最初の緊急事態宣言の間、掃除に没頭したり、手芸に熱中したり、家で美味しいパンを焼く方法を学んでそれぞれが過ごしていました。しかし今回は、新型コロナウイルス感染症の終わりが見えない寒い冬の真っ只中で、自宅での過ごし方を「楽しもう!」というポジティブなムードは少々薄れているかもしれません。

 「できれば、春まで布団にもぐって丸くなっていたい」と思っている方は、きっとあなただけではないでしょう。ですが私たちには、まだできることはあるはず…そして、一緒に乗り越えることができるはずです。緊急事態宣言、いえ、このコロナ禍における外出自粛期間を乗り切るための最初の重要なステップは、「自分自身のケアをすること」なのです。

 睡眠の質からストレスレベルまで、コロナ禍の憂鬱(ゆううつ)を振り払い、大変な状況でも気を強く持ち続ける方法について、専門家に話を聞きました。


1.とにかく運動すること!

 24時間365日家に閉じこもっているのは、うんざりしませんか? 運動はやることリストの中でも優先順位が低いかもしれませんが、定期的な運動は疲労回復とエネルギーレベルの向上に効果があることが証明されています。

 今すぐスニーカーを履いて、重い腰を上げてみましょう。「運動するには疲れすぎていると感じるかもしれませんが、 日中にアクティブに活動することで、実は疲れを解消し、 睡眠の質を向上させることができます」と、「Netdoctor.co.ukシニアメディカルアドバイザーのジョン・パウエル氏は言います。

 幸いにも今回の緊急事態宣言では、スポーツジムは閉鎖されていません。室内での運動は暖かく、ケガの可能性は低くなるので有効活用すべきでしょう。ですがそこには、感染のリスクはあります。一方、屋外で運動をするならどうでしょう。感染のリスクが軽減されるばかりでなく、いくつかのメリットがあります。

 ニューカッスル大学の研究によると、ビタミンDはエネルギーレベルを高めるために不可欠であることが報告されています。「自然の中にいることは私たちの健康に役立ち、ウォーキングやHIIT(High Intensity Interval Training=高強度インターバル)トレーニングなど、それが裏庭であっても、屋外でエクササイズを行えば、心も身体も目覚めさせてくれます」と、クラークさんは言います。

 英国民保健サービス(NHS)のガイドラインによると、成人は健康を維持するために、毎日何かしらの運動をすることを目標にするべきだとされています。しかし、そのためにわざわざジムに通う必要はありませんし、 マラソンをしなくても運動の効果は得られます。毎日続けられる、次のような運動を試してみてはいかがでしょうか。

man practising yoga at home
Justin Paget//Getty Images
  • 毎日散歩をする

 週に5日、30分歩くだけで健康を維持できるという研究結果も報告されています。散歩を日々の予定に組み込み、外に出て、いつも以上に歩くことで健康を手に入れましょう。

  • 自宅でヨガをする

 研究によると、「1日15分ヨガをするだけでストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制され、その結果として全身の健康状態が改善へと導かれ、気分を高めることが期待できる」と報告されています。その効果は、ピラティスでも同様に期待できるとのこと。

  • 歩数を数える

 「常に歩数を数える」というと、精神的にちょっと疲れそうですが、コロナ禍ではこのシンプルなテクニックがモチベーションを高め、動き続けるための素晴らしい方法になります。歩数計やスマートウォッチに投資して、1日の歩数目標をNHSが推奨する10,000歩に設定してみてはいかがですか。

  • ランニングを始める

 ランニングには、心血管の健康増進や新陳代謝の向上など、多くの健康効果が期待できます。ランニングを始めるのに手助けが必要な場合は、ウォーキングとジョギングのインターバルを組み合わせた初心者向けランニングプランから始め、30分間のランニングを続けられるようにするといいでしょう。

  • オンラインエクササイズに参加する

 例えば、1日で約40万回も再生される、ホームエクササイズを配信しているジョー・ウィックスのYoutubeチャンネルなどがおすすめです。毎週月曜、水曜、金曜の午前9時から、無料のエクササイズセッションを配信しています。

    2. 厳格なルーチンをつくる

     「人生が、何度目覚めても同じ日を繰り返す超常現象の中に入り込んでしまった…」という映画、『恋はデジャ・ブ』のようになってきたと感じているかもしれません。その反面、人は習慣の生き物でもあります。日々の生活の計画を立て、しっかり守るようにすることも大切となるでしょう。

