2018年1月27日(土)、帝国ホテルにて「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念および『はじめての「男の着物」着付けDVD本』出版記念パーティーが開催されました。
Photograph / Tatsuya Ozawa
1979年の創業以来、織の着物専門店「和織」、染めの着物専門店「和染」、和文化の発信基地「ぎゃらりー泉」など、着物に専門特化した店作りを行ってきた「銀座もとじ」。そんななか、2002年に泉二弘明さんは業界初となる男の着物専門店「男のきもの」をオープンしたのでした。
さらに2007年春からは、世界初となる雄だけの蚕品種“プラチナボーイ”から作られた着物の生産と販売を行うなど、「一本の糸から」を新たなスローガンに、新しい時代に向けての新しいキモノづくりに対し精力的に取り組んできました。
壇上で挨拶をする(株)銀座もとじ代表取締役社長、泉ニ(もとじ)弘明さん。
そして2018年1月27日(土)に帝国ホテル 東京にて、「銀座もとじ 男のきもの」開店15周年記念というおめでたい節目とともに、『はじめての「男の着物」着付けDVD本』出版を記念したパーティーを開催。
もちろん、このパーティーのドレスコードは「着物」。それぞれの方の着物姿には、それぞれの人生という物語が映し出され、日本人の奥深さを再確認できた素晴しい夜に。450人を超える着物愛好家により、「男の着物」普及に尽力した泉二弘明さんの功績を讃えました。
参加者は約450名、そのうちほぼ半数が着物姿の男性という圧巻の景色で彩られました。「皆さまのおかげで『男のきもの店』も15周年を迎えることができました。東京五輪の際には、着物姿で海外のお客さまをお迎えすることにより、日本文化発信の一端を担うことができたら…」というスピーチが印象的でした。
乾杯の音頭をとるのは、泉二弘明さんと古くから親交をもつ日本文学研究者・国文学研究資料館 館長のロバート・キャンベルさん。「泉二(もとじ)さんに着物の着方を教えられました。…和装の精神は洋服を着るときにも生きている」と語ってくれました。
東京・銀座に店を構え、来年(2019年)には、創業40周年を迎える「銀座もとじ」。その社長である弘明さんを代表したスタッフたちが、これまで大切にしてきたものは何でしょうか? この記念すべき会場で実感できました。それは、人々が大切なものを受け継ぐ「心」に他ならないのではないかと…。
お客さまの感動をつくり手にも伝え、そして、そんなお客さまが「次にどんな感動を望んでいるか?」を作り手にフィードバックし、共に次を考える姿勢などなど、常に両者のパイプ役として心に向けて語りかけてきた商売を続けてきたからこそ、いまもなおその勢力は劣ることを知らないのだと納得したのでした。
めまぐるしく流れては消えるトレンドと、使い捨てが当たり前となった20世紀は終わり、21世紀の今、あらためて和の文化が見直されてきています。そんな折、心を込めて作り上げ、さらに「親子三代通して着こなすことができる」と謳われる着物は、今の時代の最先端のアイテムとも言えるのではないでしょうか。
歴史を紐解けば、着物は時代のモードを映し出す最先端のアイテムでもありました。これからも「銀座もとじ」を中心に、この和の文化を世界発信し続けたならば、きっともうすぐモードとしての着物が復権するかもしれません。そう願ってやまない夜でした。
美しい着こなしが咲き乱れた華やかな会場のなか、泉二弘明氏の同じ奄美出身の歌手・元ちとせさんと中孝介さんのお二人が、本場奄美大島紬姿でステージに。圧倒的な声量と伸びやかで艶のある歌声で、来場者を魅了していました。
そして最後に、泉二弘明さんと後継者である2代目啓太さんがともに登壇。恒例となっている「銀座もとじ五本締め」でパーティーの幕は閉じられたのでした。
【「銀座もとじ 男のきもの」開店15周年、
『はじめての「男の着物」着付けDVD本』
出版記念パーティーに 集まった方たちのスナップへ】
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
左/前井雅美さん 右/岡田靖夫さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
揚妻紘司さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
坂田康太郎さん
音楽プロデューサーとして活躍する坂田さん。銀座もとじが毎年開催している「きものでオペラへ」でも、わかりやすく楽しい解説で毎回大好評を得ています。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
ロバート・キャンベルさん
国文学研究資料館 館長のキャンベルさん。「銀座もとじ」との出会いは2007年。ある雑誌で取材で編集者の希望から、突然、着物を着ることになったとのこと。一度は断りながらも、「おもしろいところがあるから…」と強引に連れて行かれたのが『銀座もとじ』だったそう。そしてその日から、「もっと着物に踏みこんでみよう」と感じたとのこと。あれから10年以上の時を経ても、着物愛は変わらないようです。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
左/長井尚美さん、右/長井弘勝さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
左/白山 進さん、右/林 五世夫(いせお)さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
上嶋剛志さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
河原シンスケさん
