今特集では攻めの靴中心でお届けしてきましたが、攻守ともにこなせる靴がありました。
それがダブルモンクシューズです。というのも、このタイプはこの世に誕生したときから、
すでにオンとオフの両要素を兼備。天候にあまり影響されずに履くことができ、
流行に左右されることもなく、しかもスーツからカジュルなスタイルにまで
絶妙にマッチしつつ、確実にお洒落をひと盛りしてくれるのです。
間違いのない靴選びの筆頭ともいえるタイプ。
実は、こんなに攻守巧みな靴って、そうそうありませんから。
ダブルモンクが使える理由
メインイメージに関して ©Globe Photos/Aflo
【01 どんな着こなしにも合う抜群のフォルム】
スーツからデニムまでOK!
イタリアの街角で見かけた洒落者たち。その足元をダブルモンクが占める光景は、確かに増えています。しかも皆さん、デニムからスーツまでさまざまなスタイルに合わせて履きこなしています。つまり、これはダブルモンクの汎用性の証明。1足あればオンもオフも!これもダブルモンクが大ウケしている理由なのです。
【02 どんな天候でも履ける汎用性】
実用性が備わったタフなディテール
両「ウィリアム」がそうであるように、元来、ダブルモンクにはアビエイター由来のミリタリー的要素と、英国カントリーのディテールが兼ね備わっています。写真のパラブーツのように縫製もタフな仕立てですし、雨天でも躊躇なく履けることを可能にするぶ厚いソールなど。洒落靴でありながら、実用性に優れた靴でもあるのです。
【03 ウィンザー公が愛用! エレガントな出自】
品があるのに カジュアルなのはワケがあります
ドレッシーにもカジュアルにも見えるダブルモンクは、出自でもその両要素を兼ね備えていました。つまり、ジョン ロブがウィンザー公(写真左)のために製作したビスポークが原型(下は当時の「ウィリアム」)である点ではノーブルであり、デザインがアビエイターブーツ に由来する点でカジュアルだということなのです。
「ウィリアム」で検証するダブルモンクの“底力”
シンプルな着こなしにひと盛り感を加える〝攻めの靴〟になり、時代に左右されない普遍性を備えた〝守りの靴〟にもなる。そんな攻守備えた靴がダブルモンクです。とはいえ、なじみを感じない人も多いはず。長らく異形な靴とされ、主流をなすことがなかったため無理もないのですが、実はこの数年、世界規模で人気が高まっていて、愛用者の裾野が広がりつつあるのです。
では、なぜダブルモンクは攻守ともにいける靴なのでしょうか? まず、ひと目でそれとわかる個性的デザインが、足元を確実に〝盛り上げる〟ということです。たとえば、丈短めのナローなパンツに、この靴を合わせると足元が品よく引き締まり、かつダブルバックルがリッチ感を添えて、着こなしの絶妙なポイントになってくれるというわけ。このユニークなデザインは、中世修道士の靴が原形のシングルモンクが発展したものと思われがちですが、実はまったくの別系統です。
1945年、ウィリアム・ロブ氏がウィンザー公のために、アビエイターブーツ(飛行士用ブーツ)をヒントに考案したビスポークが事はじめで、これを後年、既製靴にしたのが、ダブルモンクのマスターピースにして、同氏の名が冠されたジョンロブの「ウィリアム」でした。そして、この出自からわかるとおり、元来、ダブルモンクには王侯向けゆえの品の良さと、アビエイターブーツ由来のカジュアル感の両方が備わっており、それゆえに自ずとデニムからスーツまでさまざまなスタイルに無理なく合うというわけ。加えて、オケージョンにおいても「ウィリアム」は〝攻めの靴〟に。
実は「ウィリアム」はジョンロブのほかに、パラブーツにも存在。一時期、ジョンロブのためにアウトドアスタイルの「ウィリアム」を生産していたリシャール=ポンヴェール社が、後年、パラブーツで復刻させたのですが、この「ウィリアム」。ノルウェイジャン製法による堅牢なステッチや、耐摩耗性などに優れたラバーソールの採用で全天候に対応します。もっとも、元祖「ウィリアム」にしても、ダブルソールなどのカントリー仕様が取り入れられているため、オケージョンの守備範囲は広いのです。
このように2つの「ウィリアム」が象徴するように、コーディネイトにおいても使うシーンにおいても、オールマイティで活躍できるダブルモンクは、ときに着こなしを格上げする〝攻めの靴〟となり、しかしスーツの足もとをサポートする靴として、また長く愛用できる〝守りの靴〟にもなる硬軟あせもつ傑作靴なのです。もし、まだその魅力をご存じなければ、ぜひこの機に体感してみてください!
