「祖父と父から受け継いだものを大切に守りつつ、今の時代を反映した服作りをしたいんです」と少年のような笑顔で語る、名門サルト「ルビナッチ」の3代目ルカさん。18歳からロンドンの老舗テーラー「ハンツマン」などで学び、その後は父のマリアーノさんからナポリ独特の技術を徹底的に叩き込まれたそうです…。
ルカ・ルビナッチさん…イタリア、ナポリの名門サルト「ルビナッチ」の3代目。2010年のGQUKの「世界でもっともエレガントな男性10人」のランキングではジョージ・クルーニーを押さえ7位に。
――伊、英それぞれのよさをミックスし、自分が本当に着たいと思える服を提案するのが楽しみで仕方ないそう。クライアントができあがったスーツを試着に来るときは、必ず自らフィッティングに立ち会います。「だって、それがサルトの仕事だから」。
それまでのサルトの概念を超え、オリジナルのシューズや帽子の手がけたり、イタリアのライフスタイルブランドとのコラボレーションで時計を作るなど、ルビナッチブランドとして新アイテムを展開しているのもルカさんのアイデアです。
南イタリアで生まれ育ったことからか、鮮やかな色使いでインパクトを残しつつ、それでいて上品なコーディネイトが多いルカさんは、ファッショ二スタとしても常に注目の的。雑誌の表紙も飾っています。
クラシックさと軽快さを
両立するスーツスタイル
ヘリンボーン柄のスーツには編み柄のあるローゲージニットを合わせてあたたかみのあるスタイルに。レトロな雰囲気の帽子は、かつて新聞配達の少年たちが被っていた「モネッロ(いたずらっ子の意。新聞をほうり投げるため)」。あえてスーツに合わせるのはルビナッチ流です。
パンツの太さと裾幅にはずっと変わらないこだわりあり
15年前に作ったオーダースーツ。細身パンツ全盛期の際もずっとこの太さが定番でした。ターンナップは必ず4.8㎝。長く着続けるものだからこそミリ単位までこだわるべきだと言います。
カジュアルなデニムシャツを、あえてクラシックなスーツに合わせて遊び心を足して。
極上のカシミアはリラックスしたいときに
友人たちとのアペリティフなど、ちょっと飲みに行くときのリラックススタイル。
ニット、ジャケットともにカシミアのコーディネイトは、外にいても家で寛いでいるような錯覚に陥るほど心地いいのだそう。
ブラック&ダークブラウンでシックな装いの上品なヴィンテージ時計を。
Photograph / Massi Ninni
Coordination & Text / Minako Shimada
Edit / Yumi Matsubara