米アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーの理事会は2018年8月7日に、多くの観客に支持されヒットした映画から最優秀作品を選ぶ「人気映画」部門の新設を決定しました。2019年2月の授賞式に間に合うかどうかは、不明ではありますが。
まだ8月中旬であることもあり、どの映画が今夏のブロックバスター作品(1億ドル以上の製作費をかけ、大規模の宣伝を行う大作映画のこと)になったかはよくわかりません。ですが2019年春に、どの映画がアカデミー賞を獲得するかについて意見を交わすのは、どんなに早く始めても早すぎるということはないでしょう(笑)。
私たちにとって非常に幸運なことなのですが…アカデミー賞を決める米映画芸術科学アカデミーは2018年8月9日、次回(第91回)のアカデミー賞に関して、いくつか大きなニュースを発表しました。第91回アカデミー賞の授賞式は、2019年2月24日(米国時間)に開催&放映予定となっています。
まず1つ目のニュースですが、授賞式の時間が3時間になるというもので、これは特に目新しいことでもありません。が、事前に告知してもらえるのは有り難いことですね。
次に2つ目は、テレビの放映時間の関係で受賞の様子が放送されない賞があるというもの(音響編集賞の受賞者になる方、映らない可能性がありそうです)。
そして3つ目は、「人気映画の中で際立った業績」を残した作品を讃える、新たな賞のカテゴリーが設けられるというものでした。
ドウェイン・ジョンソン(「ザ・ロック」)あたりが、この人気賞新設をアカデミー賞獲得の絶好の機会ととらえていることは間違いないと私は思います(2018年、ジョンソンは『ランペイジ 巨獣大乱闘』と『スカイスクレイパー』の2作品に出演しているので、受賞のチャンスが2つあるということになりますので)。
新設されるカテゴリーについては、まだ多くの疑問が残っています。例えば、米映画芸術科学アカデミーはある映画が「人気のあった作品」の候補作と、従来のアカデミー作品賞候補作のどちらに該当するかをどうやって決めるのか? といった疑問です。
大ヒットを記録する大衆向け映画は
はたして本当にオスカー受賞できるのか?
ここで、2018年2月に行われたアカデミー賞で、優秀作品賞の候補に残ったノミネート作品を例に考えてみましょう。
興行収益だけで判断しても、非常に人気のあった作品がいくつかありました。たとえば『ゲット・アウト』と『ダンケルク』は、チケットの売上げが1億ドル(約111億円)を超えていました。また、作品賞を獲った『シェイプ・オブ・ウォーター』の興行収入も6300万ドル超(約70億円)でした。
そして、中高年層に人気が高かったスピルバーグ監督作品、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』も8000万ドル以上(約89億円)稼いでいます。
ですが、2017年最も人気のあった作品は、「アカデミー賞では冷遇されていた」というのが私の見解になります。
去年興行収入が多かった上位5作品は『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、『美女と野獣』、『ワンダーウーマン』、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』。人気作品賞の新設は、以前ヒットした映画の続編がアカデミー賞を獲る事例が増えることを意味するのでしょうか?
はたしてこの新カテゴリーは大方の予想を裏切らず、「続編および焼き直しに関する業績を讃える賞」として噂されるだけのものになってしまうのでしょうか?
私の仮説は次の通りで、これは最終的に間違っていないと思います。
2018年に公開された映画の中で最も人気と評価が高いとされるマーベル映画『ブラックパンサー』が、2019年のアカデミー賞で作品賞を獲らない(もしくはノミネートすらされない)とまったく格好がつかないということが同アカデミーにはすでに理解しており、新たな賞の設置はそうした事態を想定したダメージ緩和のための予防措置だというものになります。
さあ、はたして第91回アカデミー賞の人気作品賞を受賞するのは、どの作品になるのでしょうか? ノミネートの段階から、要注目です。
Source / ESQUIRE UK
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。