「時勢が読めて、トレンドに敏感であること」は、自身の装いの印象UPに貢献する点で重要です。が、さらに一段上の格好よさにたどり着くためには、トレンドだけではない自分のスタイルを確立する必要があります。
男の味わいを深めるために、ファッション先進国の洒落者がどんなスタイルを実践しているのかに焦点を当てて、その装いのキモを探ってみました。
ヴィンテージウエアが
装いの中心になっている
ナイジェル・ケーボンさん(ナイジェル・ケーボン デザイナー)
40年以上も、イギリスのメンズウエア界で活躍するナイジェルさん。コレクションのデザインのインスピレーションは、昔から収集しているヴィンテージのウエア。タイムレスで機能性にすぐれ、トレンドに左右されずに愛用できるのが特徴です。
軍人だった父親も、彼に強い影響を与えたようです。学生のころに出会ったポール・スミスからもヴィンテージへの影響をうけ、彼のノッティンガムのショップでナイジェルさんの洋服が売られていたそうです。
着用するものは、ほぼすべて自身がデザインしたもの。「次のシーズンのサンプルを自分で着ることはしょっちゅうだよ。やっぱり自分で着てみないとね」とナイジェルさん。味のある、ヴィンテージのミリタリーやワークウエアを中心に据えた彼のスタイルは、トレンド関係なしにカッコいいのです!
60代後半になった今でも毎朝のようにジムに通い、気分転換には地元の海辺を散歩するナイジェルさん。装いだけでなく、日々の生活にもスタイルを確立しています。
(写真上)デニムのスーツは彼のオーセンティックラインの物。「ちょっとスマートにしたいけど、自分らしさは大事。無理してお堅いスーツを着るよりも、ゆったりとしたフィットやデニム素材のほうがリラックスできるね」とナイジェルさん。
靴は6年ほどコラボレーションを続けているコンバースの物。「これは世界に一足しかない、僕のためにデザインしたものなんだ」(ナイジェルさん)。
なんと腕時計は、常に両腕につけているそう! 左手がIWCでイギリス時間。右手がヴィンテージのレマニアで日本時間なんだそう。
【STYLE 1】ナイジェル・ケーボン
最近は、このライブロラインのシャツがお気に入りだそう。インナーに着たシャツと、色違いの同じシャツをはおるという上級な着こなしはさすが。ベトナム軍の病院で使われていた患者のシャツから、デザインの着想を得たものだそう。
【STYLE 2】ナイジェル・ケーボン
1940年のヴィンテージの英国軍のパンツに長年愛用している自身のブランドの、メインラインのシャツを合わせて。中に着ているコットンウールのTシャツは、第二次大戦のベトナム軍のもの。「通気性がよくて着心地がいいよ」(ナイジェルさん)。
[U.K.]
Photograph/Yu Fujiwara
Coordination & Text/Karina Tanabe Jones