世界的クリエイターたちが選ぶ、
ロエベ主催の「ロエベ クラフト プライズ」。
その第一回目の栄えある受賞者が決定しました。
プライズの背景と受賞者の作品を、ここにレポートします。

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左からジョナサン・アンダーソン氏、エルンスト・ギャンパール氏、シャーロット・ランプリング氏。

 ロエベ クラフト プライズ

 ロエベが2016年に立ち上げた「ロエベ クラフト プライズ」をご存じでしょうか。現代の職人たちの新規性や卓越性、芸術的価値を世に示して称えるため、国際的に展開され、毎年受賞者を決めるのがこのプライズです。 

 発案者は、ロエベのクリエイティブ ディレクター、ジョナサン・アンダーソン氏。現在の文化におけるクラフト(工芸)の重要性を認め、その才能やビジョン、革新への意欲が、未来の新基準を設定するであろう優れた現役アルチザンたちを表彰することを目指しており、1846年にクラフトの協働工房として始まったロエベの創業形態にインスパイアされて発案に至りました。 

 「クラフトはロエベの真髄です。メゾンとして私たちは『クラフト』という言葉が持つ最も純粋な意味でモノづくりをしようとしています。そこにこそ、我々の考えるモダニティがあり、クラフトは常に私たちと繋がっているのです」と、アンダーソン氏は語ります。 

 そんな背景を持つ「ロエベ クラフト プライズ」の記念すべき第1回目の受賞者が、先日ついに発表されました。

 パトリシア・ウルキオラや深澤直人ら各界の第一線で活躍する審査員により、26名のファイナリストのなかから選ばれた大賞は、ドイツ生まれのエルンスト・ギャンパール氏。彼の作品『Tree of Life 2』に対し、女優のシャーロット・ランプリング氏からトロフィーが贈られました。 

 受賞作『Tree of Life 2』は、嵐によって根元から折れてしまった樹齢300年超のオークから切り出した、大きな木製コンテナ。木そのものの形や亀裂からヒントを得た本作は、丁寧に彫られたフィリグリー(金銀線細工)の溝がアルチザンとしての技を実証する一方、粘土や石の粉末を処理したものと木材の自然のタンニン酸が組み合わさって、有機的な仕上がりに。倒木から、独特かつ永遠のストーリーが生まれています。

そしてなんと、日本人も特別賞を受賞しています。

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神代良明氏と受賞作品。

 特別賞を受賞したのは、神代良明氏によるガラス粉末と酸化銅粉末を混ぜ合わせて焼いたボウル。ガラスの繊細さと陶器の強さが混ざり合い、はかない光沢を帯びた深みのあるブルーは、神々しささえ感じさせる仕上がりになっています。 

 気になる全ファイナリストの作品は、ブランドの本拠地マドリードを皮切りに、エキシビションとして世界を巡回。東京には、2017年11月に巡回予定となっています。 

 なお、第2回ロエベ クラフト プライズの応募は2017年6月にスタート。受賞者は、2018年パリで発表される予定となっています。今後の展開が非常に楽しみです。

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パトリシア・ウルキオラ氏をはじめ、日本人では深澤直人氏が参加している審査員たち。