SF映画の金字塔として知られる、「スター・ウォーズ」シリーズ。これは誰もがその名前を聞いたことがある、大ヒット映画シリーズの金字塔であることは間違いありません。そんななか、シリーズスピンオフ作品『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の成績が低迷していることもあり、「スター・ウォーズ」シリーズの雲行きが怪しくなってきているそうです。

 映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の米国興行成績が期待外れに終わったことを受け、「スター・ウォーズ」シリーズの製作を手がけるルーカスフィルムはスピンオフ作品(「アンソロジー・シリーズ」)の新たな製作を一時保留にするとの決断を下した。

 このような話が、2018年6月にCollider.comで報じられました。

 複数の匿名情報筋の話として報じられたこの情報に対し、ルーカスフィルムはすぐさま反応。それが不正確なものであり、複数の「スター・ウォーズ」作品の製作が進行中であると述べています。

 この件について「ハリウッド・レポーター」誌では、「ルーカスフィルムで新作製作のペースがスローダウンしているわけでなく、彼らが(『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の不振で生じた)傷を癒やしているだけ」とする、別の匿名情報筋を伝えています。

 さらに、ルーカスフィルムの事情に詳しい別の人物の語った、次のような発言も引用されています。「これはスピンオフ作品がつくられなくなるということではなく、ルーカスフィルムが製作とマーケティングに関して、別のやり方を見つけ出そうとしているということだ」と。

 一方、「スター・ウォーズ」のファンの中には、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』について不満の声をあげ続けている人たちも少数ながら存在します。その中には、自分たちで同作品を作り直そうとキャンペーンを始めた人たちもいます。

 さらに、関連グッズの売れ行きにも陰りが見られるのも気がかりな点となっています。「ブルームバーグ」によれば、2018年中には「スター・ウォーズ」関連グッズの売上がマーベル作品の関連グッズに追い抜かれる可能性があるそうなのです。…とはいいつつも、実際、「スター・ウォーズ」をめぐる実情は、本当にそれほど深刻なのでしょうか?

 ルーカスフィルムがディズニー傘下に入った後に製作された「スター・ウォーズ」シリーズ作品が興行的にも評価的にも、成功を収めていたという点は見逃せません。

 「ハリウッド・レポーター」誌によると、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は全世界で13億3000万ドル(約1463億円)の興行収入を記録。また、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』に先行する3作品は、それぞれ10億ドル(約1100億円)から20億ドル(約2200億円)の興行収入をあげていたそうです。

 それに対し、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の全世界での興行収入は公開から1カ月で、3億4400万ドル(約378億400万円)でありました。これは間違いなく大金ですが、ディズニーにとっては雀の涙程度の金額に過ぎません。 

 こうした報道で描かれているのは、ディズニーが『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の圧倒的とは言えない成功から学んでいるということであり、それはいわゆる死刑宣告というわけではありません。
 

不振の原因について数多くの要因が挙げられる

 それでは、なぜ『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』はうまくいかなかったのでしょうか? 不振の原因については、数多くの要因が挙げられます。

 まず、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の公開が、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』公開からわずか6カ月しか経っていなかったことが挙げられます。また、多くの観客がハン・ソロというキャラクターのバックグラウンドを拡大した話に、単に関心を示さなかったというのも災いしています。

 ハン・ソロの出自というのは、おそらくディズニーが予想したよりもニッチな事柄なのでしょう。「スター・ウォーズ」シリーズのコアなファンはハン・ソロの出自に興味をもったかもしれませんが、カジュアルなファンには「どうでもいいことだった」のかもしれません。

 これまで「スター・ウォーズ」シリーズの他の作品で、製作中に監督が交代したり撮り直しがあったりすると、そのたびにさまざまな話が飛び交っていました。

 しかし、監督の交代や撮り直しといったものは、巨額の製作費を投じてつくられる大作ではふつうにあることです。他の映画との唯一の違いは、「スター・ウォーズ」シリーズの場合、細かな動きさえ見逃さない、とても熱心なファンが存在するということです。

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 ルーカスフィルムでは現在も、いくつかの「スター・ウォーズ」製作プロジェクトが動いています。

 そのひとつは米HBOの人気ドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』を手がけた、デイヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスのコンビが製作の指揮をとる新シリーズで、ほかにもライアン・ジョンソンが監督・脚本を手がける新しいトリロジーもあります。

 また、ディズニーのストリーミング・サービスで配信される予定の、ジョン・ファヴロー(映画『アイアンマン』シリーズの監督・製作総指揮などで知られる)によるライブ・アクション・ショーのプロジェクトも進んでいます。さらに2019年12月20日に劇場公開予定の、『スター・ウォーズ エピソード9』(仮題)ももちろんあります。これはルーク・スカイウォーカーをめぐる物語の結末が知りたい人にとって、間違いなくヒット作となるでしょう。

 ディズニーはスター・ウォーズ・トリロジーの最終作となるこの映画の興行成績に、声が大きく、人種差別的なファンがマイナスの影響を与えることを心配しているのでしょうか? もちろん、そんなことはありません。「スター・ウォーズ」ファンは、昔からずっと嫌になるぐらい煩(わずら)わしい存在でした。

 ただし、昔はソーシャルメディアも存在せず、それで彼らの感じの悪い意見が人に伝わるようなプラットフォームもなかったというところが、現在との唯一の違いです。しかし、それが大きな影響の根源でもあると言えるでしょう。

 スター・ウォーズは史上最大の映画フランチャイズのひとつです。ほぼすべての人が「スター・ウォーズ」作品を観たことがあり、ほぼ全員が今後登場する同シリーズの映画を観ることでしょう。その中で、ストーカーのように煩わしいファンは「スター・ウォーズ」作品を目にする観客全体のごく一部に過ぎないのです。

  「スター・ウォーズ」は、これからもまったく問題ありません。この地球に人類が存在する限り、彼らが楽しむための「スター・ウォーズ」のコンテンツは永遠にあり続けることでしょう。

Source / ESQUIRE UK
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。