15周年を迎える森美術館が、われわれが目をそむけがちなテーマと向き合う機会を与えてくれました。
カタストロフと美術のちから展
オノ・ヨーコ『色を加えるペインティング(難民船)』1960 / 2016年 ミクスト・メディア・インスタレーション サイズ可変
展示風景:「オノ・ヨーコ:インスタレーション・アンド・パフォーマンス」マケドニア現代美術館(テッサロニキ、ギリシャ)2016年
アメリカ同時多発テロやリーマンショック、東日本大震災など、世界各地で絶えず発生する“カタストロフ(大惨事、大変動)”…こうした災禍をテーマに、「惨事」を世に知らしめ後世に語り継ごうと多くのアーティストが作品を制作しています。
六本木ヒルズの森美術館では、このたび15周年を迎えるにあたって、これらアーティストたちの作品を取りあげる『カタストロフと美術のちから展』を2018年10月6日(土)よりスタートさせます。
Chim↑Pom『REAL TIMES』2011年 HDビデオ・インスタレーション 11分11秒
所蔵:森美術館、東京
集結するのは、オノ・ヨーコや坂茂、Chim↑Pom、トーマス・ヒルシュホーン、スウーンら大御所から気鋭の若手まで、錚々たるアーティストたちの作品です。
戦争やテロ、難民問題、環境破壊など、今の私たちが抱える問題にそれぞれが向き合い、復興・再生への願いを込め、よりよい社会のために新たなヴィジョンを提示してみせてくれます。
スウーン『水没した母なる地』 2014年 ミクスト・メディア・インスタレーション サイズ可変 作家蔵
展示風景:『スウーン:水没した母なる地』ブルックリン美術館、2014年 撮影:トッド・シーリー *参考図版
展示は2セクションで構成。
セクション1では、「美術が惨事をどのように描いてきたのか」に焦点を当て、天災・人災を扱う作品から個人的な悲劇にまつわる作品までを幅広く紹介。続くセクション2では、破壊から創造を生む「美術のちから」にフォーカス。アーティストの社会的メッセージが込められた作品が並び、美術と社会との繋がりについて考察できるようになっています。
2003年の開館記念展では、「幸福」をテーマにした『ハピネス』展を。そして10周年には「愛」に注目した、『LOVE展』を開催してきた同美術館。そうした経緯ののち、今回あえて選んだのが正反対のテーマ「カタストロフ」です。突きつけられた現実にアートが、いかにどう向き合ったのかを、その目で確かめてください。
そして皆さんは、その現実をさまざまな視点から見つめる体験を、ここでしてみてはいかがですか!? きっと貴重な時間となるでしょう。
◇詳細
『カタストロフと美術のちから展』
会期/2018年10月6日~2019年1月20日
会場/森美術館
住所/東京都港区六本木6-10-1
六本木ヒルズ森タワー53階
開館時間/10:00~22:00
※火曜日のみ10:00~17:00、
入館は閉館の30分前まで
※会期中無休
入館料/一般1800円、
学生(大学生・高校生)1200円、
子ども(4歳~中学生)600円、
シニア(65歳以上)1500円
※すべて税込
TEL/03・5777・8600(ハローダイヤル)
URL/www.mori.art.museum