2017年12月、ニューヨークのソーホー地区にあるラグ & ボーンのショップの地下で、人気映画シリーズ「スター・ウォーズ」に着想を得た同ブランドの最新コレクションを記念したイベントが開催されました。

 このイベントには、同シリーズでルーク・スカイウォーカーを演じてきたマーク・ハミルも出席。「しばしば、スター・ウォーズファンではないことを申し訳なさそうに打ち開けられる」というエピソードを笑いながら語り、「スター・ウォーズが好きじゃないからと言って、気分を害すことはありませんよ」と話しました。

 ハミルがキャリアのなかで、多くの役(たとえば、DCファンにとってはジョーカーの声優としてもお馴染みでしょう)を演じてきたことを考えれば、これは不思議ではありませんね。

 しかし、多くの人々にとって、ハミルといえば「ルーク・スカイウォーカー」のイメージがあるのも確かです。そんな彼は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のラストでのサプライズ登場を経て、同シリーズの8作目となる『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で完全にこの役に復帰します。

 今回、エスクァイア編集部はマーク・ハミルにインタビューを行いました。ハミルは、彼が人間よりも信頼しているという犬の話や米国のアニメキャラクター「ヒーマン(He-Man)」の話などに脱線しながらも、「スター・ウォーズ」シリーズ開始当初のエピソードやルーク役復帰の裏側、白髪交じりの新たなルークがどのように誕生したかなどについて話してくれました。

「スター・ウォーズ」シリーズは、多くのキャストにとってギャラカットであった

「スター・ウォーズ」シリーズ生みの親であるジョージ・ルーカス監督の言葉を正確に引用すれば、「スター・ウォーズは過去最もお金のかかる低予算映画」だったそうです。

 彼がこの言葉で意味したのは、ピーター・カッシングやアレック・ギネスなどの有名俳優は別として、知名度がないスタッフやキャストばかりだったということです。私が「テレビでは週に1万ドルは稼いでいたのに、本作のギャラは週に1000ドルですよ」と明かすと、スタッフには「分をわきまえてください。これは映画です。ジョージ・ルーカスですよ」と言われました。「確かにあなたの言うこともわかりますが、さすがにそれは」となりましたね。多くのキャストがそんな具合でした。

オリジナルのルーク・スカイウォーカーのパンツはリーバイスだった

 ルークのパンツは、リーバイスのジーンズからロゴが入った後ろポケットを外したものでした。スタッフはこれを色抜きし、短くして、私が両脚を動かしても大丈夫なようにプリーツを入れました。とはいえ、私がこれに気づいたのは、フロントボタンの「Levi Strauss」の刻印を見つけたときでしたが。

Action figure, Fictional character, Figurine, Luke skywalker, Princess Leia, Toy, Obi-wan kenobi, pinterest

「スター・ウォーズ」作品を観たことがなくても気にしない

 誰もが「スター・ウォーズ」好きというわけではありません。誰もがバナナを好きというわけではないように、合わない人もいるのです。

 みんなが同じものを好きな世界であれば、それはつまらないものになってしまうでしょう。ですが、私はしばしば「正直に言うと、『スター・ウォーズ』を見ていないのです」と打ち明けられることがあります。全然大丈夫です。観ていないからと言って、気分を悪くすることはありませんから。

◇ミレニアム・ファルコンのモデル番号は何か?

Fictional character, Action figure, Technology, Obi-wan kenobi, Facial hair, Photo caption, pinterest

熱狂的ファンの知識量には出演者の自分もかなわない

 「スター・ウォーズ」にはよくあることです。普通の人は映画などを楽しんだ後、自分たちの生活に戻っていくものです。ですが、私が「UPFs(ultra-passionate fans、超熱狂的なファン)」と呼ぶ人々は、想像もできないほどこの作品を愛してしまうのです。

 こういった人々は、この作品について私よりも遥かに多くのことを知っています。作品に関係するありとあらゆるものを読んでいるからです。たとえば、彼らは私が聞いたこともないような作品中の惑星について語ることもあります。

 『エレンの部屋』(トーク番組)のなかで、ファンの少年と「スター・ウォーズ」のトリビアクイズで対決したことがありますが、「ミレニアム・ファルコンのモデル番号は何か」という問題が出ました。思わず「冗談ですよね?」と言ってしまいましたよ。映画のなかには出てきませんから。こんな知識どこから得るんでしょう。もちろん、対決にはボロ負けしました。

facebookView full post on Facebook

「スター・ウォーズ」への復帰は「少しハラハラした」

 ルークとして復帰するとは、思ってもいませんでした。彼らはエピソード7〜9までを発表しましたが、私の知る限り初期三部作の主要なキャストが出演する予定はありませんでした。

 実際、私は観客側に回るのを本当に楽しんでいました。前日譚(エピソード1〜3のこと)は素晴らしい出来で、ジョージの仕事には夢中になりました。彼が初期三部作とはまったく異なる作品を作ったことを、とても誇りに思います。

 新三部作には独自のアイデンティティがあり、違ったフィーリングがありました。だからこそ、観客として見るのは楽しいものでした。新シリーズについても、同じことを期待していました。オリジナルがあり、前日譚があり、今度は私が新世代と呼ぶシリーズです。製作発表を見て「素晴らしい。上映が待ちきれない」とは言いましたが、ルークとして復帰するとなると、正直言うと少しハラハラする気持ちもありました。

Human, Beard, Facial hair, Photography, Elder, Portrait photography, Portrait, Screenshot, pinterest

ジェダイ・マスターにもエクステが必要

 映画のなかでは長髪ですが、一部はヘアエクステンションです。撮影中は「ちょっと! 風にはいつも注意しないと」と言っていました。

 なぜなら、ヘアエクステンションのネットが見えてしまいそうになっていましたからね。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の脚本で、ルークは「彼は振り返り、フードを脱ぎ去った。白い髪とあご髭がなびく。ルーク・スカイウォーカーであった」と描写されていました。思わず「ちょっと待ってください。これが年代的に『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』の後なら、ルークはまだ50台前半のはずです。この高齢者のような描写は何ですか」と言ってしまいました。

 髪の色は染めていません。ですが、あご髭はグレイだったので、私は製作総指揮のJ・J・エイブラムスに直談判しました。

 「あご髭を伸ばしてみてもいいでしょうか。これを見て満足できれば、脚本の描写に合いませんか」と。そうして、髭を伸ばしてみると、エイブラムスは認めてくれました。髪については伸ばせるだけ伸ばしてみましたが、後はヘアエクステンションを付けました。秘密を全部明かしてしまっているみたいですね。嘘でも自分の髪というべきだったかもしれません。

Source / ESQUIRE US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。