米「エスクァイア」編集部は、人気マーベルヒーローのマイティ・ソーを演じるクリス・ヘムズワースをインタビュー。「マーベル作品」や「アベンジャーズのヒゲ」、「ハリウッドの他のクリスたち」といった話題に関して応えてくれました。
人気俳優クリス・ヘムズワースは、あっという間に心を許してしまうほど、とってもフレンドリーなのです。
また、ご存知の通り、彼は驚くほどハンサムで、俳優としても大成功しています。これは宇宙レベルで不公平なことにも思えます。思いやりとルックス、そして成功という3つの美点のうち、普通の人間が地に足をつけて生きていくために与えられるのは、2つまでであるべきではないでしょうか(笑)。
この3つの美点をもつヘムズワースは、ある程度自分を特別視する尊大さをもっていてもおかしくはないはずですが、なぜかそうでもないのです。ですから、「あいつはあいつだから…」などと言って、オウト・オブ・フォーカスできないから堪りません…。
つまりは、そんな人間の法則に無邪気に逆らうような男性が、人間ではないキャラクターの役でもっとも知られることとなったのは、ある意味必然と言えるでしょう(笑)。
2011年、「マイティ・ソー」シリーズの第1作目『マイティ・ソー』が公開されたときには、ヘムズワース演じる雷神ソーがマーベル・シネマティック・ユニバースの要になろうとは思いもしませんでした。
ですが、その後『アベンジャーズ』が作られ、ソーは定位置を得たのです。ヘムズワースは、そのブロンドのヒゲと鍛え上げられた上腕二頭筋、その他様々な魅力でアベンジャーズの中心メンバーとなり、最近では『マイティ・ソー バトルロイヤル』や最新作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に出演しています。
しかし、この34歳のオーストラリア人俳優は、キャリアのなかでずっと宇宙の救世主を演じてきたわけではありません。
『スター・トレック』では、クリス・パイン演じるカーク船長の父親役ですし、ポール・フェイグ監督の『ゴーストバスターズ』では、ボンクラの受付係の役でした。また、ロン・ハワード監督が2013年に手がけた傑作『ラッシュ/プライドと友情』では、伝説的な天才レーサーであるジェームズ・ハントを演じています。
ヘムズワースは、この映画を通してモータースポーツに関わりの深いスイスの時計メーカー「タグ・ホイヤー」とつながりをもち、現在は同ブランドのアンバサダーを務めています。
今回「エスクァイア」は、2018年5月下旬に行われた第102回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)の会場で、ヘムズワースにインタビューを決行。今回のレースやアベンジャーズの最終章、ハリウッドで活躍する4人のクリス(クリス・ヘムズワース、クリス・パイン、クリス・プラット、クリス・エヴァンス)などについて話を聞いています。
「アベンジャーズ」最終章はものすごい作品になる!?
ヘムズワース:モータースポーツが好きになったのは、何年も前に『ラッシュ/プライドと友情』に出演してからのことで、タグ・ホイヤーとの関係が始まったのも、この映画がきっかけなんだ。インディ500は、世界でも最大級のモータースポーツイベントの1つだけど、これまで参加したことはなかった。ここに来れてワクワクしているけど、フラッグを振るという大役を任されて、実際は少し緊張しているよ。ちゃんと練習もしたんだけどね。最初は振るときに肩を使い過ぎていたけど、どちらかと言えば前腕や肘を使うべきだった。手首や八の字の動きが重要なんだ。
「アベンジャーズ」最終章はものすごい作品になる
ヘムズワース:『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でショックを受けたなら、その続編は違う理由で、さらにショッキングなものになるだろうね。初めて両方の脚本を読んだときに衝撃を受けたのは、これほど多くの異なるキャラクターを登場させながら、それぞれの見せ場をつくり、全体として質も高く、新鮮でユニークな作品にまとめ上げていることだよ。単にキャラクターを寄せ集めた乱雑なストーリーとは違うんだ。
