宇宙飛行士ニール・アームストロングの人生を描いた新作映画『ファースト・マン』について、現状で分かり得るすべてをまとめてみました。2018年、最も期待される映画の予告編のほか、出演者や批評家のコメントについても紹介します。次回のオスカー有力作品候補に注目してみましょう。

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(c) Universal Pictures

 Everything We Know About 'First Man', Ryan Gosling And Damien Chazelle's Moon Landing Drama

【ストーリー】 
 
 ライアン・ゴズリングが演じるのは、実在した人物ニール・アームストロング。彼はNASAのミッションであった月面着陸を成し遂げ、人類で初めて月面に降り立った船長です。 
 
 そのアームストロング船長の宇宙飛行士としての人生を、ジェームズ・R・ハンセンの同名の小説をベースに、壮大なスケールで描いたこの映画。歴史上最も危険な任務を担ったアームストロング船長と、国家が払った犠牲や代価について掘り下げた内容になっています。 
 
 また、鋭いファンならゴズリングが着用している時計が、オメガのスピードマスターであることにもお気づきかもしれません。 

 
 スピードマスターはNASAのテストに合格し、1965年に宇宙飛行に適した規格となりました。このオメガのモデルは、月面で着用された初めての腕時計であることから、“ムーンウォッチ”とも呼ばれています。 

これはThird partyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 ファンの皆さんには残念ながら…、予告編をご覧のとおりミュージカルではありません。


【キャスト】 
  
 アームストロングの妻ジャネット・シアロンを演じるのは、クレア・フォイ。予告編だけでも、この過酷な使命を果たすためにアームストロングの家族がどれだけの犠牲を払ってきたかを、垣間見ることができるでしょう。 

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写真:(左から)ライアン・ゴズリング、デイミアン・チャゼル監督、クレア・フォイ。Photograph / Getty Images 
  
 
 一方でコリー・ストールとカイル・チャンドラーが、アームストロングとともにNASAの使命を果たしたバズ・アルドリンとデーク・スレイトンを演じています。さらにジョン・バーンサルは、1971年7月にアポロ15号の船長として月を歩き、月面に足跡を残した十数人のうちの1人であるデイブ・スコットを演じます。 

 
【スタッフ】 
 
 前述のとおり監督は、『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞史上、最年少32歳で監督賞を受賞したデイミアン・チャゼルが務めています。同年、彼は『ラ・ラ・ランド』でゴールデングローブ賞と英国アカデミー賞でも数多くの賞を受賞しました。この素晴らしい結果は、この前作の『セッション』における成功がもたらしたとも言えるでしょう。 
 
 そして脚本は、同じくオスカーを受賞した映画『スポットライト 世紀のスクープ』の作家であるジョシュ・シンガーが執筆。さらに映画プロデューサーには、ウィック・ゴッドフリーとマーティ・ボーウェンが名を連ねています。このペアは、映画『メイズ・ランナー』から『トワイライト』のシリーズまで、数多くのヤングアダルト向けの映画で成功をおさめています。

キャストや批評家たちのコメントを紹介

【キャストとスタッフのコメント】 
 
 2018年4月、チャゼル監督はラスベガスのシネコンで「アームストロング船長とアポロ11号の乗組員たちに、この映画を観に来てもらうことが最終的な目標でした」と語りました。 
 
 全米公開まで2カ月弱あるため、曖昧な部分はまだあります。ですが、この映画が観る価値に値することはキャストのインタビューによっても分かります。 

 
「エンターテイメント・ウィークリー」誌では、ライアン・ゴズリングが今回の映画の撮影経験を通して、「これらのカプセルがどれだけ小さいかを伝えることは、映画では本当に難しいことだと実感しました」と語っています。さらに同誌に、スタッフが「カプセルの大型レプリカ」を再現し、「宇宙飛行士が窓から見たものを再現するため、LEDスクリーンに宇宙空間の映像を映し出していた」ことを明らかにしました。 

 
 また、キャストとスタッフがニール・アームストロング船長の姉妹と家族にも協力してもらい、実際に住んでいた家の設計図に基づいて、アームストロング船長の家を再建したそうです。これはこの映画が、真実を正確に伝えることにこだわり抜いている証となります。 
  
 実際にゴズリングは、「ニールの子供たちであるリックとマークとともに彼らの育った家を訪れ、『スタッフたちがこの映画の権利を得るためにどれだけ熱心に働いているか?』を十二分に理解してもらえたことほど嬉しいことはなかった…」とも話したそうです。 
  

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写真:宇宙飛行士姿のライアン・ゴズリングもなかなかの男前です。Photograph / Getty Images 
  
 
 なおチャゼル監督は、「歴史上の1つのポイントに立ち戻るにあたり、何が自分たちにインスピレーションを与えたか?」という点について、こう答えています。
 
「いまでは、『月面着陸が簡単にできたことだ』と感じてしまう傾向があるようだが、だが、実際はそうでなく、すべての実現までの道のりがどれだけ困難で成功しそうにもないことであり、さらに未知数のリスクばかりの囲まれ、想像を超えた危険に包まれながら…まさに突拍子もないことであったという事実です」と。 
   
 
【批評家たちのコメント】 
  
 カンヌ映画祭やサンダンス映画祭ですでに発表された他のオスカー候補作品とは異なり、『ファースト・マン』は2018年8月29日に第75回ヴェネツィア国際映画祭ですでに上映されています。 
 
 2018年初めには、すでにさまざまなレポートも届いています。が、とりわけ印象的なシーンの1つが、「アームストロング船長が無事に月面旅行から帰ってくることができるのか?」ということを心配している子どもたちが質問に答えている場面である、と挙げられています。 
 
 アームストロング船長は子どもたちに、自分のチームはこの計画に自信を持って臨んでいることを伝えながらも、帰ってこられない可能性(死ぬ可能性)についても認めて説明しており、それはこのミッションがアームストロング船長の孤独な戦いであることも示唆しているようにも感じることでしょう。 
 
 また、人類のためにこの未知数の挑戦を遂げている間、家族を守ることで苦労しているフォイ演じるアームストロング船長の夫人の姿も描いているところも、素晴らしいシーンの1つ、と言われています。 
 
 これらの批評を聞いていると、ゴズリングがオスカー優秀主演男優賞を獲得するのは間違いなさそうです。 
 
 なお、微妙な演技や確かな動きだけでなく、視覚的効果も評価されています。『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』を観覧したレディットのユーザーは、『ファースト・マン』の4分の予告編の映像を観て、「唯一無二かつ圧倒的な撮影技術の高さにど肝を抜かれた」と投稿しています。 
 
「あるシーンでは音が全く聞こえなかった。それは完全な沈黙で、パーフェクトとしか言いようがない」と投稿しています。 また、「たった1つのシーンで、完全にこの映画の虜になりました。そんな経験は今までありませんでした。これは鳥肌ものです」ともコメントしています。 

  
『ファースト・マン』は、2019年2月に日本公開予定。宇宙飛行士姿のライアン・ゴズリングを観ることを、心待ちにしているファンは多そうですね。

By Olivia Ovenden on August 17, 2018
Photographs by (C) Universal Pictures and Getty Images
ESQUIRE UK 原文(English)
TRANSLATION BY Nana Takeda
※この翻訳は抄訳です。 
編集者:山野井 俊