     「いつ、何をすべきか」を正確に知っていることで、毎日自宅で過ごす生活を乗り切るのがずっと楽になるはずです。セルゲイ・ラフマニノフによる「パガニーニの主題による狂詩曲作品43」を聴きながら、映画『恋はデジャ・ブ』の主人公フィルのセリフ、 “No matter what happens tomorrow or for the rest of my life, I'm happy now.(明日どうなろうと、将来どうなろうと、今は幸せだよ)を思い出してもいいでしょう。ぜひ、今この瞬間をあるがままに愛してみてください…。誰かと一緒に、今日を楽しむようにしてみてはいかがですか?
     

     ではその前に、次のようなことを試してみましょう。 

    • 起きたら着替える

     パジャマでだらだらしたくなる衝動を抑え、毎日同じ時間に起きて着替えるようにしましょう。新しい服と清潔な顔は活力を与え、一日を始められるようになります。

    • ワークスペースをつくる

     どうしても選択肢がない場合を除き、ベッドの上で仕事をしないようにしましょう。別の部屋やベッドの見えない一角にワークスペースをつくり、眠りを頭から追い出し、仕事と休みの時間をしっかり分けるようにします。

    • 食事プランを立てる

     毎日のメニューを計画することで、スーパーでの買い物がより効率的になり、食品廃棄物を減らすことができ、健康的な食生活を送れます。週末にいつもより贅沢な食事をつくるのも楽しく、単調な毎日を少し楽にしてくれるでしょう。

    • 1日のスケジュールを立てる

         毎日のエクササイズからランチ、ミーティング、食事、休息に至るまで、自宅で過ごす時間が長いほど、ルーチンを守ることがこれまで以上に重要になります。明確な計画を立てておけば無気力になる時間がなくなり、簡潔明瞭な目標が立てられます。自分の時間のスケジュールを立て、しっかりそれを守るよう心がけましょう。

        3. ビタミンDを補充する

         「太陽のビタミン」とも呼ばれるビタミンDは、日光が皮膚に吸収されることで生成され、成長や発育、全身の健康に欠かせない栄養素として知られています。

         カンタブリア大学が発表した最近の研究によると、新型コロナウイルス患者216人のうち、82.2%がビタミンD不足だったことがわかりました。ただし、ウイルス感染の予防や治療のためにビタミンDをサプリメントで摂取することの有効性については、意見が分かれており、より多くの研究がまだまだ必要な段階です。とは言え、パンデミックにかかわらず、ビタミンDを補給することは身体のために良い習慣と言えるでしょう。

        scenic view of trees on field against clear sky
        Samart Boonyang / EyeEm//Getty Images

        最近の研究では、新型コロナウイルス患者の82.2%がビタミンD不足だったことがわかりました。
          

         夏の間は、日光を浴びたりバランスのとれた食事をすることで、必要なビタミンDを摂取することができます。しかし、冬の間は不足しがちです。米国食品栄養委員会(米国の専門家グループ)による年齢別1日当たりの平均推奨摂取量では、1~70歳まで(妊娠中・授乳中の女性を含む)で600IU(約15マイクログラム)、71歳以上は800IU(約20マイクログラム)のビタミンDを食品やサプリメントなどで毎日摂取することが推奨されています。薬の飲み合わせやわからないことがあれば、かかりつけの医師や薬剤師に相談してみましょう。

        ⚠️ 過剰摂取は有害な可能性があります。「1日に100マイクログラム(4,000IU)以上のビタミンDを摂取しないようにしましょう」と、英国のNHS(国民保険サービス)は述べています。

        4. 精製された炭水化物の量を減らす

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        Image Source//Getty Images

         テレビの前で、スナック菓子を食べるしかやることのない引きこもりの年末年始の後、あなたの食生活は大きく変わりませんでしたか? 何を食べるかは、日中の眠気やエネルギーレベルに大きな影響があるため、現在の炭水化物の摂取量を見直す良い機会です。

