「エスクァィアUK」のファッション・ライターであるジェレミー・ラングミードは、「2018年の夏もダスティピンクやネオンピンク、そしてパステルピンクの着こなしが街の主役となる可能性が高い」と予測しています。

2017年の夏のこと…「ダスティピンク」がメンズスタイルのトレンドカラーの1つになるなどと、誰が予想できたでしょうか。

実際、2017年は「ダスティピンク」のアイテムが英国で売れに売れ、あらゆるデザイナーが2018年も再びこの色を取り入れようとしてきました。ゆえに2018年の夏も、この人気カラーが再びベストセラーアイテムにランクインしそうな勢いであることは確かなのです。

「ダスティピンク」、「ネオンピンク」、「パステルピンク」、「フレッシュピンク」といったピンクは、今やあらゆるものに使われ、いたるところに溢れています。誰も彼もピンクでウキウキのように見えるかもしれません(笑)。もちろん、実際にウキウキだとは限りませんが。

ピンクは確かに、楽しい気持ちになる色ではあります。ですが、コーディネートに取り入れるのは少し厄介なほうではないでしょうか。「ダスティピンク」のようなトーンなら、なおさら迷いませんか?

このコラムを書いている私は、「ペールピンク」のスウェットを着ています。私は自分の内なる声を大事にするメソッド・ライターですから、まずは実際に体験してみて書くというわけです。

コットンジャージー生地のこのスウェットは、「Holiday Boileau(ホリデー・ボワロ)」というブランドのもので、私の体にぴったりです。というと、何の問題もないように聞こえますが、実際このスウェットには、ちょっとした不都合な点が2つあります。

1つ目は、胸の部分に「Holiday」とプリントされていること。この喜ばしいスローガン自体に問題はありませんが、問題は私の状況です。

私は現在、シェパーズ・ブッシュのウェストフィールド・ロンドン・ショッピングセンターの最上階にある800人ほどが働くオフィスのデスクに座っており、「Holiday」という単語がこれほど合わない場所もないでしょう。このスウェットに書いてあることは、まったくの嘘っぱちなのですから。

2つ目はダスティピンクの色が、色白でまったく焼けていない私の顔の色と絶妙にマッチしてしまうことです。このため、どこまで服で、どこからが首か?といった具合に境界が曖昧になってしまって、巨大な指にペンで顔を書いたようにも見えるのです 。

もちろん、男性たちがこの色を、抵抗なく受け入れてきたことは驚きではありません。そもそも男性は、大胆な色や柄を長年恐れることなく取り入れてきました。

「今度はパステルカラーが流行る」と聞けば、ボンドストリートの「グッチ」ストアの下にある試着室は、胸にテディベアのプリントが入ったブライトピンクのスウェット、あるいは白雪姫がプリントされたニットウエアを欲しがる中流層の人々で溢れることでしょう。

ちなみに、前述の肌色に近いピンクはあまりにも流行したため、新たに「ミレニアルピンク」という名前がつけられたほどです。

ロンドンでは
ファッション業界以外でも
ピンク旋風が起きていた

そして、こういったピンクが席巻しているのは、ファッションの世界だけではありません。飲食業や不動産業までもが、この流行にあやかろうとしているんです。

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たとえば、ロンドンのメイフェアにある人気レストランの「スケッチ」では、アーティストのデヴィッド・シュリグリー氏が内装をデザインし、壁や長椅子がピンクで統一されています。また、新聞の不動産情報ページでは最近、最高級物件のため、なかなか買い手がつかなかった数百万ポンドの豪邸がニュートラルなケリー・ホッペン(英国の人気インテリアデザイナー)風の色使いからミレニアルピンクに塗り替えたところ、突然売れたという話もありました。

専門家に、「なぜこのようなピンクが流行するのか?」と聞けば、おそらく彼らはジェンダー・ポリティクスやブレグジット、トランプ政権などを理由に挙げるでしょう。

ですが、実際はこの色がよりインスタ映えするというのが、真の理由かもしれません。そして私はともかくも、普通の人ならシェパーズ・ブッシュとウッドレーン、ホワイトシティの間にある、牧歌的な三角形の緑地のような場所でダスティピンクを身にまとうでしょう。

ピンクはイビサ島辺りで過ごす、太陽降り注ぐ休暇を想起させる色です。早朝、サンアントニオのビーチに肌色のコンドームが散らばっているかのような様子を思い浮かべてください。ピンクとペールブラウンのハッピーな中間色は、遠くからでもそれとわかるドネルケバブの回転焼き機で見る色でもあります。あの部分は食べたくはありません。

現在の世界はあまりにも殺伐としているため、流行の仕掛け人が「人々を元気づけるためには、ミレニアルピンクが必要」と決めたのかもしれません。

世界はローズがかった色眼鏡をかけてみれば、あるいはグラスロゼワインの底を通して見たり、胸に「Holiday」と書かれたペールピンクのスウェットシャツを着ていれば、なんとなく楽しく感じられるものです。

日本でも、きっとピンク色のシャツやポロシャツを着た男性が街に現れることでしょう。

Source / ESQUIRE UK
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。