人気ヒーロー軍団「アベンジャーズ」に属さない、マーベルヒーロー「デッドプール」がいることを皆さんご存じですか? それもそのはず、破天荒でおしゃべりが大好きな変わり者である彼は、これまでのヒーロー像を良い意味でぶち壊してくれます。日本公開を控えた5月末、主演ライアン・レイノルズが来日。最新作『デッドプール2』の話はもちろんのこと、プライベートの素顔について語ってくれました。
映画『デッドプール2』
編集部:今の時代、数多くのヒーロー映画がありますが、なぜ「デッドプール」シリーズがここまで愛され続けているのかと思われますか?
デッドプールはマーベルコミックのなかでも、とってもユニークな位置づけなんだよ。それは「キャプテン・アメリカやアイアンマンたちがやったことがないことを、デッドプールでは可能としているため」と言えるんじゃないかな。言葉使いも悪いし、道徳的にあやふやだったり、それが観客の皆さんに共感してもらえているのではないかと思うよ。
写真:ライアン・レイノルズが演じるのは、破天荒なヒーロー「デッドプール」。(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
編集部:ライアンさんはコメディセンスが溢れていることで知られていますが、影響を受けた俳優は誰かいますか?
コメディの影響を受けた俳優は、ビル・マーレイやエディ・マーフィーだね。よく彼らのモノマネをしていたよ。今の自分のキャラクターを確立したのは35歳くらいのときで、それまでは多くのエンターテイナーからあらゆることを学んだね。
編集部:あなたにとってのヒーローは誰なのでしょうか?
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でマーティ役を演じたマイケル・J・フォックスは、僕のヒーローだよ。何回もあの映画シリーズを見て、とてもワクワクしていたことを今でも覚えている…。他のヒーローだと、「ターミネーター」でお馴染みのアーノルド・シュワルツェネッガーだね。彼はとても分かりやすいヒーロー像だから。筋肉ムキムキで男らしくて、理想のヒーローだったね。(次ページへつづく)
デッドプール役のために、1日2時間トレーニングしていた
編集部:人気アクション俳優の仲間入りをしていますが、何歳まで第一線で活躍したいと考えていますか? また、アクション映画全体について教えてください。
そうだね、体の許す限り長い間アクション映画に出演したいね。健康体でいることが大事なだから、引き続きトレーニングを行っていこうと思っているよ。アクション映画全体に言えることは、60代になっても第一線級にアクションを行っている俳優はたくさんいることだだね。そんななか、60代女優はなかなかいない。でも、僕はハリウッドで3人くらい一流のアクションのできるベテラン女優を知っているから、彼女たちにもぜひフォーカスしてもらいたいね。
Photograph / Getty Images
編集部:長い間、見事な筋肉美を保たれていると思います。この筋肉美は、実際どのように保っているのですか?
僕は、撮影期間の前にトレーニングすることが多いね。『デッドプール2』のために、毎日2時間は筋トレに励んでいたよ。そして、食事にも気をつけながら毎日を過ごしていたね。ヒーロー役を演じるには、体を大きくする必要があると僕は思っているから、体重を増やすこともある。25歳のころは、アクションシーンでセメントの上で転んでもユーモアで何とか乗り切れたんだけど、今の41歳の体で同じことをしたら、やはり痛いわけ。でも、アクション映画に出るからには、スタントもできるように心がけて筋トレを行っているよ。(次ページへつづく)
妻ブレイク・ライブリーから得たアドバイスとは?
編集部:本作では脚本・製作も手掛けられていますが、妻ブレイク・ライブリーさんから何かインスピーレーションやアドバイスは受けましたか?
ブレイクには色々なことを相談したよ。デッドプールことウェイド・ウィルソンと妻ヴァネッサの関係においては、僕らの関係を少し取り入れている部分があるんだ。でも、多くのことをブレイクには語りたくなかったのが本音さ。それは彼女が本作を鑑賞したときのリアクションを見たかったからさ(笑)。ブレイクは、いつも私のそばで手伝ってくれる。本作では、音楽の選曲で貢献してくれたよ。彼女はミレニアル世代なので、僕があまり知らない音楽を聴いていたり知っているから、彼女の意見はとても貴重なものだったよ。
写真:ハリウッドを代表する美男美女カップルのライアン・レイノルズとブレイク・ライブリー。Photograph / Getty Images
編集部:ご自身のインスタグラムで、日々の仕事や生活を見せてくれていますが、ファンの方々のインスタグラムを見ることはあるのですか?
