ティモシー・ダルトンはピップスター版ジェームズ・ボンドともいえる存在で、本人よりもあの眉毛のほうが印象的な人物です。

威厳のあるしゃべり方をするあの舞台俳優は、一時、古くささを感じさせるようになっていた「007」シリーズに対し、大いに必要とされていた輝きをもたらしました。そんな彼が、「007」シリーズの2作品(1987年公開の『007 リビング・デイライツ』と1989年公開の『007 消されたライセンス』)でボンド役を演じた後、主役の座を降りてしまったのは非常に残念なことでした。

そこで気になるのは、「ダルトンはなぜこれだけファンに愛される人気映画シリーズから去ってしまったのか?」ということ。この疑問に対する答えが、29年後のいまになってついに明かされました。

ティモシー・ダルトンは
諸事情により
何年間もボンド役を
演じられなかった

1990年の映画(1990年に劇場公開予定だった「007」作品)をめぐって、当時、製作会社のイオンと配給元のMGMが法的な問題で争っていました。

この紛争が膠着状態に陥ってしまったことから、ダルトンは何年間もボンド役を演じることができなかったのでした。そして、プロデューサーのアルバート・R・ブロッコリ(ファンからは「カビー」の愛称でお馴染み)からダルトンに再びボンド役の出演依頼があったときには、映画の製作は計画通りには進んでいませんでした。

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ダルトンは『ザ・ウィーク』誌の取材に対して、「次の映画の話があったのは、おそらく4年後か5年後のことだった」と説明しています。

さらに続けて…「(ブロッコリは)私に007シリーズに戻るかどうかを打診してきた。それで私は、『えーと、実は考えが少々変わった。ボンド役をもう一度だけぜひやってみたいと思う』と答えたんだ」と、ダルトンは当時を振り返っています。

そして、「すでに出演していた2作品の良かったところを組み合わせて、3つめの作品にしよう」と、ダルトンは話していたようです。「するとブロッコリは、『いいか、ティム。もう1度だけというはダメだ。前作から5年も間があいてしまった後で1本だけ主役で出演というのはあり得ない。やるなら、4本もしくは5本やるつもりで計画を立てなくてはならない』と言ったんだ。彼の指摘は、実に的を射たものだった」と述べています。

「それを聞いて私は.、『そんなにたくさん「007」シリーズに出ていたら、一生がそれだけで終わってしまう。本数が多すぎるし、時間もかかりすぎる』と思ったよ。それで私は丁重に打診を断ったわけさ」と、ティモシー・ダルトン。

1995年公開の『007 ゴールデンアイ』への出演をダルトンが断ったことで、ピアース・ブロスナンがその役となりました。そんな経緯によって、評判のあまり良くないパロディのようなジェームズ・ボンドの時代が始まったわけです。しかしその後、2006年公開の『007 カジノ・ロワイヤル』では、ダニエル・クレイグが新たなボンド役に抜擢されました。彼の強烈な演技は、1980年代にダルトンが演じたボンドと比較されていたものでした。

ボンド役を降りたダルトンに対して、当初は批判の声も聞かれました。が、彼はそれ以来21世紀のジェームズ・ボンドの原型として言及されてきているのです。

今回、謎が明らかになったので、改めてダルトン版「ジェームズ・ボンド」を振り返ってみてはいかがでしょうか。

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Source / ESQUIRE UK
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。