         「白米、パスタ、パン、ポテト、シリアル、ビスケット、ケーキなどに含まれる精製された炭水化物は、すぐに身体に吸収される傾向があり、ホルモンのバランスに影響を与える可能性も高く、眠気を感じさせるケースがある」と、クラークさんは説明しています。栄養士であり、栄養アドバイスを提供する「Nourish」の創業者でもあるジェーン・クラークさんは、「これらの食品は主食になり、簡単に短時間で食事として摂ることができますが、なるべく全粒粉のものを選び、常にタンパク質を混ぜるようにしましょう」と話しています。「動物性タンパク質である必要はありません。ひよこ豆などをトマトのパスタソースに加えるのが、私が使っているおいしいコツです」ともアドバイスしてくれました。

         就寝する直前の飲食も睡眠に悪影響を及ぼすので、「深夜の食事は避けたほうがいい」と、「Bupa Health Clinics」のアソシエイト・クリニカル・ディレクターであるルーク・パウレス博士は付け加えています。

        5. カフェインの摂取量に注意する

        a cup of coffee on the serving tray under sunlight
        Oscar Wong//Getty Images

         多くの方が朝に紅茶やコーヒーを飲んでいますが、1日を乗り切るためにカフェインに頼っている場合、それは意図した効果とは逆の結果を引き起こし、疲労をもたらしている可能性もあります。

         「カフェインの摂り過ぎは、コーヒー、紅茶、エナジードリンクに関わらず、不安、焦燥感を高め、気分を落ち着かなくし、睡眠に影響を与え、興奮状態と疲労をもたらす場合があります」と、クラークさんは言います。

         急に断ち切るのは難しいかもしれません。消費量を徐々に減らしていくことをおすすめします。午後のコーヒーをカフェイン抜きのコーヒーにしてみたり、濃い紅茶からハーブティーに切り替えてみてはいかがですか?

        6. 自分のストレスレベルをチェックする

         ストレスを感じていますか? もしあなたが、親、教師、社員の役割を同時にこなしていたり、家族のことが心配だったり、あるいは単に新型コロナウイルス感染症にうんざりしているなら(誰もがそうですよね?)、ストレスレベルが上がるのは当然です。

         この大変な時期に、感情的に疲弊していると感じるのは普通のことでしょう。ストレス不安は、あなたのエネルギーレベルに悪影響を与えます。深呼吸や瞑想などリラックスできる方法を見つけることで、日中にストレスを感じながら過ごす時間を減らすことができ、全体的に疲れを感じにくくなるはずです。

         それではストレス解消のため、次のようなリラクゼーションテクニックを試してみてはいかがですか?

        • 瞑想:マインドフルネス瞑想のような日々のリラクゼーションテクニックは、あなたの健康、人間関係、睡眠、集中力、生産性に大きな影響を与えてくれるでしょう。
        • つながりを保つ:毎日、友人や家族と話す計画を立てましょう。電話で10分話すだけで、ストレスに対処したり、気分を高めたりすることができるはずです。
        • 電源を切る:寝る前の少なくとも2時間は、ニュースを観たりSNSをチェックするのをやめましょう。そうしないと、寝ようとしたときに脳はまだその(悪いことが多い)ニュースを処理していることになりますので…。
        • 書き出す:紙とペンを用意し、悩みを書き出すことで、自分の感情を理解し、緊張を解きほぐし、心の中を整理することができるでしょう。日記を書く習慣も、記憶力を高め、創造性を刺激する効果が期待できます。
        • 自分のための時間を取る:すでに家から出られない状況では、逆効果のように聞こえるかもしれません。ですが休息を取るために、1人の時間を持ちましょう。1日20分の時間を確保し、スキンケアを念入りにしてみたり、雑誌を読んだり、お風呂に入ったり、ただリラックスするだけでも、ペースが速く刺激の強い世界から脳を休めることができるはずなので…。

        7. 健康的な食事をたっぷりとる

        breakfast in okinawa
        Photography by Martin Irwin//Getty Images

         緊急事態宣言中は、いつもより活動的でないかもしれません。ですが、カロリーを消費していることに変わりはありません。ほとんどの方は、身体が通常の機能を効果的に実行するために、1日あたり最低1200キロカロリーが必要です。年末年始の暴飲暴食から脱却し、適切な食事をするようにしましょう。

