カーアクションが楽しい映画『ベイビー・ドライバー』に主演した俳優は、意外にも安全運転派だった。が、映画に触発されてスピンを練習することもあるという。

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 映画『ベイビー・ドライバー』 アンセル・エルゴート

 強盗団の逃走のために雇われた敏腕ドライバーの活躍を描いた映画『ベイビー・ドライバー』は、カーアクションや音楽がてんこ盛りの作品だ。コミカルで爆笑できるシーンがありつつも、シリアスな要素を合わせもっており、飽きることなく鑑賞できる良作だ。 

 日本での公開を控えた8月中旬、本作の主人公ベイビーを演じた若手俳優、アンセル・エルゴートにインタビュー。本作の見どころなどを聞いた。 

編集部:多くの個性的な作品を手がけてきたエドガー・ライト監督からオファーされたとき、どんな心境になりましたか? 

 最初に会ったときは、真剣な話はせずに音楽の話をしました。僕は音楽が大好きでDJとしても活動しているので、最初のミーティングは音楽で盛り上がりましたね。 

 打ち合わせの最後にライト監督から、「君にぜひ読んでもらいたいものがあるんだ」と伝えられ、脚本を渡されました。脚本はiPadに入っていて、文面の間に音楽のアイコンが表示されていたんです。そのアイコンをタップすると挿入曲が流れる、というシステムでした。 

 脚本を読み進めていくうちに、ベイビーのトーンがしっかり伝わってきて、『ベイビー・ドライバー』が魅力的な作品だと実感できたんです。 

編集部:ベイビーは冷静沈着なキャラクターでありながら、音楽に合わせて体を動かすような側面もあります。この個性的なキャラクターを演じるにあたって、どう役作りをしたのですか? 

 ベイビーのような役こそ自分が演じたかったキャラクターだ−−そんな風に思ったんです。僕は俳優よりも先にダンサーとしてキャリアを始めたのですが、ベイビー役を演じるための準備だったといっても過言ではないかもしれません。今まで演じてきた役のなかで一番気に入っていますし、一番好きな作品でもあります。 

 実はオーディションの段階では、ライト監督から何を求められているのか分からなかったのです。撮影の準備期間中に、ベイビーは何者なのか?などの詳細を教えてくれましたね。自然にベイビーのことが好きになり、撮影を始めるときには違和感なく演じることができるようになっていました。 
 

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写真:本作であらゆる表情を見せてくれるアンセル・エルゴート。 

編集部:本作ではジェイミー・フォックスやケヴィン・スペイシーなど多くのベテラン俳優と共演しています。彼らから学んだことや、直接教えてもらったことは? 

 ジェイミーとケヴィンはユーモアたっぷりの役を演じていますよね。二人が演じるバッツやドクは怖い要素もありますが、ユーモラスなキャラクターだと思います。 

 二人は撮影中でも休憩時間でも人を楽しませようという気持ちが強くて、とても勉強になりましたよ。そして、自分をあまりシリアスに追い詰めないことを学びましたね。 

 彼らは役者として遊び心をもっていて、それはスクリーンを通じて皆さんにも伝わると思います。 
 

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写真:ジェイミー・フォックス(中央)やジョン・ハム(右)ら演技派キャストが勢ぞろい。 

 プライベートでのドライビングテクニックは?

編集部:エドガー・ライト監督は映画マニアとして知られています。今回役作りを行う上で、彼からこの映画を観ておいたほうがいいよ、などと言われませんでしたか? 

 『ブレット』や『トランザ7000』、『ボニー&クライド』、そして『フレンチ・コネクション』などを観るように勧められました。彼のオフィスには大きな液晶スクリーンがあって、自由に作品を鑑賞できるような環境を整えてくれたんです。 

 また近年、YouTubeで映画のワンシーンなどを鑑賞できるようになりましたよね。ですから、ライト監督と二人で「こんな感じだね」と話し合いながら、100シーン以上を鑑賞しました。彼は本当に多くの映画の良いシーンを知っているので、一緒に携わることができてさまざまなことを学ぶことができました。 

編集部:本作でベイビーは数々のドライビングテクニックで警察を翻弄します。プライベートでは、ベイビーのようにスピードを出すことはありますか? 

 どちらかというと、僕は安全運転派です(笑)。撮影ではさまざまなドライビングテクニックを目の当たりにすることができて、とても楽しかったですよ。 

 現場では、正確無比にクルマを操るスタントドライバーたちに囲まれていました。プライベートでは、公道で多くの運転が下手なドライバーたちを見ました。みんなが同じ気持ちで運転しているわけではないんですよね。だから、信号が赤になる瞬間に止まらないで走り続けるドライバーもいます。 

 今回、ハンドブレーキを駆使してスピンするシーンがあるのですが、早速僕も実践してみたんですよ!雨が降っている日はスーパーの駐車場のような広いところで、今でもスピンの練習をしています(笑) 
 

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写真:オープニングでのドライビングテクニックに興奮すること間違いなし!ベイビーのドヤ顔にもご注目を。 

編集部:プライベートでドライブを楽しむときの、お気に入りの曲は? 

 ビル・ウィザーズの「ラブリー・デイ」ですね。運転するときは落ち着ける曲がいいんです。というのも、渋滞などでストレスが溜まることもたまにありますからね。 

編集部:劇中曲で一番気に入っているのは? 

 それはもちろんベイビーのお気に入り曲でもある、「イージー」です!とにかく、あの曲を愛しているんです。最後のオーディションの前、まだ役が決まっていないときに、本作のサントラに含まれる予定の曲を使用したアドリブ演技をすることにな利真下。ライト監督から「この中で好きな曲はあるかい?」と聞かれたときに、僕は即座に「イージー」と答えたくらいですから。 
 

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スターの素質十分なアンセル・エルゴート 

 インタビューでは熱心に語る姿が印象的だったアンセル・エルゴート。時おり見せる爽やかな笑顔は、将来大物になるであろうオーラも放っていた。『ベイビー・ドライバー』を通じて、一気にスターの階段を駆け登っている彼は要注目だ。


アンセル・エルゴート(Ansel Elgort) 

1994年3月14日、アメリカ生まれ。身長191センチ。2013年に、映画『キャリー』で俳優デビューを果たす。その後『ダイバージェント』シリーズ、『きっと、星のせいじゃない』など、多くの映画出演してきた。今では人気若手俳優として注目されており、今後の活躍がとても楽しみな俳優である。また、音楽活動も盛んに行っており、DJとしても人気が高い。 

『ベイビー・ドライバー』 
2017 年/アメリカ/カラー/英語/113分 
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 
現在公開中 


公式サイト 
>>> www.babydriver.jp/ 

作品紹介ページ 
>>> http://www.mensclub.jp/lifestyle/news/babydriver17_0815_link/ 

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
映画『ベイビー・ドライバー』予告編
映画『ベイビー・ドライバー』予告編 thumnail
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Text & Photograph: Shun Yamanoi 
編集者:山野井 俊