新作映画『Vice』(原題)の予告編には、サム・ロックウェル(ジョージ・W・ブッシュ役)やスティーブ・カレル(ドナルド・ラムズフェルド役)も登場しています。
(c) Annapurna Pictures
どんな人にも…と言ったら、オーバーになるでしょう。なら、クリスチャン・ベールファンにとって…といえば妥当でしょう。そんな彼ら彼女らは、それぞれ「自分の好きなクリスチャン・ベール」というを持っています。
『ダークナイト』シリーズの主役ブルース・ウェイン、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の主役マイケル・バーリ、あるいは『アメリカン・サイコ』の変質者パトリック・ベイトマンや『マシニスト』のガリガリに痩せた機械工トレバー・レズニックなど、ベールはこれまでさまざまな役柄を演じてきました。
そんなベールは、出演する作品ごとに外見とくに体形を極端なまでに作り替えることで知られています。その変身ぶりは、病的に思えることも少なくありません。そして最新作『Vice』(原題)では、太った米国人の元副大統領ディック・チェイニー氏に変身しているのです。彼はディック・チェイニーになりきるために頭を丸め、眉毛を脱色し、18キログラム以上も体重を増やし、さらに首回りを太くするためのエクササイズさえしていたと報じられていました。
すでに皆さんはご存じかもしれませんが、ディック・チェイニー氏はブッシュ政権の副大統領として、米国を思慮に欠ける戦争へと引きずり込み、米国民をひそかに監視し、そしてウォーターボーディング(水責め尋問)を拷問の手法として採用するよう焚きつけたことなどで悪名高い人物です。
「クリスチャン・ベールが本当にやっているのは、演じる人物を心理的に分解した上で、再び組み立て直すということ」と、『Vice』(原題)を監督したアダム・マッケイはオンラインマガジン「Deadline」に語っています。
「私はベールほど真剣に役作りに取り組む人間をみたことがない。あの役作りは、彼にとってつらいものなのに…見ていて本当にびっくりしてしまう。この映画を撮ろうと思った瞬間、『チェイニー役としていちばんエキサイティングな俳優はベールだ』と私は即座に思った」とアダム・マッケイ監督。
ベールとマッケイ監督が一緒に仕事をするのは、2015年の『マネー・ショート 華麗なる大逆転』以来。ですが『Vice』(原題)には、その他にエイミー・アダムズ(チェイニーの妻で作家のリン役)、スティーブ・カレル(ドナルド・ラムズフェルド元国防長官役)などマッケイ作品の常連も出演しています。また、サム・ロックウェルがブッシュ元大統領を、ビル・プルマンがネルソン・ロックフェラー元副大統領を、そしてタイラー・ペリーがコリン・パウエル元国務長官をそれぞれ演じています。
2018年10月3日に公開された『Vice』(原題)の最初の予告編からは、同作品がマッケイ監督ならではの風刺のきいたドラマに仕上がっているとの感じが伝わってきます。そして、ベール演じるチェイニーは、サディスティックで陰から人を操る力、頭が悪くヘマばかりしているブッシュを操る人形遣いとして描かれています。
つまり言い換えれば、「このチェイニー像は現実にあったことの正確な描写」とも言いたいのかもしれません。
豪華キャストが勢揃いの政治映画『Vice』(原題)は、今年のクリスマスに北米で公開予定であるとのこと。日本公開予定日は未定となっていますが、2019年のどこかで公開されることでしょう。
絶え間なく大変身を遂げるクリスチャン・ベールの姿に、今後も目が離せません。
『VICE』(原題)の予告編でC.ベールの大変身をチェック
Getty Images
これぞ、クリスチャン・ベールが魅せる大変身
写真は、ディック・チェイニーへ変身前のクリスチャン・ベール…メイクなしです。「ダークナイト」シリーズ出演時とは、大きく変わった容姿となっている。
激痩せから激太りまで変幻自在
Getty Images
見た目は変幻自在でも、中身はクリスチャン・ベールのままなので…ディック・チェイニーのような恐ろしい人間には変貌していません。それはこの笑顔で分かりますね。
By Matt Miller on October 3, 2018
Photos by (C) Annapurna Pictures and Getty Images
ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