老舗の「壹番館洋服店」の社長であり、仕立て屋として手を動かしながら、銀座人として幅広い人脈を持ち、この土地ならではの丁寧な商いをする渡辺新さん。男はこんな風に銀座のお店は楽しむべき! 怖くない、銀座の裏口案内を2週間に1度の連載でお届けします。

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 これほど、ストレートなバーも珍しい。知的で雰囲気が良く、落ち着いている。派手な趣向はない。勿論ストイックなお店だが、窮屈でない。そして、ただシンプルに美味しいお酒を作ってくれる。これが森さんの営むBar.R。
 

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 森さんのお店で楽しむべきはウイスキー・コレクション。ラベルを見ているだけでもご馳走だ。
 

 カクテルも素晴らしい。特にブラディメアリーは秀逸。これを女性に勧めて嫌がられたことがない。銀座の素敵な時間をシェアできる。

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 最近、森さんがこだわっているのが厚岸蒸留所で作られたウイスキー。まず、ノンピーテッドが出来上がってきた。

 最初にストレートで一杯いただく。以前テストビーカーで頂いた時よりも、優雅になっている。荒々しくも、繊細。チョコレートのような甘みもかすかに感じる。2杯目はゴッドファーザーを作ってもらった。一杯目のストレートでは味わえなかった風景が広がり、銀座にいながら北海道の大地を感じる。
 森さんの贅沢なライブ・パフォーマンス。銀座のBarの醍醐味は、このライブにある。そう、熟練の技術と深い知識が支える職人技。こんな贅沢なライブを優しい価格で楽しめる。書いていながら、「しまった、人に教えなければ良かった!」と後悔している。
 もうじき、厚岸蒸留所からピーテッドが上がってくるらしい。一杯目は勿論ストレートで。二杯目は、ラスティネイルが面白いかもしれない。無骨な業務用ガロン容器で北海道から送られてくる日が楽しみだ。
 銀座の職人技は、ただの技術の集積ではない。一杯一杯がクリエイティブな作品。だから品物にも、サービスにも、時間にも輝きがある。この創造力がないと銀座で永くお店を続けることはできない。銀座で時を過ごすお客様は、この輝きを求めている。
 銀座でお店を営む人達が、常に謙虚なチャレンジャーでいるのはこんな理由なのだろう。 Bar.Rの森さんは、銀座を代表する素敵なアーティストである。

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Bar.R
中央区銀座6丁目5−14 
銀座能楽堂ビル別館6F
Tel/03-3571-0068
営業時間/18:00~翌3:00
(土・祝)~24:00
休み/日曜


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渡辺新

1966年生まれ。「壹番館洋服店」代表取締役社長。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、渡欧。イタリアのドムスアカデミーで洋服作りを学ぶ。著書に『銀座・資本論 21世紀の幸福な「商売」とはなにか?』(講談社+α新書)。現在、今年公開予定の銀座の映画作りのサポートにも奔走している。


Edit / Emiko Kuribayashi