映画芸術科学アカデミーは、文化&社会的な問題よりも映画にフォーカスした、盛大なセレモニーにしたいらしいのです。
Will Celebrities Wear Black on the Oscars Red Carpet?
プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインや俳優ケヴィン・スペイシー、ジェームズ・トバック監督、ブレット・ラトナー監督などのセクハラ騒動に揺れるハリウッド…。今年2018年度のゴールデングローブ賞と英国アカデミー賞(BAFTA)では、多くのセレブたちがブラックドレスでレッドカーペットに登場し、セクハラ被害者を支援する「Time’s Up」への賛同を表したのは記憶に新しいはずです。
では2018年3月4日(現地時間)に行われる第90回アカデミー賞でもセレブたちは黒の装いで参加するのでしょうか。
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米紙『ニューヨーク・タイムズ』が、アカデミー賞授賞式を手がけるプロデューサーのひとり、ジェニファー・トッドさんに聞いてみたところ、「いろいろ複雑な事情があるから、まだ分からない」とのコメントが返ってきました。
彼女曰く、映画芸術科学アカデミーは文化的&社会的な問題よりも映画にフォーカスし、90周年というアニバーサリーを盛大にお祝いしたいのだと背景があります。「できる限りエンターテインメント性に溢れた授賞式にしたいと思っている」「私たちもアカデミー賞の授賞式はスペクタクルなイベントであるべきだと思う」と。
さらに「Time’s Up」運動に参加している、ある2人の女性たち(匿名を希望)に問い合わせたところ、アカデミー賞のゲストに対しては「黒ドレスの着用」「活動家を同伴しよう」といった呼びかけを一切行っていないことが判明。しかし映画芸術科学アカデミーとの話し合いがまだ続いているため、ゲストたちが「Time’s Up」のピンを身につけたり、性的暴行やハラスメントへの抗議を思わせるようなスピーチやミュージカルが登場する可能性はあるのだといいます。
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このニュースを受け、授賞式をテレビ中継するABCエンターテインメントのチャニング・ダンギー社長は次のような声明を発表しました。
「『Time’s Up』の要望を尊重し、セクハラ撲滅へのメッセージを発信したいとは思っています。でもやるなら事前に計画し、その時間をきちんと設けたいです。そうすれば映画や受賞作品にもスポットライトを当てることができるし、受賞者たちもそのテーマ(セクハラ撲滅)に必ず触れなければならないというプレッシャーから解放されると思います」と。
要するに、「Time’s Up」運動にちなんで黒ドレスを着用するのかどうかは、本人次第ということ。それに「受賞スピーチの内容は本人が決めるもので、私たちが決めるものはない。プロデューサーとして一番望むことは、スピーチの内容に会場が感動し、盛り上がること。ただそれだけ」とトッドさん。どうやら受賞者はスピーチで政治的な発言をしてもOKのようです。
アカデミー賞では毎年、昨年の主演男優賞に輝いた俳優が、今年の主演女優賞のプレゼンターを務めるのが恒例ですが、2017年に主演男優賞を受賞したケイシー・アフレックには複数のセクハラ疑惑があるため、本人自らプレゼンターを辞退…。エンタメサイト『デッドライン』によると、ケイシーは「賞を受賞する女優の晴れ舞台を邪魔したくない」から、そのような決断を下したらしいのです。
果たして今年のアカデミー賞は、どんな話題を提供してくれるのか、今から楽しみですね。
From Cosmopolitan
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Translation / Reiko Kuwabara