2018.01.23

【特集:気になる企業】最先端を走る日本の中小企業、その事例

足利の奇跡「AeroEdge」-日本経済に翼を授ける企業となるか?ー(前編)

AeroEdge(エアロエッジ)株式会社。聞きなれない企業名かもしれませんが、実は、栃木県足利市にあるこの中小企業が、いまビジネスの最前線で世界と対等に渡りあっています。
 

足利の奇跡「AeroEdge」-日本経済に翼を授ける企業となるか?ー(前編)
お話しをうかがったのは、AeroEdge(エアロエッジ)株式会社取締役副社長兼COOの次重彰人(じじゅう・あきと)さん。同社のモノづくりと事業運営の双方を主導しています。

  
  
AeroEdge【前編】中小企業が
世界と戦うための最先端の技術力  

   
 同社は、2016年に創業したばかり。にもかかわらず現在すでに、フランスの航空機エンジン製造大手である、サフランエアクラフトエンジン社と契約を果たし、新型航空機エンジンの部品を製造・供給しています。 
 
 ではなぜ、まだ歴史の浅いこの新興企業に世界的大企業は信頼を示したのか?
 
 「中小企業のビジネス戦線に異状あり!?」、 そのなぞを解明すべく「メンズ・プラス」はAeroEdge株式会社に取材を申し込み、経営を取り仕切る若き副社長・次重彰人さんにインタビューを敢行しました。最先端航空機産業の現場から、2回連続でリポート。まずは前編を!
 
 
地方の中小企業が海外と直接取引! 
世界で数社しか持っていない技術力 
  
次重彰人さん(以下敬称略で次重に):AeroEdgeの親会社は、栃木県足利市で70年ほど営んでいる菊地歯車という会社で、社名の通り自動車や油圧機器、建設機械、そして航空宇宙関連機器のギア(歯車)製造が主要事業です。その海外航空宇宙事業のスピンアウトとして、2016年に産声を上げたのがAeroEdgeです。創業当時の従業員数はたったの20名ほどでしたが、今では、80名を越す規模にまで拡大しています。 
 
 
編集部:それは急速な成長といえますね。AeroEdgeはどういう経緯で設立されたのですか? 
  
次重:菊地歯車は2006年ごろから国内の航空業界に参入。その後、海外のエンジンOEMともディスカッションが始まり、そこにビジネスの拡大を見込みました。もっとも大きな取引先であるフランスの航空機エンジン製造大手、サフランエアクラフトエンジン社と2013年に長期契約を締結することになり、航空機の量産体制を確立する為に分社化を急いだのです。これは大きなチャンスであり、生かさない手はないと。 
    
   
編集部: 世界的大企業から白羽の矢が立った要因は、なんだったのですか? 
 
次重:航空会社が航空機を購入する際、もっとも重視するのは燃費です。そして燃費向上のカギを握るのがエンジンの重量。単純にエンジンの重量が下がれば、燃費が上がります。さて、ここからがうちの強みになるわけです。これまではニッケルという耐熱合金がエンジン部品として使われていましたが、その約半分の重量のチタンアルミという新素材が出てきました。しかしこのチタンアルミは、加工が難しい。瀬戸物のように割れやすいので、工具や加工条件の選定が非常に重要になってきます。私たちは、そのトライアンドエラー開発を何度も繰り返すことにより、製品要求を満足したチタンアルミの加工に成功しました。実はチタンアルミを安定して加工し、製品にできるのは世界でも数社しかないのです。これが、AeroEdgeが選ばれた理由といえます。 
 
 
編集部:大手ではなく中小企業としてそれを成し遂げたのは、すごいことですね。 
  
次重:私たちのように、中小企業が世界の大手と直接取引をするというのは日本でも極めてレアケースです。小さい企業は、国内大手重工各社と一緒にボーイングの部品を作ったり、ロールスロイスの部品を作ったり…というように、まずは日本の大手を介して、グローバルな仕事を受けるのが一般的だったのですが、私たちは、直接世界の大手と対等に渡り合っています。(次ページへつづく)

 
 

1 2 3

AeroEdge株式会社 
 
住所:栃木県足利市寺岡町482-6 
https://aeroedge.co.jp/  

_D4S8597

Photograph / Setsuo Sugiyama
Interviewer & Text / Kazu Ogawa

編集者:小川和繁

Page Top