「テクノロジー」「イノベーション」。そんなキーワードが世を騒がす昨今、様々な技術や、それを生かしたガジェット、サービスなどが数々生まれているなかで、どんな”人”がどんな”場所”で、どんなプロジェクトを進めているのか? 今回は、Facebookの日本法人にお邪魔しました。
中村 穣さん/Facebook Japan 執行役員 本部⻑。前職の外資系広告代理店での経験を活かし、積極的に多く企業との連携を深め、新たな広告商材を開発しています。
Facebook日本オフィス
■リニューアルしたばかりの日本オフィス
今や、日常生活に不可欠なツールの一つと言える世界最大級のSNS「Facebook」。本社(アメリカ・カリフォルニア)オフィスの環境充実度の高さでも有名な企業ですが、実は日本オフィスも充実した環境が整っているようです。
それはオフィスの環境ばかりではなく、ウェルフェアに関しても…。育休などの“働き方”の部分にも注力しているとのこと。そこで今回は、Facebookを環境やウェルフェアの面から探ってみましょう。早速、オフィスの様子から。
リノベーションを終えたばかりのオフィスに訪問! 様々なジャンルの書籍が本棚に並びます。
オフィスのインテリアに関しては、Facebook本体で専任チームを編成していて、世界共通でイメージを統一しているそうです。ところどころ、天井の配管がさらけだしている部屋があるのも各国共通だそうで、そこには「まだまだ発展途上である」という意を込めているそうです。
こちらは会議室「サラリーマン」。この他、「ジェットコースター」など日本オフィスの会議室名は、和製英語でネーミング。他国のオフィスも、映画のタイトルなど様々なテーマのもと、ウィットに富んだ名前になっているそうです。
シャワールームや、育休明けの女性社員が搾乳のために使用するマザーズルームといった施設も。アメリカの本社には、美容室やジムも完備しているそうです。
こちらはフードコーナー、「今後はさらに充実していきます」と中村さん。本社にはレストランが数か所あったり、野菜を自家栽培しているそうです。
■どこでも仕事ができる制度と信頼関係
1カ月間の育児休暇を取得したという中村 穣さん。
このオフィスを案内してくれたのが、上の写真のFacebook Japan 執行役員 本部⻑ 中村穣さん。ワークデスクもオープンな配置です。
「日本がこんな感じであるように、各国ともにオープンな構造です。さすがにカリフォルニア州メンローパークの本社にいるマーク・ザッカーバーグは、様々なお客さんが訪問するため安全上、ガラス張りの個室にいます。ですが、オフィス内を訪れたお客様は必ずといっていいほど、その部屋の前で写真を撮るんです。なのでマークは、「見世物じゃない」という張り紙をジョークで貼っているそうですよ」と、笑顔で語る中村さん。
ご覧ください。まさに風通しのいいオフィス環境です!Facebookフィードに出てくる笑顔マークに負けずとも劣らない中村さんの笑顔です。
「2015年11月に『妻の出産を期に2カ月の育休を取得する』と発言したマークの件は、皆さんご存知かと思います。それで実際に、2カ月の育休を取得しました。このように、ワークライフバランスに関しては特に力を入れていますね。ただ、日本ではまだまだ社内でも取りづらい雰囲気があったので、自分がモデルケースになろうと、1カ月間の育児休暇を取得しました。また、育休取得時以外にも“Work From Home”という制度もあります。勤務の開始・終了時刻のほとんどが各自に任せられていて、急に子供が調子悪くなったときなどは出勤せず、家でそのまま業務を行うことも可能になっています」と、中村さん。ウェルフェアプログラムの面でも、日本を牽引する存在になっています。
「“Work From Home”という制度が実践できているのは、社員間での信頼関係が成り立っているという証明にもなっているかと思います。同僚を信じていなければ、『朝いなかったけど、どうしたの?』などと、根掘り葉掘り聞いちゃったりするじゃないですか(笑)。そういうことも必要ないわけです。その代わり、『ちゃんと結果は出していこう!』というのがFacebookの企業カルチャーです。育休を取得してみて、すごく良かったですね。実際に育児の場にいると、1日の中でちょっとした事件がいくつも続くわけじゃないですか。そこで、子育ての大変さが実感できるわけです。妻の気持ちが…。また、事件までは行かずとも、日々いろんなことがあるので、スケジュールをきっちり決めなければ家事も行いない…ということが学べましたね。業務に戻った際にも、それが大いに活かせました」とのこと。
そんな中村さんは現在、自動車・テレコム・テクノロジー・エンターテインメント分野を中心に広告セールスを担当。
■コーディネート紹介:Tシャツにスニーカーが基本
そこで、現在手がけている業務についても聞いてみました。
「動画は特に注力している分野の一つで、2020年までにフィード内の75%の情報がビデオになると言われています。テレビCMは起承転結で一つのストーリーを展開していく形ですが、それがフィード上となると初めの2~3秒ぐらいでアテンションを取る必要があります。そのため、始めに結論をもってきたりと、面白いとすぐに思ってもらえるようなストーリーにしなければいけませんので…」と、筆者自身も気づきとなるようなコメントをいただきました。
ちょうどこの取材の前週にも、ニューヨークオフィスへ出張し、現地のクリエイティブ担当者と打ち合わせをしていたそうです。
「Facebookでは世界各国のオフィスも含め、社内の横の繋がりが存分に活かせるんです。今回も結構上に役職の人に、『ニューヨークで会いたい』とコンタクトを取れば、現地で何の障害もなく気軽に会えますし…」と語る中村さん。ここでも風通しの良さそうな社風が窺えます。
スタンディングデスクで、オフィスワークの効率化を図る中村さん。
ファッションに関して伺えば、「クライアントとの打ち合わせがある場合は別として、普段はTシャツにデニム、スニーカーのスタイルが多いですね」と中村さん。
メンバーも全体的に、このようなスタイルがほとんどとのこと。また、Facebookや同じく自社で運営しているInstagramのロゴがワンポイントになったファッションアイテムもオーダーできる社内制度を利用して、そのTシャツなどを着こなすメンバーも多いようです。
以上、制度やオフィスなどを様々な切り口からお話を窺った今回。最後に「Facebookらしさとは?」と、改めて聞いてみると…。
「Facebookには、“Be Bold、Focus on Impact、Move Fast、Be Open、Build Social Value”という5つのコアバリューがあります。ビジネス面においては、“Focus On Impact”ですね。つまり、“優先順位を絞ってインパクトを出す”、という面が強いなと感じますね。
そして“Be Bold”。こちらは“大胆に”ということですが、“やらないより大胆にやってみよう! やって失敗したほうがマシだ”という社風なんです。一方で、“Be Open=SNSで世界の人々ともっとオープンに繋がるようにしたい”というコアバリューにみんなの意識が向いていますし、ビジネス上での動きが全くブレないんです。この点がスゴイなって感じています」とのこと。
根本の哲学はブレずに、それでいて働きやすい制度や環境は柔軟に整備しているFacebook。また数カ月後、一年後には、新たな動きが生まれているに違いありません。”働き方”の面からも、注目すべき企業です!
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Direction & Interview/
市來孝人(amplifier productions)
Edit & Photograph/Kazushige Ogawa(HDJ)