バイブルになる新刊案内7月01 『忘れられた巨人』

読後もじっくり考えさせられる
カズオ・イシグロ10年ぶりの長編

紀伊國屋書店 西武渋谷店

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『忘れられた巨人』　1900円
作：カズオ・イシグロ（早川書房）

カズオ・イシグロ約10年ぶりの長編小説で、前作 『わたしを離さないで』がSF的要素をもっていたのに対して、ファンタジー小説のようにはじまっていきます。とはいえ、決してライトな展開というわけではなく、カズオ・イシグロ作品特有の哀愁の漂う文体、また読み進めるごとに深まっていく謎は健在です。きっちりと伏線を回収しつつも、物語の謎とは別に定義される「記憶、忘却」といったテーマに読後もじっくりと考えさせられます。

Text／Takuya Kikuchi