ここに、エスケープ気分を盛り上げてくれそうな“海を舞台にした映画”を厳選してご紹介します。まぶしい青春モノから切ないサスペンス、ノスタルジックな人間ドラマまでまで、観終るころにはきっと、海を十二分に楽しんだ気分にさせてくれるはずです。しかも、日焼けのケアも必要なしですから…。
でも、精神衛生上は実際に海に行って、大自然に触れたほうがいいかとは思いますが…まずは、こちらで一時を凌いでください!
『太陽がいっぱい』(1960)
最近では、映画『キャロル』(2015)で知られる巨匠作家パトリシア・ハイスミスが原作の映画になります。
遊んで暮らす裕福なフィリップ(モーリス・ロネ)をアメリカに連れ戻すため、フィリップの父から依頼されてナポリにやって来た孤独で貧しい青年トム(アラン・ドロン)。フィリップにいつしか嫉妬するようになったトムは、彼を殺してなりすまそうとするにですが……。
絶世の美男子アラン・ドロンの代表作です。1999年に『リプリー』の名で、マット・デイモンら旬のキャストでもリメイクされ大ヒットしました。
『ビッグ・ウェンズデー』(1978)
1962年、カリフォルニアの海辺の町。マット(ジャン=マイケル・ヴィンセント)、ジャック(ウィリアム・カット)、リロイ(ゲイリー・ビューシイ)ら3人の青年は、水曜日にやって来るとされる伝説の大波“ビッグ・ウェンズデー”を夢に見ながらサーフィンに明け暮れていました。
が、やがて彼らにもベトナム戦争への招集令状が届き始め、仲間は散り散りになってゆくのでした…。
お気楽なサーフィン映画と思われがちですが、青春・戦争・友情など、胸が熱くなる要素が詰め込まれた傑作です。
『青い珊瑚礁』(1980)
売れっ子モデルから俳優を転身し、一躍世界的な人気となったブルック・シールズ。彼女が主演の映画と言えば、この作品でしょう。現在58歳(2023年11月現在)となった彼女ですが、撮影時にはわずか14歳だったのです。
南太平洋を航海中に船の事故に遭い、孤島に流れ着いた少年リチャード(クリストファー・アトキンズ)と少女エメライン(ブルック)。文明社会から離れ、サバイバル生活を経てふたりはたくましく&美しく成長し、やがて愛し合うようになる……。
海難事故はできるなら避けたいことですが、このように南海の孤島に流されたい思いも否めないでしょう。海を泳ぐ主演2人の美しさにも注目です。
今作が2度目のリメイクで、この後にも何度かリメイクされています。実はブルックはこの作品で、第1回ゴールデンラズベリー賞の受賞者となっています…。まぁ、許してあげてください。
『グラン・ブルー』(1988)
傑作『レオン』『ニキータ』のリュック・ベッソン監督が、長年の夢だったイルカに魅せられた潜水夫の物語を、実在の天才ダイバー、ジャック・マイヨールの協力を得て映画化したもの。
シチリアを舞台にフリーダイビング(素潜り)の世界記録に挑む、エンゾ(ジャン・レノ)とジャック(ジャン=マルク・バール)、2人の男の友情と闘い、そして、ジャックに恋をしたジョアンナ(ロザンナ・アークエット)の物語です。
日本での公開当初は、まったく成績は振るわなかったものの、後にカルトムービーとして大人気になりました。現在では、いくつかのバージョンが存在します。
『フリー・ウィリー』(1993)
母親に捨てられた孤独な少年ジェシー(ジェイソン・ジェームズ・リクター)。里親に引き取られてやって来た町の水族館で、家族と離ればなれになったシャチのウィリーと出会い、訓練と飼育をすることになります。
母との再会を夢見つつ、ウィリーとのふれあいに希望を見出していくジェシーですが、ウィリーの殺処分が決定することに…。そこでジェシーは行動に出ます。
ウィリーを演じたのは、実際に劣悪な環境の水族館にいたシャチのケイコ。映画のヒットにより基金が設立され、ケイコもまた解放されたという裏話を知っておくと、より映画が楽しめるかもしれません。
『ブルークラッシュ』(2002)
ハワイ・オアフ島が舞台の、スポーツ青春ストーリー。
主人公のアン(ケイト・ボスワース)は才能に恵まれたサーファーですが、迫る世界最高峰の大会を前に練習に励むものの、サーフ中に経験した事故がトラウマになり、克服できずにいます。
そんな折、アルバイト先で出会ったマット(マシュー・デイヴィス)と恋に落ち、サーフもおろそかに…。友人たちはそんなアンを歯がゆい思いで見守るのですが……。キャストたちのフレッシュな魅力がまぶしい、夏にぴったりの爽快作です。
『50回目のファースト・キス』(2004)
水族館の獣医ヘンリー(アダム・サンドラー)は、交通事故の後遺症で“前日のことをすべて忘れてしまう”という記憶障害を抱えるルーシー(ドリュー・バリモア)と出会い、恋に落ちます。
毎日一途に愛を告白し続け、ルーシーはその優しさと愛に触れ、毎日恋におちて毎日ファースト・キスを。少しずつ進展していくかに見えた2人の関係でしたが、ルーシーはとある決断を…。
常夏の島ハワイを舞台にユーモアを交えつつ、重いトーンに傾かずに描いた快作です。長澤まさみ × 山田孝之でリメイクした作品も高評価となりました。
『ライフ・アクアティック』(2004)
ウェス・アンダーソン節が炸裂する、愛くるしい作品です。
ウェス作品常連となったビル・マーレイ扮するスティーブは、落ち目の海洋探検家兼海洋ドキュメンタリー監督。自作のヒットに恵まれず、しかも、仲間を幻のジャガーザメに殺されてしまう。その復讐と自身の人気回復のため、個性豊かなクルーとチームを組むことに…。
ケイト・ブランシェットやアンジェリカ・ヒューストン、ウィレム・デフォーら豪華個性派キャストたちの共演に加え、クラフト感あふれるセットも見ものです。