結婚式といって注目を集めるのは、花嫁花婿だけじゃありません。そう、ウエディングケーキもです。

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 いよいよ明日(2018年5月19日)、ビッグデイを迎えるハリー王子とメーガン・マークルですが、前出のようにやはりケーキも気になります。

 そこで、ライフスタイルサイト「タウン&カントリー」が、2011年のウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式で8段重ねのフルーツケーキを手がけたフィオナ・ケアンズさんにインタビューを敢行していたので、そちらをご紹介しましょう。

 ロイヤルウエディングケーキの知られざる製作過程を、彼女がこそっと教えてくれました。

個人的にロイヤルファミリーを知る必要はない…

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ロイヤルウエディングのケーキを依頼されても、
個人的にロイヤルファミリーを知る必要はない。

 しかしながら、前もってお2人に自分のケーキを食べてもらうことはいいこととのこと。 

 2011年にロイヤルウエディングのケーキを作ることになる以前、ケアンズさんはさまざまなイベントでチャールズ皇太子やダイアナ元妃を含む王室メンバーにケーキを食べてもらう機会があったと言います。実際、ウィリアム王子とキャサリン妃はケーキ製作の依頼をする前から、「すでに私たちのフルーツケーキをよくご存じでした」と、ケアンズさんは話している。

 
 そして2011年、ついに初めて直接的にロイヤルファミリーの仕事を請け負うことになったのです。 

 
 他の花嫁のように、
「どんなウエディングケーキにするのか?」は、
ロイヤルブライドが最終決定権をもっている。


 多くの伝統やプロトコルが存在する王室だからこそ、「ウエディングケーキに関しても、当該のカップルは意見を言えないのでは?」と思うかもしれません。ですが、ケアンズさんによれば、そんなことはないのだそうです。 

「いろいろな意味でキャサリン妃の場合は、自分でウエディングケーキのデザインをしたと言えると思います。彼女は何を望み、何を望まないか非常にはっきりと知っていたからです――私たちは彼女からアイデアをもらい、彼女と打ち合わせを重ね、要点は彼女から得ていました」とのこと。 

 キャサリン妃は積極的に意見を言っていたそうですが、“ブライドジラ(ブライド+ゴジラの造語)”というわけではなかったそうです。ケアンズさんはキャサリン妃のことを、「彼女は本当に私たちを安心させてくれました。彼女はメディアで見るのと同じように自然体で、愛らしい人です」と語り、彼女とウエディングケーキを作り上げたことを「素晴らしいプロセスでした」と明かしました。 


ロイヤルウエディングケーキを作ることは
みんなが思う以上にストレスフル。



「私たちは将来の英国王と妃のウエディングケーキを作ることを、非常に大きな特権だと理解しました。そして本当に、プロジェクトがスタートした最初の日から、とても重大な責任を感じていました」と。さらに、「依頼の電話をもらった直後から、眠れない夜を過ごしました。私たちは、わが身をつねり続けなければいけませんでした。それはロイヤルウエディングの非常に重要な部分であり、私たちが事業として受けたなかで、最も大きく重要な依頼でしたから」と。 

 他のウエディングケーキと同様にケアンズさんは、「頼まれたものにできるだけ寄り添ったケーキを届け、ウィリアム王子とキャサリン妃に幸せを感じてもらいたい」と考えていたのだそう。とは言え、必要以上な情報を決して明かすことのできないロイヤルウエディング。当日までの秘密保持にも、たいへん苦労したとのことです。

計画を立てるのに1カ月

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 フルーツケーキを作るのに数カ月かかるため、ケアンズさんと彼女のチームは王室カップルと会った直後から準備をスタートさせることになったそうです。 

「私たちは結婚式が行われる2011年4月29日の2カ月ほど前の2月18日に、依頼を受けました。そして同年3月上旬に、すべてのケーキを焼き上げて、完成するまで2カ月を要しました」

 結婚式の数日前に、ケアンズさんと彼女のチームはバッキンガム宮殿を訪れて、8段のフルーツケーキの仕上げを行ったということです。 

 ハリー王子&メーガンのウエディングケーキを手がけるクレア・プタックさんは、バタークリームと新鮮な花々でデコレーションするレモン・エルダーフラワーのケーキを作ることを発表していますが、スポンジケーキと新鮮な生花は、フルーツケーキと砂糖の花よりも日持ちしないため、プタックさんはより短い時間でケーキを仕上げることになりそう。 

 ケアンズさんはケーキの各層を準備するのに数カ月、全体を仕上げるのに数日かけました。ですが、プタックさんはそのすべての工程を数日間で行っているということです。

 ケンジントンロイヤルのインスタグラムには途中経過らしき画像も公開されています。

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ロイヤルウエディングケーキは通常の
ウエディングケーキよりもはるかに大きい。

