• 中国の5社(ファーウェイ、ZTE、ハイクビジョン、ダーファ・テクノロジー、ハイテラ)が製造する監視カメラや通信機器は、米軍での使用が禁止されています。
  • 禁止令にも関わらず、何千もの中国製機器が米政府のネットワーク上で稼働しており、国防総省にも存在する可能性があります。
  • これにより中国政府が、米軍や政府施設を覗き見している可能性が浮上しています。

 連邦法により、アメリカ政府による中国製ハイテク機器の使用が禁止されたのは2019年8月のこと。しかし連邦政府では、いまだに何千もの禁止されているはずの機器が使用されいるのが現状だそうです。

  ウェブメディア「C4ISRNet」によると、セキュリティリサーチチームが3500もの禁止予定の機器を政府のネットワーク上に見つけたとのこと。マルコ・ルビオ上院議員はこれによって米軍のネットワークが不正アクセスされ、中国の情報局に監視されてしまう危険性があることを危惧しており、米国国防総省に迅速な対応を求めています。

 2019年に制定された国防権限法(NDAA)には、年間防衛予算が含まれています。こちらでも、国防総省における「ハイクビジョン」と「ダーファ・テクノロジー」のカメラの利用を禁止しています。そして、携帯無線機を製造する「ハイテラ」も同様に禁止されています。

 「ハイクビジョン」と「ダーファ・テクノロジー」が製造する低価格の監視カメラは人気が高く、Amazonでも手に入れることができます。さらに国防権限法では、中国の大手通信会社「ZTE」と「ファーウェイ」のネットワーク機器も禁止しています。

 監視カメラがあることで浮上する問題とは…。それは最近の監視カメラの便利な機能に起因します。インターネットに接続されていれば、Webブラウザを介してユーザーはそれを操作できる機能が付いているのが当たり前となっています。この便利な機能が、セキュリティ上では脆弱性(ぜいじゃくせい)となるわけです。そこに知らぬ間にアクセスできたり制御できるような“バックドア(裏の侵入経路)”が設けられている可能性もあるわけです。そうなれば、デバイスを通じて第三者が中の様子を覗き見することだってできてしまうわけです。

 実際にセキュリティの専門家が、「ハイクビジョン」と「ダーファ」両社のカメラにバックドアが備わっていたことを発見しています…。どちらもバックドアを修正するアップデートを実施していますが、修正されていないカメラもまだまだ存在しており、それが大きなセキュリティ・リスクとなっているわけです。そして両社とも中国軍(中国人民解放軍)とつながっていることは、「偶然」とは決して言えないことでしょう。

 ルビオ上院議員は国防総省への手紙の中で、スパイウエア(中国製カメラ)の可能性を排除すべき理由として、米中の軍事競争の激化を挙げています。

 「国防総省を軍事力競争の時代に備えるには、いかなる攻撃の可能性にも警戒する必要があります」と手紙には書かれており、禁止されたハードウエアすべてを見つける計画についてや新たな法に準拠する方法について、「国防総省がネットワークから取り除くことが不可能なデバイスはあるか?」などの質問を投げかけられています。

 国防総省のネットワーク上で現在使用されている「ハイクビジョン」、「ダーファ」、「ZTE」、「ファーウェイ」の機器数は、正直わかっていません…。

 前述の3500台を見つけたForescout社は、このうち何台が国防総省で使用されていたのかは明かしていません…。軍の秘密主義とともに、国防総省管下にある連邦政府の規模から考えれば…、「もう交換する必要はない!」などと決して言えないでしょう。

From POPULAR MECHANICS
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。