WHO(世界保健機関)は2020年1月30日、感染拡大中の新型コロナウイルスについて「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。中国ではウイルス発生源となった武漢市や湖北省を封鎖し、毎年恒例の春節休暇を延長して労働者を自宅待機させたりするなど、ウイルスを封じ込めるための対策が過去数週間にわたり講じられています。

そして外務省は2020年2月8日に、中国の武漢市内で肺炎を発症し、入院していた60代の日本人男性が亡くなったという発表。新型コロナウイルスに感染した疑いのある日本人の死亡が確認されたのは、これが初めてとなります。

 亡くなった60代の日本人男性は同年1月16日ごろから発熱の症状があり、1月22日から武漢の病院に入院していたとのこと。男性は肺炎と診断され、検査の結果同年1月28日に新型コロナウイルスの陽性反応が出るも、検査結果が確定しないまま2月8日に息を引き取ったということです。入院先の武漢の病院では、死因について「ウイルス性肺炎」だとしていますが、新型コロナウイルスによる肺炎かどうかは、まだ確定的な判断はできないとしています。

 そして中国政府(国家衛生当局)は同年2月9日、「湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎で、同日午前0時(日本時間同1時)時点の死者が811名、感染者が3万7198名になった」と発表しました。死者のうち780人を湖北省が占め、2003年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の全世界の死者774名を同省だけで上回ったことになります。

 ここで改めて、亡くなられた皆さんのご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご家族にお悔やみを申し上げたいと思います。


 そんな中、中国の文化機関も新型ウイルスの流行によって閉鎖を余儀なくされています。そこで多くの施設は、オンラインでの活動を続ける方法のようです。中国の国家文物局(NCHA)は各美術館や博物館に対し、SNSを活用したデジタルでの展示を要請しているとのこと。

中国 コロナウイルス 新型 美術館 博物館 展示
Betsy Joles//Getty Images
マスクを着用して、閉館した北京の故宮博物院前を歩く2人の少女

 CNNによるとNCHAは、先月の特別会議で「全国の文化遺産博物館や機関に対し、必要に応じで既存のデジタル資源を活用したデジタル展示を行うことを奨励し、国民に安全で便利なオンラインサービスを提供する」ことを発表。

 世界的に有名な故宮博物院バーチャルツアーなど、一部のデジタル資源は中国国内でしか利用できません。しかし、その他100以上のデジタル展示(NCHAのウェブサイトにもまとめられている:一覧はこちら)に関しては、世界中から閲覧が可能。その中には、奏始皇帝の兵馬俑や、敦煌・莫高窟の彫刻や壁画など、中国の主要な遺跡もラインナップされています。

 ウイルスの流行に関連して、日本国内の大学では春休みを迎える学生たちに中国への渡航を禁止する通達を出しています。米国務省も、国民に中国全土への渡航禁止を勧告しています。

 そのため、こうしたデジタル展示はこの先数週間から数カ月間にわたり中国の文化機関を訪れるのに最適な場所となるかもしれません。アート目当ての旅行を予定していた方は、こちらでチェックしてみてはいかがでしょうか。 

From TOWN&COUNTRY
Translation / Masayo Fukaya

From: ELLE JP