エスクァイアのスタイルディレクターを務めるチャーリー・ティースデール氏が、ファッションにアクセントを加えるスカーフ使いについて教授します。
スカーフの使い方
男性にとって、日々自らのスタイルを表現する方法はほとんどありません。
最近まではネクタイが、このような差別化の主な手段だったかもしれません。ですが、この数年ドレスコードが劇的に緩和されるなかで、貧相な開襟シャツなどのノータイスタイルも一般的になってきました。では、カフスボタンはどうでしょう? このアクセサリーはスマートでシンプルな金属製のものでなければ、悪目立ちするリスクがかなりあります。このため、私は奇抜なデザインや色のもの、大き過ぎるものなどは避けています。
靴には定番があります。
なめらかで光沢がある、ノーサンプトンの靴職人が作ったものより適切でスタイリッシュなのものはありません。また、帽子に手を出すこともできますが、あまりオススメしません。
私は最近、スティーヴ・ズィスー(ウェス・アンダーソン監督の映画『ライフ・アクアティックの主人公』)風の赤いニットキャップを被っていましたが、船乗りのようなクールなルックになっているという確信はもてていませんので…(笑)。そんな訳で個性を表現するための、最後の砦となるのがスカーフなのです。最近、「Beast from the East」とも呼ばれた大寒波が襲った欧州には、ぴったりのアイテムではないでしょうか。
スカーフについて考え始めたのは、マンチェスター・シティFCのジョゼップ・グアルディオラ監督(通称ペップ)を見てからです。
アーセナルファンとして、シティに完敗した最近のカラバオ・カップから得た唯一の刺激は、スタジアムで目立つ彼の巧みなアクセサリー使いでした(これを指摘するのは辛いところですが、アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督に同じことは言えません)。
この博学なスペイン人監督は、巨大なパシュミナのスカーフでウェンブリーの観衆に息を呑ませました。このスカーフは試合中何度も振り乱され、「確かにいいスカーフだけど、わかっていてやっているのではないか」と思ってしまったほどです。
写真:スカーフ使いの魔術師である、ジョゼップ・グアルディオラ監督。Photograph / Getty Images
このスカーフは、首を暖かく保つものとしてはとてもナポリ的で、私にも…ほとんどどんな男性にも似合うことでしょう。
力が抜けたエレガントな着こなしは、すべての男性が失敗なく取り入れられるものとして検討すべきです。「本当にそうか?」と自信がもてなければ(また、十分経済的に可能なら)、ボリオリのダスティカラーのスーツ(あまり流行のデザインではないもの)を手に入れてみてください。(次ページへつづく)
カシミア素材のスカーフがオススメ!
スカーフ選びで最新の流行を取り入れたいのなら、フットボールクラブのスカーフ(あるいは、少なくともそのような雰囲気をもつもの)か、おかしいほどオーバーサイズのものがいいでしょう。
ステラ マッカートニーやグッチ、トップマン、ヴァレンティノなどは前者、バレンシアガは後者のトレンドに沿ったアイテムをリリースしています。実際、フットボール風のスカーフは、スーツに合わせても案外悪くはありませんよ。
正直なところこのスカーフには、スクールボーイ的魅力があります(これも個人的には次に来そうなトレンドです)。大きなスカーフはそうでもありませんが、流行の細長いウールスカーフに600ポンド(約8万8000円)も費やすような人なら、これに合わせる服に困るようなことはないでしょう。
Photograph / Getty Images
このようなスカーフが好みでない人にも、よりシンプルなものでオススメがあります。
ブロックカラー(チャコール、ネイビー、キャメル)と柔らかい生地を使ったものは間違いないでしょうし、より暖かくボリューム感があるものが欲しければ、2倍幅のものもいいでしょう。「紳士気取りになれ!」というわけではありませんが、素材はカシミアがいいでしょう。より暖かく、ソフトで、これらの美点が長くキープされますから…。
厚手のケーブルニットもいいでしょう。特にマスタードやワインなど、豊かなウィンターカラーがいいでしょう。
また、シルク素材も悪くはありません。ただし、個人的にはシルク混素材が好みです。なにせシルク100%は、あまり暖かくありませんから…。シルクを取り入れるときは、街に出てきた地主のように見えてしまうのは避けたいところですね(笑)。
最後に避けるべきスカーフですが、黒と白のクーフィーヤ(アラビア半島社会で男性が頭にかぶる装身具。文化的、地理的な関わりがない人はファッションに取り入れるべきではないでしょう)、絞り染めのもの、そして帽子とお揃いになってしまうものなどです。
ペップなら、ウールの帽子とスカーフを組み合わせるようなことはないでしょう。実際それは、誰もが避けるべきことでもありますから…。
By Charlie Teasdale on March 6, 2018
Photos by Getty Images
ESQUIRE UK 原文(English)
TRANSLATION BY Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