時間があるときは、なるべく自分のインスタグラムに書いてくれたファンのコメントには目を通すようにしているよ。『デッドプール』の製作構想があったのが2004年のころで、当時、何度もフォックスに企画を持ち込んだんだけど、なかなか気に入ってもらえず製作ができなかったんだ。そこで、たまたま僕たちが撮影したテスト映像がどこかでリークされて、そこで皆さんのSNSで話題となったんだよ。その反響のおかげで、「デッドプール」の製作が可能となったと言えるんだ。だから、本当にファンの皆さんのおかげなんだよ。みんなありがとう!(次ページへつづく)
渋谷スクランブル交差点と増上寺へ同行してくれた、ライアン・レイノルズ
編集部:ライアンさんは日本の影響を受けているようですね?
日本のアーティストで尊敬している人は多いけど、映画なら黒澤明だね。実は『デッドプール』第3弾のアイデアは、ある黒澤作品からヒントを得ているよ。他だと、一番好きな作家は村上春樹だね。彼に影響を受けて、僕はニューヨークマラソンに出場したくらいだから(笑)。お気に入りの作品は、『ノルウェイの森』や『海辺のカフカ』だね。でも実際のところ、まだ日本の文化や歴史を熟知していなくて…。たしか日本では、刀は一本しかなかったよね。デッドプールは刀を2本持っているので…。(苦笑)
写真:渋谷スクランブル交差点での撮影に興奮する、ライアン・レイノルズ。
編集部:いや基本2本ですよ。正兵装として本差(ほんざし)と、その予備の刀として脇差(わきざし)のセットになりますから。でも、同じ大きさじゃないんですよ。同じ大きさの刀を2本もつ…いわゆる二刀流の達人もかつていましたから…宮本武蔵はご存じでは? だから、ノープロブレムです! 二刀流ヒーローということで、デッドプールは逆に日本人には馴染み深いかもしれませんよ。『デッドプール3』をぜひ日本で撮影してください!
もちろん、検討したいね! 親友ヒュー・ジャックマンが、かつて「X-MEN」シリーズを日本で撮影したことを聞いてるし…その時、「とても良い場所だよ」って熱く語っていたから、実現させたいね。
編集部:ぜひ! 今から彼がロケを行った増上寺に行って、撮影しましょう。鐘も鳴らせるので良い体験ができると思います。
写真:インタビューの最後に、増上寺で鐘を鳴らすことに成功!
身長188センチを誇る、男前な俳優ライアン・レイノルズ。スターでありながらも、とても気さくなナイスガイでした。世界中の男女が彼のファンになる魅力とは何?を実感できました。
インタビュー中はデッドプールのキャラクターが彼に乗り移ったかのように、面白おかしいエピソードも語ってくれ、和やかなムードで終了。手を振ったり声をかけると、必ず笑顔で返答してくれる彼にどこか感動してしまいました。
「デッドプール」シリーズの最新作は、はたしてどんな物語が展開されるのでしょうか? 前作よりパワーアップしたストーリーは要注目です。
ライアン・レイノルズ(Ryan Reynolds)
1976年10月23日、カナダ出身の俳優。カナダで俳優デビューし、アメリカへ進出してTVシリーズ「ふたりの男とひとりの女」で人気を得る。代表作は『デッドプール』、『グリーン・ランタン』、『リミット』など。前作『デッドプール』では、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされた。近年、プロデュ―サーとしても活躍。プライベートでは、ハリウッドトップクラスの美人女優ブレイク・ライブリーと2012年に結婚。公私共に満足いく生活を送っている、今注目の俳優。
『デッドプール2』
2018 年/アメリカ/カラー/英語/120分
原題:DEADPOOL 2
配給:20世紀フォックス映画
2018年6月1日(金) 全国ロードショー
(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
公式サイト
>>>http://www.foxmovies-jp.com/deadpool/
(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved
Interview & Text: Shun Yamanoi
編集者:山野井 俊