 それは多数のゲストのためではありません。ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式では、ケアンズさんのウエディングケーキはバッキンガム宮殿の大きなギャラリーに展示されました。非常に大きな部屋の中で紛れ込んでしまわないように、大きくしなければいけなかったようです。

「私たちは、これまで経験したことのないほどのスケールのケーキを作っていましたが、キャサリン妃は厚い信頼を寄せてくれました。彼女は、私たちがこのように大きなウエディングケーキを作ったことがないことを知っていました。今でこそ、その経験値を得ましたが、当時はまったくありませんでしたね」 

 3フィート(約91cm)に220ポンド(約100キロ)という大きさのケーキを作るために、ケアンズさんはチーム全員を引き連れてバッキンガム宮殿に向かったのですが、それでも完成させるのに2日半かかったということです。

必ずしも高さが必要というわけではない

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しかし、ロイヤルウエディングケーキは
必ずしも高さが必要というわけではない。

 1947年に行われたエリザベス女王とフィリップ王配の結婚式のケーキは高さがは9フィート(約2・7メートル)もありました。ですがケアンズさんによれば、「キャサリン妃は、最初から高さのあるケーキを望んでいなかったことを明確にしていた」と言います。 

 バッキンガム宮殿のスペースを埋めるために、ケアンズさんはケーキの高さと幅を同じくらいに。高さ1m、幅1mのケーキは通常のウエディングケーキとしては大規模なものですが、王室の基準としては歴史の中でもより低く、控えめなケーキの一つとして考えられています。 


ウィリアム王子とキャサリン妃の
ウエディングケーキとして
みんなが目にしたものは誰も食べていない。




「展示された実際のケーキ自体は、結婚式では誰にも提供されませんでした」と、ケアンズさんは「タウン & カントリー」に明かしています。 

 公開されたケーキを作るのに、ケアンズさんと彼女のチームは2、3日を費やしました。が、その後、結婚式の当日の朝食用に別のフルーツケーキを600食分用意したと言います。さらにチャールズ皇太子からのギフト用として、4000個分のケーキも追加で焼いたそうです。

選択肢は伝統的なフルーツケーキ以外にも…

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選択肢は伝統的なフルーツケーキ以外にも…

 ケアンズさんによれば、「ヴィクトリア女王の時代から、リッチなフルーツケーキが英国式のウエディングケーキとして選ばれてきたのだ」ということです。しかしながらハリー王子とメーガンが、エルダーフラワーとレモンケーキを選んだことで証明されたように、ロイヤルファミリーのウエディングケーキが必ずしもフルーツケーキである必要はないようです。 

 
「(ハリー王子とメーガンのウエディングケーキが)とても楽しみです。きっと素晴らしいものが完成すると思います。お2人が、伝統的なケーキを選ぶことはないだろうと思っていました。むしろフルーツケーキが選ばれていたら、驚いていたでしょうね」と。 

 実際、伝統的なもの以外の選択をしたのは、ハリー王子とメーガンが初めてではありません。1999年のエドワード王子とソフィー夫人の結婚式では、リンダ・フリップさんによって7段重ねのチョコレートケーキを製作しています。しかし、将来王位を継承するウィリアム王子とキャサリン妃は、伝統的なフルーツケーキ以外を考えることはなかったそうです。 


ほとんどのロイヤルカップルは、
彼らの未来の子どもたちの洗礼のために
ウエディングケーキの最上段を保存しておく。 




 英国王室の伝統に従い、2013年のジョージ王子の洗礼式ではケアンズさんが作ったケーキの1段が振る舞われています。

 ジョージ王子とシャーロット王女の洗礼に携わったケアンズさんですが、先日、誕生したルイ王子の今後行われる洗礼についてはコメントできないとのこと…。 

「私たちは3人目の洗礼にも、ぜひ関わりたいと思っていますが、これ以上の詮索はしたくないですね…」

1人でできる仕事ではない

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「ケーキを作ったのは私だけではなくて、私には素晴らしいチームがいました。固い絆で結ばれたチームで8人います。ですが、この件でさらに密接した関係になりましたね。私たちの人生において、決して忘れることのできない大切な一部を共有できたのです。そこで特別な名誉を、一緒に同時に経験したのですから…」とのこと。 

 また、ケアンズさんのチームが王立委員会に参加するにあたり、彼女の夫キショア・パテルさんが尽力してくれたのだそう。

「彼はビジネスの洞察力と、ケーキ事業を構築するビジョンをもっていますので…」とも語っています。 

 そしてケアンズさんは、最後にこう締めくくってくれました。 

「振り返ってみると素晴らしい経験でしたが、当時は重圧を感じていたことは確かです。このこといで、大きな責任を感じない人はいないでしょうね。歴史からすれば、ほんの小さな一部分かもしれません。ですが、私たちはそんな一大イベントに参加する側にいたのですから…」と、満足そうな笑顔で語ってくれたました。



From TOWN & COUNTRY
Photograph / Getty Images
Translation / Ai Ono