         「栄養不足とは、身体がエネルギーを維持し免疫システムをサポートするために必要な燃料やビタミン、ミネラルを得られていない状態です」と、クラークさんは説明します。

         さらに食事を抜くと、血糖値が変動する原因となり、睡眠に悪影響が出る可能性があります。「1日を通して、定期的に食事をするようにしましょう」とクラークさん。「米、パスタ、ジャガイモやパンなどのでんぷん質の食事を夜にとると、良質な睡眠を促進することが期待できます」とも言います。

        8. 水分補給を忘れずに

         十分な水分補給を続けることは、エネルギーレベルを維持するために非常に重要です。脱水症の一般的な症状には、のどの渇き、疲労、めまい、頭痛などがあります。「便秘も水分量が少ないことによる副作用で、不快なほどの膨満感やだるさを感じることがあります」と、クラークさんは言います。

        脱水症状は、口や鼻の通り道を乾燥させ、睡眠を妨げるいびきをかきやすくさせる。

         のどが渇いたと感じる前に、水の他にもハーブティーやスカッシュ、薄めたジュースなどでも良いので、一日を通して飲むようにしましょう。

         「軽い脱水状態でも、そのまま就寝すると睡眠が乱れてしまうことがあります。脱水症状は口や鼻の通り道を乾燥させ、いびきで睡眠を妨げたり、朝に喉の乾燥を引き起こします。カフェインを含まない水分を、一日を通して定期的に多く摂ることを心がけましょう」とのことです。

        9. 忙しくする

         これまで、フィットネスクラスや仕事の会議、買い物など、私たちの生活はさまざまな用事で満たされ、日々を忙しくさせていました。こうしてわたしたちの生活は、多少のアクセントを加えながら無意識のうちに(中には、意識高く)構成されているものです。ですが、(ネガティブ志向になれば)毎日が同じことの繰り返しのように感じるコロナ禍では、やる気が出ないのは当然かもしれません。そんなときは、新しい本を手に取ったり、新しいレシピを学んだり、家具をアップサイクルしたり、友だちに電話したりしてみましょう。空いた時間を埋めることで、身体の「アクティブ」スイッチオンをオンにするよう心がけてみてください。

        10. 睡眠ルーチンを極める

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        Tetra Images//Getty Images

         誰もが、「ほとんど身体を動かさない」といった日々をお過ごしかと思います。その上、心配事が尽きないため、多くの方が熟睡できずに苦労しているのも無理はありません。多くの方は朝起床し、夜就寝します。これに関しては、人間は日中は体温が高く、夜低くなるというリズムが影響しています。なぜなら、人間は体温が低いと眠りやすく、高いと眠りにくいという特性があるからです。このようなリズムは、「生体リズム(サーカディアンリズム、概日リズム)」と呼ばれ、私たちの体にある体内時計によってつくられています。

         「ベッドに入ってから眠りにつくまでに30分以上かかる、一晩に一度以上定期的に目が覚めてしまう、夜中に目が覚めてから20分以上眠れないという場合は、睡眠の質が低下している可能性があります」とパウレス博士は言います

         睡眠を安定させるホルモンとして、「メラトニン」はよく知られています。生体リズムが正常であれば、暗くなって就寝時間の1~2時間前には周期的に分泌されるのですが、生体リズムが崩れていると、このホルモンの分泌も不安定になります。するとさらにパターンは乱れ、身体が回復するためだけの睡眠時間が損なわれます。よって、自分が思っている以上の疲労感に苛まれるといった事態がくるのです…。

         最近、スッキリとした気分で目覚めることができない…と思った方は、特にこの事項にご注意ください。

         「健康な食事をし、就寝前にリラックスするルーチンを確立することが役立ちます」、とクラークさん。「私はラベンダーの入ったホットミルクを飲むのがお気に入りです。ラベンダーはその鎮痛作用で有名ですが、ホットミルクはすぐに心地よい気分にさせてくれます」とのこと。

         毎日同じ時間に起床することも、長期的により良い睡眠(と気分)を得るのに役立ちます。

         「睡眠環境が暗く、静かで、快適な温度であることも重要です」と、パウレス博士は付け加えます。「ベッドの中でSNSをスクロールしたり、テレビを観たりしたくなりますが、これらのデバイスの光は睡眠ホルモンであるメラトニンを抑制し、睡眠を妨げてしまいます。寝る1時間前には、デバイスの電源を切るようにしましょう」 

        Source / Netdoctor UK
        Translation / Yuka Ogasawara
        ※この翻訳は抄訳です。