まさにOver The Top(オーバーザトップ)の動きで、テレビの世界をひっくり返し始めた「OTT」の代表格であるネットフリックス。今度は映画業界に、さらなる影響を与えることでしょう。

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Netflix Might Be Getting Into the Movie Theater Business

 Netflix(ネットフリックス)は、ネット経由のストリーミング動画配信サービスでテレビ業界の様相を一変させてしまいましたが、そんな同社がこのところ映画館に注意を向けているようです。

「ロサンゼルス・タイムズ」紙の報道によれば、ネットフリックスはニューヨークとロサンゼルスで映画館を物色しているそう。オリジナル作品を劇場でも確実に公開できるようにすることで、さまざまな賞を獲得できるようにするのが同社の狙いとのことです。 

 ネットフリックスはこれまでに、『マッドバウンド 哀しき友情』『オクジャ』といったオリジナル作品を一部の劇場で短期間公開したことがありますが、このことで有力な映画業界関係者と同社との間に軋轢が生じていました。たとえばスティーブン・スピルバーグ監督は、ネットフリックスのオリジナル映画作品をテレビ向けにつくられる映画に似たものと見なしており、「選考基準を満たすために、ごく一部の劇場で一週間ほど上映されただけの作品はアカデミー賞にノミネートされるべきではない」と発言しています。 

 また、クリストファー・ノーラン監督もスピルバーグ監督と同様の思いを明らかにしていました。

 一方、ネットフリックスは現在、カンヌ映画祭の主催者を相手に同映画祭の出品作品に関するルールをめぐってケンカを続けています(主催者側がフランス国内で劇場公開されない作品は受賞対象にならないとしたのに対し、ネットフリックス側がフランスでの劇場公開を拒否したため)。 

 ネットフリックスの言い分はというと、「同社の製作するオリジナル作品は劇場公開日と同じ日にネットでも配信開始になることから、作品を上映してくれる映画館を確保するのが難しい」というもの。しかし、ネットフリックスが自前の映画館をもてば、同社は作品の箔付けにつながる劇場公開を確実に行えることになり、結果的に映画際などでの受賞確率を上げられることになるでしょう。 

 しかし、「自宅のソファーでくつろぎながら簡単に観られる作品を、わざわざ映画館まで足を運んで観たがる人間が筋金入りの映画マニア以外にいったいどれくらいいるか?」というのは、いまのところまだ予想することはできないのが現状です。 

 映画作品を自宅のソファーで鑑賞したいのか? それとも劇場の大スクリーンと高い音響環境のなかで鑑賞したいのか? によって、ユーザーのマインドは変わることでしょうから…。

By Gabrielle Bruney on April 23, 2018
Photos by Getty Images
ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。 
編集者:山野井 俊