そんな注目のダニエル…、今回のレースの前「エスパス タグ・ホイヤー 表参道」にて開催していたホイヤー・ヴィンテージ展は、「モーターレーシング&歴史を重ねたデザイン」というテーマであったため、腕時計好きのダニエルが来店。その際にインタビューをすることができました。彼の時計に対する思いから自身の礎を築いた言葉など、プライベートに関する質問まで快く答えてくれました。
「アレック・モノポリー(子供たちのヒーローやポップアイコンなど、誰もが知るキャラクターをモチーフとした作品を描くアーティスト)を飾っているんだね。彼はいつも顔を隠しているよね。店内の壁に直接、彼のスプレーした文字があるけど、もちろん許可をもらってから描いたんだよね(笑)」と、冗談を交えながら登場してくれたダニエル・リカルド。インタビュー前の緊迫した空気を、一気に壊してくれました。
1989年7月1日生まれ、オーストラリア出身。「レッドブル・レーシング チーム」に所属する最年少ドライバーの一人。鈴鹿へは2011年以来、レースの度に毎年訪れているということもあり、かなりの日本ツウ。最近は、少し余裕ができたということで2、3日前に来て、日本を楽しむとのこと。
ダニエル・リカルド(以下リカルド):表参道は何回も散策したことはありますし、去年は初めて明治神宮にも行けました。今晩は2年間、ずっと楽しみに夢を見続けていた『すきやばし次郎』へ行くことになっています(笑)。とても楽しみにしています(笑)!。行ったことありますか(笑)?」
メンズプラス編集H(以下編集H):一度もないです(笑)。予約するだけでも大変ですよ。
リカルド:そうですよね(笑)。そんなに簡単に行けるところではないですよね。
編集H:お寿司好きなリカルドさんで日本では有名ですが、今後、ひとつのネタしか食べてはいけないと言われたら、何を選びますか?(笑)
リカルド:ん…、トロですかね。やっぱり、ハマチかな(笑)
こんなにウィットに富んだ、気さくなF1ドライバーは珍しいのではないでしょうか。彼がもつ飾らない眼差し、さらに彼が話すストーリーによって、我々はすでに彼が表彰台の中央に立っているかのようなヒーローがもつオーラを放っていたのでした。
丁寧な準備の上に立脚する確かな自信。そこから生まれた余裕なのでしょう、周囲に対してリラックスを与えてくれる気配りの達人。レースまで1週間を切り、我々の想像を遥かに超えるプレッシャーにさらされているだろうときに、彼はそれを微塵も感じさせない。まさに、第一線で戦い続けるプロフェッショナル―‐そんなリカルドの精神的な強さの源に迫ります。
自分に自信があるから、プレシャーはポジティブなモノに捉える
編集H:タグ・ホイヤーのモットーに「Don’t Crack Under Pressure(プレッシャーに負けるな)」とありますが、F1ドライバーには常に精神的なプレシャーと、肉体的な「G」のプレッシャーがあるかと思います。プレッシャーを克服するには、どうのように対応しているか独自の方法を教えてください。
リカルド:プレッシャーとの対峙は、レーサーとしては仕事の一部と言ってもいいかと思っていますけど…、私は自分自身に自信があるので、レースに臨むときは逆にプレシャーをポジティブなモノと捉え、あえて自分にさらなるプレッシャーをかけるようにしています。もちろん、チームからもかかるプレッシャーもあります。が、当然これが仕事でもあって、その対価もいただいている。なので、そう言った意味で自分にあえてプレッシャーをかけるようにしています。
編集H:自分からさらなるプレッシャーを⁉
リカルド:それで「クラック(Crack)」というような、悪い意味でのプレッシャーというものからは押しつぶされないよう、事前の準備が大切だと思っています。レースに臨むまでのプロセスのなかで、しっかりと自分に与えられた課題をこなし、準備をしていく。そうすることで、レース当日を安定した精神状態で迎えられることができるのです。そういった意味で、自分に適切な意味でのプレッシャーを課すことができます。今週末に鈴鹿サーキットで行われる日本グランプリに向けても、プレッシャーに耐えうる同じ姿勢で取り組んできました。
編集H:以前からプレッシャーに対して強かったのですか?
リカルド:若い頃は正直、このプレッシャーというものに何度も負けたこともあります。「フォーミュラ1」という憧れのなかでも最高位のポジション、この名前そのものに圧倒されていました。言ってみれば、F1レーサーと言うのは、ファンタジーの世界そのものですよ。それが私にとって、精神的なプレッシャーになったときもありました。けど、ようやくどういった心構えで臨むべきかを準備できるようになったと思っています。
父の言葉が私の原点
編集H:今回のインタビューでリカルドさんは、レースに臨むにあたって「自分との闘い」という印象を感じたのですが、今まで第三者から受けてきた助言で、ずっと大切にしている言葉はありますか。
リカルド:父の言葉が、私の原点になっています。何事にも、とにかく“楽しむ”ということを忘れないようにしています。自分自身が楽しく、そして幸福感、満足感がなければ何事も上手く行かないと思っています。ストレスになることばかりイメージしてクヨクヨするのではなく、レースに臨むにあたっても自分発信で、「自分がハッピーか? 自分が楽しめているか?」ということを、自分にいつも問いかけています。これは父の、『自分の得意なことを精一杯頑張って、楽しみなさい』という言葉が私の原点になっているのです。
良い意味でのシンプルさを実現
編集H:「レッドブル・レーシング チーム」とのパートナーシップであるタグ・ホイヤーですが、今回スペシャルモデル「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー01 クロノグラフ レッドブル・レーシング スペシャルエディション」が発表されましたね。
リカルド:タグ・ホイヤーの時計は全部好きなんですけど、特に今回の限定モデルは、ディテールが素晴らしく洗練されたモデルですよね。良い意味でのシンプルさを実現しているので気に入っています。サイズ感も良くて、ほどよくマスキュリン…。でも、キレイ目さとスポーティな要素を併せもっているところがいいですね。デザインに関してはブルーのレザーベルトが、レーシングのイメージを醸し出してくれるところがいいですね。
化学反応を起こせるような女性がいいですね
編集H:最後に少し肩肘はらない質問です(笑)。お付き合いする女性に対して、求める必須条件を3つ教えてください!
リカルド:一つ目は「嘘のない人」、というか…「飾らない人」がいいなと思っています。つまり私自身も、F1レーサーという肩書きで身構えた付き合いをしたくありませんね。なんで最初のデートでは、絶対に高価な腕時計など付けていきませんよ(笑々)。「儲けているな」と、思われたくないので(笑)。ありのままの自分を受け入れてくれる女性がいいからです。
編集H:なるほど、精神的な面のほうを重視するタイプなのですね。
リカルド:そうでしょうか…、二つ目は笑顔が素敵な人です。素敵な笑顔をもらえると、自分も良い笑顔でいられるから。その笑顔から、周りに化学反応を起こせるような女性がいいですね。え~、2つ言ったよね? ん…最後の三つ目は…やっぱり魅力的な人ですね(笑)。魅力的にはいろいろな定義があると思いますけど、すべてパーフェクトを求める訳ではありません。が、まあ、どちらかと言うと顔は可愛い方かいいですね(笑々)。あと、厚化粧の女性は嫌で、ナチュラルな人がいいです……。
気取らず、すべての質問に誠実に答えてくれたリカルド。今回のインタビューで、彼のファンになってしまった方も多いのではないでしょうか? 今後も彼を応援せずにはいられません!