2018.04.16

壹番館洋服店 渡辺新の銀座裏口案内2

銀座Vogue これぞ本物!手仕事の帽子

 老舗の「壹番館洋服店」の社長であり、仕立て屋として手を動かしながら、銀座人として幅広い人脈を持ち、この土地ならではの丁寧な商いをする渡辺新さん。男はこんな風に銀座のお店は楽しむべき! 怖くない、銀座の裏口案内を2週間に1度の連載でお届けします。

銀座Vogue  これぞ本物!手仕事の帽子

  

 いま、世界中で“ハンドメイド”なる言葉が安易に使われている。帽子の世界も同じ状況だ。しかし、型入れ(原型から帽子の形に仕上る行程)から手で仕上げる店は希少だ。銀座Vogueの原弘は、さも当たり前のように型入れをハンドで行う。有名な高級帽子から量販品にいたるまで、型入れは機械で行うのが常識なのに。
 
 機械による型入れは均一にすっきりと仕上がる。見た目も綺麗だ。しかし、味気なく、深みを感じない。つまり、人のぬくもりが伝わってこないのだ。
 

 原弘の仕事は優しさに溢れている。仕事の流儀から来るものなのか、彼の人柄からなのか? そして、最近の彼の仕事には、上手さと、キレも加わった。
 
 銀座Vogueは販売の拠点だけでなく、物づくりの拠点でもある。ショップ機能だけでなく、アトリエなのだ。しかも、銀座のど真ん中。 そんな贅沢な体験が4万円台から味わえるとなれば、行かないという選択肢はないだろう。
 
 銀座Vogueの楽しさは素材選びから始まる。50色を越える色から、自分にしっくりと来る材料を探すだけでも興奮する。勿論、リボンも自由に選べる。 
 
 型は無限にあるので、サンプルやスタイルブックが助けになる。雑誌の切り抜き写真を持ち込むお客様も多いそうだ。また、「あの映画の、この場面の」というリクエストもありだ。
 

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 原弘はただの職人ではない。オーナーであり、販売もするので商人(あきんど)でもある。これを、職商人(しょくあきんど)と呼ぶ。しかし、彼の仕事は職商人の範疇をも越える。クリエイターでもあるのだ。オーダーに応じて、デザイン画をスラスラと描き、お客様と共にクリエイションを楽しむ。そして自分で作る。凄い!
 
 勿論、帽子のリフォームや、リボンの交換なども行う丁寧さ。内容によってはその場で対応してくれることもある。こういった親切が永年、お客様から信頼され、お店の信用となっている。時間という価値まで手に入るのだから、実に贅沢な話ではないか。
 
 もともとレディースの帽子で有名だった銀座Vogue。帽子界のレジェンド故・平田暁夫さんを尊敬する原弘だが、メンズ帽子のクオリティも秀逸だ。よって女性だけでなく男性ファンも多い。
 
 是非、この豊かなハンドメイド帽子の世界を、多くの人に味わってもらいたいが、制作のため毎晩徹夜する彼の健康が気にかかる。友達としては複雑な心境なのだ。

 

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銀座Vogue

中央区銀座5丁目3−12 壹番館ビル4F

電話/03-3572-1901

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渡辺新

1966年生まれ。「壹番館洋服店」代表取締役社長。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、渡欧。イギリスのセントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン、イタリアのドムスアカデミーで洋服作りを学ぶ。著書に『銀座・資本論 21世紀の幸福な「商売」とはなにか?』(講談社+α新書)。現在、今年公開予定の銀座の映画作りのサポートにも奔走している。

Edit/Emiko Kuribayashi

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