電話番号が漏洩。殺害予告も

バレスチナ難民を父にもつベラ・ハディッド。これまでも姉のジジとともに、パレスチナの人々が置かれている状況についてたびたび声をあげてきた彼女は、2023年10月7日のハマスによるものと言われているイスラエルへの攻撃、それに対してイスラエルはパレスチナ自治区ガザへの侵攻を踏み切って以来、沈黙を貫いてきました。ですが、現地時間10月26日(木)に自身のインスタグラムアカウントで声明を発表。

おそらく何度も推敲されたと思われる文章には、市民を犠牲にする戦争そのものへ抵抗する姿勢と、パレスチナ系米国人としての苦悩が見て取れます。以下、全訳を掲載します。

イスラエルとパレスチナの戦争被害者支援のため、以下のような団体に寄付をすることができます。
allmep
イスラエルとパレスチナにおける平和支援組織
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The Carter Center
1990年代からパレスチナ-イスラエル間の平和を推進してきた人道支援組織
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腐敗しているのは体制であり、2つが絡み合うことこそが最悪の罪です。

これらの非常に難解で恐ろしい過去2週間について、ふさわしい言葉をまだ見つけられていません。この2週間は、過去数十年にわたり無害な命を奪い、家族たちの運命を左右してきた状況に、世界中の目を向けさせることになりました。私は多くを語りたいと思っていますが、今日は簡潔にまとめます。

私は毎日何百もの死亡予告を受けてきました。私の電話番号は漏洩し、家族が危険にさらされていると感じました。ですが、これ以上は沈黙できません。恐怖に屈するわけにはいかないのです。特にガザのパレスチナの人々や子どもたちのことを考えれば、私たちが黙ってしまうわけにはいかないのです。立ち向かっているのは私たちではなく、彼らなのですから。

私の心は、現時点で目に見えるトラウマと、私の体に流れるパレスチナ人の血ー祖先たちのトラウマによる痛みにより血を流しています。ガザの空爆の余波を見て、子どもたちを失ったすべての母親と、ひとりぼっちで泣きじゃくる子どもたち、失われた父親たち、兄弟姉妹、おじ、おば、友人、そして二度とこの地球を歩くことがないであろう人々とともに死を悼みます。

私は、2023年10月7日の痛みとその後の余波に苦しむイスラエルの家族たちのことも嘆き、悲しんでいます。かの地の歴史に関係なく、どんな市民に対するテロ攻撃も私は非難します。女性と子どもを傷つけ、恐怖を与えることは、パレスチナ解放運動にとって何の善ももたらしませんし、もたらすべきでもありません。私は心の底から信じています。どんな子どもも、どんな人々も、家族から一時的であれ恒常的であれ引き離されてはならないと。それはイスラエル人とパレスチナ人双方に言えることです。

パレスチナ人であることの辛さを理解することは重要です。私たちを、平和に抵抗するテロリストでしかないと見る世界では…。有害で、恥ずべきことであり、それは明らかに間違っています。

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私たちはリーダーたちに圧力をかけ続けなければいけません

私の父は、ナクバ(1948年イスラエル建国時に起こった75万のパレスチナ人の居住地からの追放。アラビア語で『大破局』の意)の年にナザレで生まれました。彼が生まれて9日後、彼は母親の腕の中で、家族とともにパレスチナの家から追放され、かつての故郷から遠く離れた場所で難民になりました。私の祖父母は、二度と故郷に戻ることが許されませんでした。私の家族はパレスチナ人に対する75年間におよぶ暴力の生き証人です。特に共同体そのものの破壊、冷酷な殺人、暮らす家からの強制的な追放をもたらす入植者の苛烈な侵入行為が最も顕著でした。パレスチナの土地への入植行為は、今日も続いています。その痛みは想像を絶するものです。

わたしたちは皆、人間性と思いやりの存続のためにも共に立ち上がらなければなりません。全ての宗教は平和が基盤となっています - 腐敗しているのは体制であり、この2つが絡み合うことこそが最悪の罪になります。私たちはひとつであり、神は全ての人を平等に創造したはずです。あらゆる流血、涙、そして死者は同じ敬意をもって追悼されるべきです。

ガザには急を要する人道的危機があり、それに対応する必要があります。家族たちは水と食べ物へのアクセスが必要としています。病院では発電機で電力を供給することで負傷した人々の世話をしています。生命を維持するため、燃料を必要としています。

戦争にも法があり、それらはどんな場合でも守らなくてはなりません。

私たちはどこにいても、ガザの人々の急を要する求めを忘れないように、そして罪のないパレスチナの民間人がこの戦争の忘れられた犠牲者にならないよう、指導者に圧力をかけ続ける必要があります。

私は人間性とともに立ちあがって、平和と安全が私たち全員のものであることを知ります。