ネットフリックス(Netflix)が製作から配信まで行うオリジナルの映画作品が、このところ増えています。そんな折、これを巡ってハリウッドの映画関係者の間で、意見がふたつに割れているようです。

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Steven Spielberg Thinks Netflix Movies Should Be Banned From The Oscars

 マーティン・スコセッシやコーエン兄弟を含む多くの著名な映画監督たちはいま、ネットフリックスの支援を得て、同プラットフォーム向けの大作映画を製作してきています。ですが一方で、ネットのストリーミング配信が映画業界に与えた影響を依然として快く思っていない人たちもいます。 

 そうした批判派の代表格が、映画監督のクリストファー・ノーラン(『ダンケルク』や『ダークナイト』などの作品を手がけた)です。それに加えてこのたび、スティーブン・スピルバーグがネットフリックスのオリジナル作品に苦言を呈しました。 

 スピルバーグ監督は英ITVとのインタビューのなかで、批評家などから賞賛を浴びるネットフリックスのオリジナル作品について、「アカデミー賞の候補にノミネートされるべきではない」と述べています。 

「ほんの数軒の映画館でしか上映されず、しかも、上映期間が1週間にも満たないような作品には、アカデミー賞にノミネートされる資格はないと私は考えている」と、スピルバーグは述べています。(次ページへつづく) 

映画芸術がパソコンの画面という 
制約のなかで苦戦を強いられている

 現在、71歳のスピルバーグは、これまでに3つのオスカーを手にしています(『シンドラーのリスト』で監督賞と作品賞、『プライベート・ライアン』で監督賞)。そんな彼の考えは、映画芸術がパソコンの画面という制約のなかで苦戦を強いられているというもの。 

「わざわざ映画の製作費を集めたり、あるいはサンダンス映画祭に作品を出品したり、場合によっては、インディ映画を専門とするレーベルと契約して、自分の映画を劇場で公開するような人間は、これからますます少なくなるだろう。そして、ネットフリックスのようなストリーミング配信事業者に製作費を出させて、作品をつくる人間がもっと多くなる。後者の場合には、いろんな賞の選考基準を満たすために、ごく一部の劇場で1週間ほど作品を上映することもあるかもしれない…。しかし実際のところ、1度テレビのフォーマットにコミットしてつくった映画は、テレビ向けの映画なのです」と、スピルバーグは続けて語りました。 

 そんなスピルバーグですが、ネットフリックスのオリジナル映画をまったく認めていないというわけではありません。「(ネットフリックス作品は)エミー賞の選考には値するが、オスカーに値するものではない」とコメントしています。 

 2017年にネットフリックスは、オリジナルコンテンツの『マッドバウンド 哀しき友情』と『オクジャ』を短期間劇場公開し、アカデミー賞の選考基準をクリアしていました。そして『マッドバウンド 哀しき友情』の場合には、この手法が功を奏し、アカデミー賞4部門にノミネートされています。
 現在、「ITV News」のYoutubeチャンネルでは、このスピルバーグのインタビュー動画を公開しています。ぜひチェックを。 
  

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Steven Spielberg on the threat of Netflix, computer games and new film Ready Player One | ITV News
Steven Spielberg on the threat of Netflix, computer games and new film Ready Player One | ITV News thumnail
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By Nick Pope on March 23, 2018
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ESQUIRE UK 原文(English)

TRANSLATION BY Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。


編集者:山野井 俊