世界の洒落者のご自宅に突撃して、コーディネイトはもちろんクローゼットまで見せていただく連載「服は体を表す」。スタイルにしっかりと核がある人は、 それが男のカッコよさとしてにじみ出ていました。
Massi Ninni
洋服好きなら一度は袖を通してみたい、と言われる知る人ぞ知るイタリアの最高峰オールハンドメイドブランド「シャマット」。今回はオーナーであるリッチ兄弟の弟、ファッショニスタとしても有名な二コラ・リッチ氏にお話をうかがいました。
二コラさんは、ミラノのショールームで世界中から訪れるクライアントの接待を担当。数年前まではオーダーを取る専門サルトが常勤していたのですが、「リッチ兄弟にオーダーを取ってもらいたい!」という熱烈なリクエストが絶えず、現在はミラノに住んで、いつでも顧客たちに対応できる姿勢を整えているそう。
これは、彼らの着こなしが持つ影響力の大きさの証しと言えるでしょう。南イタリアの海に面したプーリア州で生まれ育った二コラさん、今でも1カ月に1度は必ず、仕事と休暇を兼ねて故郷に帰るそうです。
「私のスタイルに共感してくれる人がいて、彼ら一人ひとりのパーソナリティーに合った服を作ることができる、自分にとってこれ以上の喜びとやりがいのある仕事はないと思っています。年中世界を飛び回っても、全然疲れを感じないんです」と語ってくれました。
>>>そんな、二コラさんのスタイルをもっと見るにはこちら。
二コラ・リッチさんのスタイル 01
Massi Ninni
顧客を迎えるときは、光沢感のある紺ジャケット
「スーツはブルー系が多い」というニコラさん。
特にこの少し光沢があるブ ルートニックカラーはお気に入りで、 何着も同じ物を仕立てているほど。ブルー&ブラックはショールームで顧客を迎えるときにもプロフェッショナルな雰囲気を醸し出せるので、出番の多いコンビネーションです。
華のあるフォーマルコーディネートで活躍するのは、人目を引くデザインのメタルベルトが印象的なヴィンテージ時計。
細身のホワイトパンツは、抜け感のあるアンクル丈でクールな印象に。
二コラ・リッチさんのスタイル 02
Massi Ninni
"大人の粋"な着こなしは、遊び心を効かせる
「遠目で見ると、何げないの紺のスーツに水色シャツかと思いきや、極細水色のストライプにデニムシャツ」という、ニコラさんならではの遊び心あふれる粋な着こなし。
無地のニュートラルなネクタイとブルードットの真っ白なポケットチーフで、全体を爽やかな印象に仕上げています。
二コラ・リッチさんのスタイル 03
Massi Ninni
ブラック&ホワイトをモダンに着こなす
「小さいころからピアノが好きで、音楽 は私の人生に欠かせない存在です。 昨夜は友人とスカラ座に行って来ました」、というニコラさん。
ブラック&ホワイトのスモーキングスタイルも、ごく自然に着こなします。ミラノに住み始めてからは、ブルーノートも行きつけの場所の一つだとか…。
二コラ・リッチさんのスタイル 04
Massi Ninni
上級者の条件は、自分らしい定番スタイルを持つこと
「慌ただしい朝だからこそ、好きな音楽を聴きながらエスプレッソを飲んで、心を落ち着かせてから外出しま す」とのこと。
ジレ(ヴェスト)&パンツスタイルは、ニコラさんの定番スタイル。微妙にくずれた胸もとがこなれ感をかもし出します。ネクタイをしていてもリラックスして見える、さすが上級者ですね。
友人からプレゼントされた、オメガ「シーマスター」のヴィンテージ時計はお気に入りの一つ。「アクセサリーは細めのシルバーや貴石のブレスレットくらいですね」とこと…。
二コラ・リッチさんのスタイル 05
Massi Ninni
コーディネイトのひらめきはアートや音楽からも
音楽同様、アートにも造詣が深いニコラさん。美術館やギャラリーへも頻繁に足を運ぶそうです。
「心躍るような素晴らしいコンサートやアート作品は、次の日のコーディネートにも好影響を与えます。自分らしい心地よい着こなしは、内面から出てくるものだと確信しています」とのことです。
【PROFILE】
二コラ・リッチさん
2002年創業、実兄が率いるファミリーブランドである最高級ス・ミズーラ紳士服ブランド「シャマット」 の顧客対応を一手に引き受ける、業界でも有名なファッショニスタ。
Photograph / Massi Ninni
Coordination & Text / Minako Shimada
Edit / Emiko Kuribayashi