2010年のある静かな夏の日の朝、美女がデコレーションされたサンタモニカのオンライン系スタートアップの会議室で、世界最悪の(ウイスキーベースの古典的なカクテルのひとつ)「オールド・ファッションド」を作り上げました。

 この企画の制作はMahalo.comによるもので、ジャネー・ナイバーグさんをモデルに採用し、50種類ものカクテルの作り方を説明した動画を作成。それを自社のYouTubeチャンネルにアップしていました。その中で最も話題になったのが、女優兼モデルでありバーテンダーのバイトもしていたナイバーグさんが、空のビターズの瓶と巨大なオレンジのスライスと大量の氷、そして、パイント・グラスにドバドバとバーボンをつぎ込むという、なんとも斬新な「オールド・ファッションド」のレシピ動画です。

 「オールド・ファッションド」は人によって作り方が異なるとは言え、ナイバーグさんの方法は間違いだらけ。そうして見事、視聴者の笑いのネタとなってしまったわけです。「拡散された動画を初めて観たのは、6、7年前のことですね。使われているジム・ビームの量に度肝を抜かれました」と、当時ケンタッキー州のルイビルでバーテンダーをしていたベス・バロウズさんは語っています。

 Mahalo.comの動画は、過去10年で何度か話題になりました。ですが、ナイバーグさんからのコメントは一切ありませんでした。しかし、2019年10月初めにお酒のメディアである「PUNCH」は、「あの人は今」の記事の取材でサクラメントに住むナイバーグさんとの対面を果しています。

 そのインタビューの中で、彼女はカクテルの作り方を実際には知っていて、あのひどい「オールド・ファッションド」は彼女のせいではないと語っています。ここでは間違ったバーテンダー用の道具が渡され、現場での指示もなく、撮影時間も十分に用意されていなかったそうです。

 そのインタビュー記事が話題になった結果、(ナイバーグさんは本当に人気者です)ジム・ビームがナイバーグさんに「オールド・ファッションド」のリベンジのチャンスを与えようとオファーを出したのです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
How to Make an Old Fashioned
How to Make an Old Fashioned thumnail
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 「『PUNCH』の記事が出て、あの動画についての背景がわかったとき、多くの人が共感していました」と、現在はジムビームのケンタッキー州バーボン・アンバサダーを務めているバロウズさんは話します。

 「多くのバーテンダーが、必要な道具が提供されない状態で何とかするように言われた経験をしています。彼女も悪名高い動画の不名誉を挽回し、本当のカクテル作りのスキルを見せるチャンスを与えられるべきなのです」と…。しかし、ナイバーグさんはそんなことを望んでいるのでしょうか?

 彼女は何年も、プロのバーテンダーとして働いた経験を持っています。現在は結婚して子どももおり、高校生向けに歴史の教師をしながら静かな暮らしをおくっているのです(学校で“ティーチャー・オブ・ザ・イヤー”を受賞したほど、優秀な教師だそうです)。

 「多くの人が、その動画で私が作ったカクテルを本気で飲もうと思ったようです。この10年間、多くの記者やファンから動画についての電話を受けました。…が、大体は否定的なことを言われましたね」と、ナイバーグさんもあの動画によって心に傷を抱えていたようです。ですが一方で、ロサンゼルスやニューヨークから、ゲスト・バーテンダーとしての依頼も途切れることはなかったようです。とは言え、いつも笑いのネタにされていたということです。

 「ほとんどのフィードバックが、実際の私自身とは全く関係ないものでした。多くの人が、動画に映る私のバーテンダー・スキル、そして作ったカクテルのレシピ&作り方が私の実力であると思ったようです」

 しかし、「PUNCH」の記事に多くのポジティブなコメントが寄せられたことで、彼女の気持ちに余裕が生まれたようです。再びバーに立つ決断をしてくれました。

 11月末にシカゴで撮影されたこの新しいジムビームのコマーシャル(上の動画)は、Esquireでの限定公開。ナイバーグさんが正しくカクテルを作れることを証明しています。

 ジガーカップもありますし、ビターズもしっかり入っており、ジム・ビームホワイトの代わりに「オールド・ファッションド」に適したジム・ビームブラックを使っています。どれだけの量のジム・ビームを使ったかは、ぜひ動画を見てお確かめください。

 そして、初めてこの動画を観るという方は、ぜひ比較してみてください。

Source / ESQUIRE US
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。