定は、タイミングによって何が起こるかはわかりません。
『フォレスト・ガンプ/一期一会』を手がけたロバート・ゼメキス監督は、ジョン・トラボルタが『パルプ・フィクション』に出演するためにフォレスト・ガンプ役を辞退した後、主役のキャスティングをどうしようかと悩んでいたはずです。
そんな最中、フォレスト・ガンプ役はトム・ハンクスが演じることとなり、丸く収まりました。そして、人々の記憶に残る作品とキャラクターが誕生したのです。
アル・パチーノ:『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のハン・ソロ(ハリソン・フォード)
ハリソン・フォードは「スター・ウォーズ」シリーズのハン・ソロ役を得たとき、彼はすでにハリウッドで誰もが知る俳優でした。そんな中、ハン・ソロ役は現在も彼のキャリアの中で最も知名度のある役の1つであり続けています。
ですが、もともとはアル・パチーノが演じることが予想されていました。ですが、「ストーリーを理解するのが難しかった」として、パチーノはオファーを辞退していました。
もしアル・パチーノがこの役のオファーを辞退していなかったら、どんなハン・ソロが生まれていたのか気にはなります。
トム・クルーズ:『フットルース』のレン(ケビン・ベーコン)
『フットルース』でダンスをしていたのは、ケビン・ベーコンではなく、トム・クルーズになっていたかもしれませんでした…。
『トップガン』や『卒業白書』に出演していたクルーズは、ベーコンの前に打診を受けていましたが、『トム・クルーズ/栄光の彼方に』に集中していたために、スケジュールの折り合いがつかず、断っていました。
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Source /Esquire US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。