アーティスト/クリエイティブディレクターとして活躍する河原さん。「銀座もとじ 男のきもの」オリジナルコレクション2017秋冬ではコラボレーションも行っています。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
左/舘 是孝(よしたか)さん、右/由比 茜さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
髙桑慎吾さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
ジュリアン・ベイショアさん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
赤座吉保さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
左/吉田 進さん、右/吉田頼子さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
加藤健祐さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
左/中村英助さん、右/中村祐子さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
長谷部有紀さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
福本潮子(しほこ)さん
「銀座もとじ」にて、トークショーも行ったこともある藍染作家。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
原 由美子さん
雑誌においてのスタイリストという職業を切り開いてきた、パイオニア的存在。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
髙橋 寛さん
東京友禅作家。人間国宝であり、友禅を芸術の域に高められた故・中村勝馬さんの最後のお弟子さん。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
築城(ついき)則子さん
縞のリズムや、配色から響いてくる音色を響かせ魅了する小倉織作家。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
小倉淳史さん
絞り染め辻が花作家。日本の染織史上最初の多色模様の染着物として完成した「辻が花」、これを現代に活き活きと生きる「平成の辻が花」として新たな世界を作り出す達人。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
左/木村友子さん 右/渡邉真由美さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
澤田有里さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
渋谷さりさん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
左/星山真理子さん 右/渋谷美和さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
泉二弘明さん
「銀座もとじ」代表取締役社長。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
森田空美(あけみ)さん
着物研究家。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
高辻吉治さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
加藤珠美さん
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
泉二(もとじ)啓太さん
「銀座もとじ」の後継者である2代目。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
元(はじめ) ちとせさん
社長である泉二弘明さんと同郷である、奄美大島出身の歌手。パーティーでは歌声を披露してくれました。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
中(あたり) 孝介さん
同じく社長である泉二弘明さんと同郷、奄美大島出身の歌手。元ちとせさんと共に、パーティーで歌声を披露してくれました。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
五代 田畑喜八さん
京友禅作家。四代 田畑喜八さんの長男・禎彦として京都に生まれる。その祖父である三代 田畑喜八さんは昭和30年(1955年)5月、友禅では最初の重要無形文化財保持者となり、人間国宝に認定されています。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
佐藤 光(ひかる)
エスクァイア・デジタル編集部員。
「銀座もとじ 男のきもの」15周年記念、『男のきもの着付けDVD本』出版記念パーティースナップ
左/泉二弘明さん、右/泉二啓太さん親子
「銀座もとじ」の初代主である弘明社長と息子・啓太さん。学生時代はぶつかり合っていたお二人。今では、ときに意気投合し、ときにぶつかり合いながらも心を込めて日本が誇る和の文化「着物」を世界へ発信し続けようという心意気は一緒。この親子による心からのタッグによって、着物を再びモードの世界へと引き上げてくれるでしょう。
>>> この親子の葛藤がうかがい知ることができる
「KIMONO(キモノ)基本の『き』 その壱」へ
Photograph / Tatsuya Ozawa
Text & Edit / Hikaru Sato, Kaz Ogawa