『夢をかなえるゾウ』シリーズ売り上げ300万部、『人生はニャンとかなる!』シリーズ売り上げ200万部の、人気作家・水野敬也が、自身の最大の弱点「お洒落」に体当たりで臨む企画。日本で活躍する最高峰の美女たちに、水野のお洒落理論は通用するのか!?
>>>「作家・水野敬也が足立梨花とデート!「黒セットアップでクールな男を装う!の巻」前編」の続きです。
彼女といい雰囲気になりたいなら会話のネタリサーチは鉄板!
「こういうレストランは初めてなので、
いろいろ教えてくださいね。」
足立梨花さん(女優・タレント)
…2007年、第32回ホリプロスカウトキャラバンでグランプリを受賞し、デビュー。2016年はドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」にて受付役・今井セシル役でレギュラー出演。毎週土曜の午後13:50~、NHK「土曜スタジオパーク」にて渡辺直美さんらとともにMCも担当している。
―先にお店に到着していた彼女は、髪型も服装も大人っぽく、しかもそれでいて天真爛漫であどけない顔をしていて、そのギャップで飛び出しそうになる目玉を顔筋で押さえつけるのに必死でした。
(こんな美女とまともに会話できるのだろうか……)
急激な不安に襲われたのですが、私は足立梨花に挨拶して隣の席に座ると、まず最初にこう切り出しました。
「『カレと48時間逃亡するCD』聞きました」
――実は事前の調査により、アニメ好きの足立梨花は声優の『彼氏が添い寝してくれる疑似体験CD』や『カレと48時間逃亡するCD』が大好きであることが判明し、そうしたCDに対する私の感想は、「なんだよその変なジャンル」でしたが、会話のネタになるかもしれないと思い一応聞いておいたのです。
そしたら、この話題がめちゃくちゃ盛り上がったんですよね。たとえばこんな感じです。
足立「鳥海浩輔さんの、甘すぎず、軽すぎない絶妙な声が大好きなんです」
水野「分かります。ただCDの中に出てきた、目隠しされた状態で『君の背中に何が当たっているのか分かるかい? 拳銃だぜ。いつでも君を撃ち抜くことができるんだぜ』っていうのは何のプレイなんですか?」
足立「(爆笑)」(次ページに続く)
――そう。このCDには少しHな要素が入っているので、会話に下ネタを挿入できるのです。この、相手の好きな乙女ゲームや声優CDを予習しておくことでのっけから下ネタの話題が振れるのを、『走れエロス理論』として認定したいと思いました。
こうして話が盛り上がったあと、話題はアニメから漫画に移っていきました。足立梨花は週刊少年ジャンプを定期購読しているほどの漫画好きなので、『約束のネバーランド』や『僕のヒーローアカデミア』、さらに最近アニメ化された『宝石の国』の話で盛り上がりました。
しかも単に趣味が合うというだけでなく、彼女の性格が素晴らしいんですよね。どんな話題にも笑顔で楽しそうに答えてくれ、お店の店員さんにも明るく対応してくれるという、「花」でいうと「ヒマワリ」みたいな存在なんです。こうしてあまりに会話が楽しすぎて、つい会食のコンセプトを忘れそうになってしまったので、あわてて好みの男性のコーディネイトについて聞いたところこんな返答がありました。
「好きな色は、黒か白ですね。私はどちらかというと派手な色が好きなので、男性にはシンプルで大人っぽい服装をしてもらいたいです」
そして彼女は、私の服装を見て言いました。
「水野さんの今日の雰囲気は、100点ですね」
な、なんと――。(次ページに続く)
連載5回目にして…、
―ついに完璧なコーディネイトにたどりついたのです。
(今日こそは、美女と仲良くなれるんじゃないか――)
いよいよ確信しながら時計を確認すると、会食の時間が残り少なくなっていました。いつも美女の前で緊張してガチガチになっており(全然時計の針が進まねえ! ここはバイト先かよ!)と思っていたのによくぞここまで成長したものだ(とはいえすべて足立梨花の性格の良さによるものなのですが)と思いつつ、今後のことを踏まえ、今のうちにこの質問をしておくことにしました。
「ちなみに、NGのタイプの男性はどんな人ですか?」
すると彼女の口から飛び出たのは、予想もしなかった言葉でした。
「チャラい感じの人ですかね。たとえばサーファーとか」
――その瞬間、『僕のヒーローアカデミア』の轟焦凍が個性を使ったんじゃないかと思うくらい凍りつく私がいました。
こうして私は、「い、いやあ、我々文化系の人間からすると、一番遠ざけたくなるタイプですよね!」と言いながら、来週家に届くオーダーメイドのウェットスーツ(10万円)を封を開けずにメルカリに出品しなければならない状況に迫られ、全身が冷や汗でウェットし始めたのでした。
◇今回2人がデートしたのはこちら!
アットホームな雰囲気で味わう
ヘルシーなニューアメリカ料理
2017年9月に銀座にできた、日系アメリカ人シェフが手がけるニューアメリカ料理の店「マークス テーブル」。シェフはNYにあるミシュラン一つ星のGramercy Tavernなどで働いた経験をもつ。伝統的なアメリカ料理とフレンチを中心にさまざまな国の料理技法を混ぜ合わせた料理が、ヘルシーでおいしいと女性にも好評。
《SHOP INFO》
住所/東京都中央区銀座8-4-3 山田ビル1F
TEL/03・3571・1900
営業時間/17:30~23:00
(月~金、土・日曜、祝日は、応相談)
不定休
Photograph / Jan Buus(whitestout)
Styling / Tatsuya Imai[Keiya Mizuno]、Marie Yamamoto[Rika Adachi]
Hair &Make-up / Rieko Sugimura[Rika Adachi]
Text / Keiya Mizuno
Edit / Yasuhiro Sato
Cooperation / Mark's Table