JOHN LOBB “WILLIAM”
15万7500円(ジョン ロブ/ジョン ロブ ジャパン) ●お問い合わせ先/ ジョン ロブ ジャパン TEL 03・6267・6010http://www.johnlobb.com/jp/
【ジョン ロブ 「ウィリアム」】
すべてはここからはじまった! ダブルモンクストラップの原点
ブランドのアイコンにして、ダブルモンクの元祖的存在
かつて「ジョン ロブ パリ」の責任者だったウィリアム・ロブ氏が、洒落者としても名高いウィンザー公こと英国王エドワード8世のために考案・製作したビスポーク。それが1982年にレディメイド化され、ブランドアイコンとして今も展開されているのが、この「ウィリアム」。デザインはアビエイターブーツ由来ですが、コバのステッチが靴を全周するオールアラウンドグッドイヤー製法や、ダブルソールであるなどカントリーブーツの要素も。傑作木型「9795」を採用。ドレッシーなブラックカーフ製。
PARABOOT “WILLIAM”
6万3000円(パラブーツ/パラブーツ青山店) ●お問い合わせ先/ パラブーツ青山店 TEL 03・5766・6688 http://paraboot-japan.com/
【パラブーツ 「ウィリアム」】
質実剛健な作りと重厚な面持ちがウケ、ファッショニスタの足もとを飾る!
十八番のノルヴェイジャン製法で作られた堅牢靴
1990年代に存在したジョン ロブのラバーソール×ノルヴェイジャン製法の「ウィリアム」。その生産を担った仏リシャール=ポンヴェール社が2010年にパラブーツで完全復刻させたのが、こちら。グリップ性や衝撃吸収性、耐摩耗性に優れる自社製の「マルシェⅡ」ソールを装備。このラウンドしたトウとボリュームのあるソールなどがうけて、現在ブームが再熱中です。「リスレザー」製のネイビー。
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【01】
●お問い合わせ先/ ジャケットリクワイヤード 表参道店 TEL 03・6427・1961http://www.jacketrequired.jp/
【LOAK】 ローク
本格英国ダブルモンクの入門編に!
英国王室御用達を賜わる名門のドレスダブルモンク「キャノン」。木型「キャピタル」は控えめセミスクエアトウのベーシックな佇まいです。4万8300円(ローク/ジャケットリクワイヤード 表参道店)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【02】
●お問い合わせ先/ウィリー TEL 03・5458・7200
【F.LLI GIACOMETTI】 フラテッリ ジャコメッティ
ユニークなカントリーダブルモンク
ダブルソール採用のカントリー調フルブローグタイプ。ぽってりフォルムと、甲のエプロン部&ストラップやバックルに曲線を取り込んでクラシック顔に。9万9750円(フラテッリ ジャコメッティ)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【03】
●お問い合わせ先/ ユニバーサルランゲージ 渋谷店 TEL 03・3406・1515http://blog.uktsc.com/sibuya
【UNION IMPERIAL UNIVERSAL LANGA】
ユニオンインペリアル×ユニバーサルランゲージ
スペックは高級靴並みでも超コスパ
仏アノネイ社のボックスカーフを使い、底づけに手縫いも取り入れたハイスペックながらこの価格を実現! 4万5150円(ユニオンインペリアル×ユニバーサルランゲージ/ユニバーサルランゲージ 渋谷店 TEL 03・3406・1515)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【04】
●お問い合わせ先/ ビームス 銀座 TEL 03・3567・2224http://www.beams.co.jp/shops/detail/beams-ginza
【DI MELLA】 ディ メッラ
冬スタイルを格上げする一足
履きこなしの幅が広がるアンクル丈ブーツ。ビームス別注は、ボリューム感ある素材のパンツにも合うよう、コバを少し張り出させて展開。ブルーライナーもお洒落。5万400円(ディ メッラ/ビームス 銀座)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【05】
●お問い合わせ先/ワールド フットウェアギャラリー 神宮前本店 TEL 03・3423・202http://www.wfg-net.com/
【BOLLINI】 ボリーニ
差し色効果絶大のグリーンスエード
濃淡が美しいグリーンスエードに、トノー型バックルが優美にきらめく粋なスクエアトウモデル。仕上げもおみごとです! 4万7250円(ボリーニ/ワールド フットウェアギャラリー 神宮前本店)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【06】
