ヴェルサーチェのスニーカー部門でヘッドデザイナーを務めるサレヒ・ベンバリー氏が載せたInstagramの写真に、スニーカーファンは驚愕しているようです。それもそのはず、あの幻のスニーカーにとても似ているアイテムがあったからなのです。
Heritage Auctions
Apple Made (Super Cool) Sneakers In the '90s. Versace May Be Bringing Them Back.
ヴェルサーチェのスニーカー部門でヘッドデザイナーを務めるサレヒ・ベンバリー氏は2018年10月25日、Instagramにレインボーのロゴが入ったどっしりした白のスニーカーの写真を投稿しました。
Versace(ヴェルサーチェ)の文字の隣に配されたグラフィックはアップルのアイコニックなロゴを連想させるもので、写真には「A wise man once said nothing at all(賢者はかつて何も言わなかった)」というシンプルなキャプションが付いていました。
この投稿に、複数のスニーカーブログがすぐさま反応。
写真の靴が極めて希少なアップルのスニーカー(同社が1980年代後半から1990年代前半にかけて、自社の従業員向けに作ったとされているもの)に類似していることを指摘しています。とはいえ、 ヴェルサーチェがこのシューズを実際に販売しようとしているのか、あるいは単なるプロトタイプシューズの写真だったのかはわかりません。
ベンバリー氏は自らの投稿について具体的に言及しておらず、エスクァイア編集部はヴェルサーチェに問い合わせましたが今のところ反応はなく、アップルもノーコメントとしています。ですが、「アップルのスニーカーが復活する可能性がある」という話題は、ファッションやスニーカー好きの間に瞬く間に広がり、この写真にはすでに数千回の「いいね」やコメントがついています。また、オリジナルのアップル製スニーカーのほうも謎に包まれたままです。
2年前には、この靴のサイズ9.5(27.5cm)のものがアップルのシリコンバレー本社からほど近いカリフォルニア州パロアルトのガレージセールで見つかりました。この靴はヘリテージ・オークションに出品され、入札開始額はなんと3万ドル(約330万円)に設定されていました。
写真:かつてアップルが手がけていたスニーカー。アップルのロゴデザインが懐かしく感じます。Photograph / Heritage Auctions
ヘリテージ・オークションのモダン&コンテンポラリーアート部門のディレクターを務めるレオン・ベンリモン氏は、「われわれはこれが1980年代後半から1990年代前半にアップル向けに作られたプロトタイプスニーカーだと考えています」とし、「作られたのはたったの2足で、もう1足はアップルが保管しています。つまり、われわれの手にあるものは個人が保有できる唯一のアップル製シューズなのです」と語っています。
スティーブ・ジョブズは、ニューバランス愛好家であった
アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズは、ニューバランスの信奉者で長年同メーカーのシューズをはいていました。ですが、アップル製スニーカーはリーボックのようなデザインで、シュータンとサイドにアップルのロゴ刺繍が入っています。ボトム部分には滑り止めゴムが使われており、元祖ダッドスニーカーとも言うべき1足です。
ヘリテージ・オークションがこのシューズの出品を発表したときのニュースは、瞬く間に世界中に広がりました。
ベンリモン氏によれば、同オークションハウスにはかなりの額のオファーがいくつかあったと言いますが、出品者は希望価格以上になるまで譲らない考えだとのこと。このため、この靴は現在もヘリテージ・オークションのオンラインリストに掲載されています。
写真:スティーブ・ジョブズはニューバランスのファンだった。Photograph / Getty Images
90年代にアップルがつくったのは靴だけではありません。
PDFでアーカイブされている1986年の「アップルコレクション」のカタログには、アップル製のベルトからTシャツ、ベスト、帽子、セーター、ペーパークリップやセイルボードまでが掲載されています。このカタログの説明文には、「昨年、アップルコレクションのアップルシャツを購入した人の数は、2万2000人に上ります。アップルコンピューターを開発するわれわれの哲学が好きな人々です」とあり、「われわれは各製品に自社のロゴを入れています。これはそれぞれの製品の品質を高く評価しているためで、皆さんにも品質の高さを感じていただけるはずです。これらの製品をつくっているのは、ティファニーやブラウン、ブリー、イクシーズ、ラミー、ミストラル、ホンダなどいずれも素晴らしい企業の数々です」と書かれています。
ただし、このカタログに靴は含まれていません。ベンリモン氏はこの点について、「靴が一般向けに発売されることがなかったことを示唆しているのではないか」としています。現在では、これらのビンテージアップルグッズはeBay(イーベイ)上で購入できます。たとえばスウェットシャツなら、255ドル(約27000円)の値がついています。
ポップカルチャーとのコラボを得意とするベンバリー氏
ヴェルサーチェが、もし本当にこのスニーカーを復活させるとなれば心躍るほど期待は高まる人も多いでしょう。ベンバリー氏がポップカルチャーとのコラボで話題を呼ぶのは、今回が初めではありません。
ニューヨーク生まれのベンバリー氏は、昨年ヴェルサーチェに参加する前にはカニエ・ウェストのブランド「イージー(Yeezy)」でデザイナーを務めたこともあります。また、ヴェルサーチェで最初にデザインしたのは、ラッパーの2 Chainzとコラボしたアバンギャルドなスニーカー「Chain Reaction(チェーンリアクション)」でした。
写真:ヴェルサーチェのスニーカー部門のヘッドデザイナーであるサレヒ・ベンバリー氏。アップルの「幻のスニーカー」に類似した靴をInstagramに投稿。Photograph / Shutterstock
2018年初めにベンバリー氏は、「ハイパービースト」のインタビューの中で、ドナテラ氏(ヴェルサーチェのクリエイティブディレクター)からゴーサインを受けて、新たなスニーカーに取り組んでいることを明かしていました。
ヴェルサーチェが取り組んでいる新しいスニーカーの全貌が、ここに来てとても気になるところです。
By Kate Storey on October 26, 2018
Photos by Heritage Auctions, Shutterstock and Getty Images
ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊
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