1981年10月14日、ニュージーランドのダニーデンを訪問していたエリザベス女王とフィリップ王配。その時、暗殺の危機に直面していたことがここにきて明らかになりました。

 ニュージランドのニュースサイト「スタッフ」が2018年1月に掲載した記事によると、暗殺を試みたのは当時17歳だったクリストファー・ルイス元受刑者。フェアファックス・メディア社のリクエストにより、機密解除された保安情報局の文書をもとにスクープしたそうです。

 1997年に記された情報局の文書にはこう書かれています。

 「ルイスは女王の暗殺を試みたが、適した発砲ポイントにいなかったうえ、遠距離射撃に適したライフルを持っていなかった」と。

 豪「シドニー・モーニング・ヘラルド」紙曰く、「ひどく情緒不安定」だったルイス元受刑者は、ビルの5階にあるトイレの個室に隠れ、車でパレード中の女王に向けてライフルを発砲。しかしながら、幸いにも銃弾が女王に届くことはなかったのだとか。

 その後、ルイス元受刑者にはライフルの不法所持と発砲の容疑がかけられましたが、反逆罪や殺人未遂罪に問われることはありませんでした。そして、懲役3年間の実刑判決となり、釈放後もニュージーランド当局による監視を受けることに。

 そうして暗殺未遂事件から10年後、ルイスはオークランドで暮らしていた女性の殺害とその子供を誘拐した罪に問われ、判決を待っている間に獄中で自殺。彼が残した遺書には、自分の潔白を主張し、自らの関与を否定する内容が書かれていました。

 「当局は女王の訪問中に物事を円滑に進めるため、この事件をずっと隠蔽していた」とロイター通信は報じています。その報道を受け、当局では現在、事件に関する文書を見直しているといいます。ちなみにバッキンガム宮殿は、この件に関してはノーコメント。女王も最近まで、この事実を知らなかったのか? 気になるところです。

From Town & Country
Translation / Reiko Kuwabara