●お問い合わせ先/ ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL 03・5412・6908http://galleryofauthentic.jp/
【FOOT THE COACHER】 フット・ザ・コーチャー
竹ヶ原氏が英国仕込みの技術で製作
チャールズ皇太子の靴も製作した竹ヶ原敏之介氏の最新作。グッドイヤー靴に、ビブラム社のソフトスタッズソール採用で履き心地軽快。7万350円(フット・ザ・コーチャー/ギャラリー・オブ・オーセンティック)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【07】
●お問い合わせ先/ トレーディングポスト青山本店 TEL 03・5474・8725http://tradingpost.jp/aoyama/
【CROKETT & JONES】 クロケット&ジョーンズ
“モダンブリティッシュ”を体現
トウキャップ切り替え周りの小穴飾りが控えめなアイコンの「サウスウェル」は、セミロングノーズがモダンで品のある木型「358」。8万5050円(クロケット&ジョーンズ/トレーディングポスト青山本店)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【08】
●お問い合わせ先/ ハイブリッジ インターナショナル TEL 03・3486・8847http://highbridge.co.jp/
【BUTTERO】 ブッテロ
味ありルックスにオペラ風味を添加
「オペラ」のシリーズ名どおり、オペラシューズをヒントに、薄めのソール、張り出しのないコバ、軽快な履き心地を取り入れて上品に。5万6700円(ブッテロ/ハイブリッジ インターナショナル)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【09】
●お問い合わせ先/ ブルックス ブラザーズ ジャパン TEL 03・3403・4990http://shop.brooksbrothers.co.jp/
【BROOKS BROTHERS】 ブルックス ブラザーズ
アメトラの御本家が展開する英国靴
ロンドンビスポークの名店ピールの商標を継ぐこちらが、その「ピール」とのダブルネームで展開する英国らしい端正な佇まいの一足。7万9800円(ブルックス ブラザーズ/ブルックス ブラザーズ ジャパン TEL 03・3403・4990)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【10】
●お問い合わせ先/ 阪急メンズ東京 TEL 03・6252・1381http://www.hankyu-dept.co.jp/mens-tokyo/
【PERFETTO】 ペルフェット
シャープなノーズラインの小粋靴
東京発ブランドのダブルモンクは、サイドウォールが屹立したチゼルトウモデル。履くだけで足元がキリッと引き締まって見え、脱げば赤いライニングで小粋に。3万8850円(ペルフェット/阪急メンズ東京 TEL 03・6252・1381)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【11】
●お問い合わせ先/ ビームス 銀座 TEL 03・3567・2224http://www.beams.co.jp/shops/detail/beams-ginza
【SANTONI】 サントーニ
スーツから週末まで全方位で対応
マッケイの軽快さにグッドイヤーの堅牢性を融合したブラックラピド製法のビームス別注。木型「デューク」はイタリアと英国のテイストを加味した絶妙なフォルム。6万6150円(サントーニ/ビームス 銀座)
アンダー5万円から買えるダブルモンク 【12】
●お問い合わせ先/ ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店 TEL 03・3423・2021http://www.wfg-net.com/
【CENTRAL】 セントラル
個性派ブーツをお探しならこれ!
浅草の老舗ファクトリー作の「カザハナ」は、Uチップダブルモンクブーツ。英チャールズ・F.ステッド社の上質スエード製。6万9300万円(セントラル/ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店)
Photograph / Munetaka Harada(nomadica), Masayuki Ichinose(super sonic), Masataka Watanabe[P.67],
Tetsumi Hachiya(FOREST), Toshikazu Nakamura(Boil), Daisuke Sawamura
Photograph in Italy/Giovanni Santarelli,Stefano Triulzi
Text/Issey Enomoto, Kei Takegawa, Shigeo Hasegawa, Kiyoto Kuniryo(NO-TECH),
Yasuyuki Ikeda(04), Tsuyoshi Hasegwa(04), Junki Yamada