ヘムズワース:続編について、さらに楽しみなことと言えば、観客の反応だね。この作品は、前作よりさらに一歩を踏み出したものだと思う。作品ごとに新しいステップを踏み出しているシリーズだけど、毎回新たな成長と進化があり、人々を驚かせ続けているということが素晴らしいと思う。アイデアが尽きたり、クリエイティブなワクワク感がなくなってしまうことは常に不安になるところだけど、このシリーズはこれまでそういったマンネリ化とは無縁だ。僕にとって、シリーズのあらゆる体験が素晴らしいものだったし、特に最新作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は最高だった。
ヘムズワース:アベンジャーズのメンバーとして、最初のヒゲキャラクターになれたのは嬉しいね。でも、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でのキャプテン・アメリカのヒゲ面には、異議アリだね。それに意味があるかはともかく、オリジナルは自分だと言いたいところさ。クリス・エヴァンスは、僕を真似したんじゃないかな。かなりお粗末だと思うけどね。
「アベンジャーズ」で共演するもう一人のクリスとは仲良し
ヘムズワース:理由はそれぞれだけど、一人ひとりに違った好意を抱いているよ。クリス・パインは「スター・トレック」シリーズの映画で、彼が演じるキャラクターの父親を僕が演じたので息子のような感情さ。クリス・エヴァンスは、「アベンジャーズ」のメンバーのなかでも、たぶん一番仲のいい友達だ。クリス・プラットとの友達関係は、一番新鮮で新しいものさ。彼らが成功していることや、一緒に過ごせたことは嬉しいことだね。
ヘムズワース:俳優としてのキャリアを築く上でのアドバイスをよく聞かれるけど、そんなときは、『名前をクリスにして、茶色がかった髪と青い目があればなんとかなるさ。それが最初の一歩だよ』って答えているよ。これならエスカレーター式さ。ふざけた話だけどね(笑)。
ポール・フェイグ監督の『ゴーストバスターズ』は、真剣にアドリブ演技に取り組んだ初めて作品だった
ヘムズワース:これまで一番楽しかった撮影の1つかもしれないな。アドリブ演技に本格的に取り組んだのは、この作品が初めてだろうね。これ以前は、脚本をしっかり把握していることで自信をもちたいと思っていたし、自分の選択がどんなふうに形になって、シーンがどこへ向かうのかも理解していたんだ。ある程度、無難に演じることを意識していたね。『ゴーストバスターズ』では、そういったことをすべてやめて、自分の演じるプロセスの新たな扉を開いたと思うよ。
ヘムズワース:あの映画での演技はこれまでより、はるかに自由で創造的な欲求が満たされるだったね…とにかく楽しかった。脚本に書かれたシナリオからは得られない自発性があったからね。今は間違った思い込みをしてしまったり、状況が把握できなかったり、手に負えなくなったりするようなギリギリの環境に自分を置きたいと思っているよ。それが自分にとって重要な要素だと思うんだ。誰かをハラハラさせるのと同じように、自分自身もハラハラさせたいんだ。それこそ、見ていて面白いことだと思うからね。
ヘムズワース:『ゴーストバスターズ』で鍛えたアドリブ力は、マーベルシリーズにも取り入れたよ。『マイティ・ソー バトルロイヤル』には、間違いなくたくさんのアドリブがあったし、この映画の前にポールと仕事ができて本当に良かったと思うね。あと、人気TV番組『サタデー・ナイト・ライブ』に何度か出演したり、『お! バカんす家族』なんて映画もあったな…。だから、『マイティ・ソー バトルロイヤル』に取り組むころには、アドリブ演技にとても夢中になっていたね。監督のタイカ・ワイティティもアドリブに前向きだったしね。そうしてマーベル最新作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にも、アドリブを入れていくことになったんだ。
アベンジャーズのメンバーで一番口が軽いのは...
ヘムズワース:間違いなく(ハルク役の)マーク・ラファロだよ。何度もシリーズの計画を台無しにするところだった。でも、僕の一番好きなメンバーでもある。彼のような人は他にいないからね。だから、ストーリーの重要な部分を明かしてしまっても、いつも許してしまうんだ。好き勝手しても許されてしまうような人だよ。他の人なら徹底的に調べられ、罰を受けるようなことをしても、彼なら大目に見てしまうんだ。不思議なことだよね、まったく…(笑)。
From ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。