2018.03.22

MAN WITH THE CONFIDENCE TO PURSUE HIS OWN VISIONS

ボレロにゴジラ、異端児・野村萬斎が攻め続ける理由 「600年耐えうる、新たな古典作品を作りたい。」【前編】

マーベリック。逆風をものともせず、確固たる信念をもち、新しい時代を悠々と切り開いていく、異端児。狂言という古典芸能の家に生まれながらも、パフォーミング・アーツとして西洋と東洋を織り交ぜた舞台を作り上げ、世界を相手に挑みつづける。はたして異端、野村萬斎はいかにして作られたのか? 
 

ボレロにゴジラ、異端児・野村萬斎が攻め続ける理由 「600年耐えうる、新たな古典作品を作りたい。」【前編】

 
MAVERICK OF THE MONTH:MANSAI NOMURA 
 

 「ここで跳べばいいの?」
 
 フォトグラファーの「ちょっとジャンプしてみてくれませんか?」というリクエストにそう応えると、彼はひゅっと跳んで見せた。サンローランのコートを翻し、垂直に70、80センチほど。今、なにが起こったんだろう。そんな疑問をさしはさむ隙も与えず、シャッターに合わせ、再びリズミカルに身体を翻す。
 
 

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ジャケット14万4000円(予定価格)、シャツ6万8000円(予定価格)(2点共プラダ) ●お問い合わせ先/プラダ クライアントサービス TEL 0120・45・1913
 
 
 野村萬斎、狂言師。足利義満の時代から大名の庇護のもとで発展してきた能狂言は、市井の商業演劇であった歌舞伎のようなポピュラリティをもたないが、その例外が彼だろう。20代から大河ドラマや連続テレビ小説に出演し、CMにも登場。人気映画にも主演して、羽生結弦以前は、安倍晴明と言えば彼だった。無論、演劇人としての活躍も華々しく、蜷川幸雄に三谷幸喜、ジョナサン・ケントら、国内外の奇才たちからのラブコールが絶えず、2002年からは世田谷パブリックシアターの芸術監督でもある。ひと言で言えば、客の呼べる演劇人。そんな彼を“MAVERICK”と呼んでみる。異端児、一匹狼。そもそもは、所有する子牛に焼き印を押さなかったテキサスの開拓者の名を冠した言葉である。そんなふうに呼ばれて、彼はどう感じるだろうか。

 
 「光栄です。ただ、伝統芸能という刻印はあると思いますよ。そのなかで、巡り合わせで非常にいろいろな活動をさせていただいてきたし、それらがまた画期的なものであることが多かったということだと思います。ひとつ言えるのは、自分としては確信犯的に活動してきたということ。手当たりしだい新しいことをやるのではなく、自分なりに本質というものに狙いを定め、能狂言の世界観に恥をかかせることなく挑戦できることに取り組んできた。そういう50年近い芸能活動であったかなと思いますね」
 
 はじまりは黒澤明だった。まだ野村萬斎ですらなかった17歳のとき、本名の野村武司で『乱』に出演。シェイクスピアの『リア王』を戦国時代に翻案した作品で、主人公を破滅させる少年・鶴丸を演じた。
 
 「能狂言以外の初めての活動が『乱』でした。なにしろ“世界のクロサワ”です。ありがたいことに最初に一流の方々と仕事をさせていただいたわけです。この作品をきっかけに現代劇にも出るようになりましたが、『乱』で触れた、一流の人々が追い求めているものを僕も求めていきたい。17歳のあのとき、そう感じたことは大きかったと思います。新しいことをやるとは、奇をてらうようなこととはまったく違う。前人未到の世界にたどりつくには、性根がしっかりあり、かつ革新的でなければならない」
 
《次ページへ続く》

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PROFILE
野村萬斎
…1966年生まれ。狂言師。70年初舞台。94年に野村萬斎を襲名。97年連続テレビ小説「あぐり」出演や主演映画に『陰陽師』シリーズ(01、03年)、『のぼうの城』(12年)などがあるが、2016年『シン・ゴジラ』では、モーションキャプチャーによるゴジラ役を演じた。祖父・六世野村万蔵、父・野村万作はともに重要無形文化財各個指定保持者(人間国宝)。
 
 
INFORMATION
―狂言劇場 特別版―
能『鷹姫』・狂言『楢山節考』
野村萬斎芸術監督が、古典芸能の技法や発想を現代的な演出技術と融合させながら、“舞台芸術=パフォーミング・アーツ”としての能・狂言を、特設能舞台で披露。
 
日程:2018年6月22日(金)~24日(日)、6月30日(土)・7月1日(日)、(6月22日は貸切公演)
会場:世田谷パブリックシアター
出演:野村万作、野村萬斎/大槻文蔵、片山九郎右衛門/観世喜正、大槻裕一、万作の会ほか
主催: 公益財団法人せたがや文化財団
企画制作: 世田谷パブリックシアター
 
●お問い合わせ先
世田谷パブリックシアターチケットセンター
TEL 03・5432・1515
https://setagaya-pt.jp/

Photograph / Masafumi Tanida(CaNN)
Styling / KAN Nakagawara(CaNN)
Hair & Make-up / Masako Kouda(Barrel)
Text / Yukiko Yaguchi
Edit / Atsushi Otsuki, Emiko Kuribayashi 
 

    DAILY FORTUNE

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      6/22~7/22

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