最も成功した男性モデル：デヴィッド・ギャンディが語る、身体と精神のためのアパレルブランドの理想
男性スーパーモデルの代名詞とも呼ぶべきデヴィッド・ギャンディ。カジュアルなスタイルが際立つ彼のアパレルブランド「デヴィット・ギャンディ・ウェルウェア（David Gandy Wellwear）」が目指すのは、理想的なフィット感、そして自分らしさの追求です。
インスタグラムのフォロワー数や、ただちょっと有名だというだけで、まるでやり手のビジネスパーソンと見られるような、そんな怪しげな時代を私たちは生きています。テキーラ・ビジネスに参入したケンダル・ジェンナー、気分はすっかりパフューマーというビリー・アイリッシュのフレグランス展開など、例を挙げればきりがありません。
そのような時代にあって、2000年代初頭から世界的に有名かつ実績ある男性モデルの第一人者、デヴィッド・ギャンディが立ち上げたアパレルブランドについても、「その名声を利用したものに過ぎない」と誤解したとしても無理からぬこと。
ですが、「それは大きな間違いである」と断言しなければなりません。
英国人モデル：デヴィッド・ギャンディ（David Gandy）とは何者か？
まず第一に、ギャンディは自分が何者であるかについて、誰よりもよく理解しています。
「モデルとして20年以上も過ごしてきたなかで、『人々が一生のうちに着る服よりも、多くの服を身に着けてきた』と言っても嘘にはならないはずです」と彼は語ります。
「トレーニングから得られる最大の恩恵は精神的なもの」
「いずれ、自分のブランドを立ち上げたいという気持ちは、何年も前からありました。だけど、名前だけが先行するようなやり方は避けたかったのです。自分が本当に納得できる衣服であること、明確な目的のある衣服であることが重要でした。私はモデルとして、ハードなトレーニングを続けてきた人間です。この業界は、とにかく身体がすべてなのです。ですが、私にとってトレーニングから得られる最大の恩恵は、むしろ精神的なものです。『ウェルウェア』の立ち上げに際しては、身に着ける人々が身体的にも精神的にポジティブなものを得られるようなラインアップをつくり上げたいというのが私の理想でした」。
フォレストグリーン・ミッドレングス・スイムショーツ 55ポンド（約1万円）
2021年、Tシャツ、スイムショーツ、スウェット、ポロシャツなど…、いずれも理想的なプロポーションを備えた、そして必要不可欠なベーシックアイテムばかり20種からなる上品なコレクションを取りそろえ、「デヴィット・ギャンディ・ウェルウェア（David Gandy Wellwear）」の歴史が幕を開けました。
その後は、衣服とそれを身に付ける人々との感覚的かつ心理的な関係性を追い求めながらブランドの基礎を築き上げてきたのです。
高級メンズウェアブランドの多くがテクニカル・ファブリック（防水透湿性素材などのハイテク・ファブリック）の活用に重点を置いてきたのが、この10年の潮流です。つまり、身に着ける人々それぞれの用途などそっちのけで、「超軽量素材や防水性・防水性を極限まで高めたテキスタイルこそ正義であり、機能の追求こそ第一義である」と、そう考えられてきたのです。
一方、ギャンディの衣服に対するアプローチは、テクノロジーも含め、より総合的なものです。
オフホワイト・プールサイド・ワッフル・ポロ 70ポンド（約12,800円）
スタイルとウェルビーイングの融合
「まず自分が何を追求すべきか、その言語化こそが重要でした。スタイルと（心身と社会的な健康を意味する概念である）ウェルビーイングを融合させる全く新たなカテゴリーの創造こそが、このブランドの理念なのです」と、ギャンディは言います。
「セルフケアの重要性がますます高まるこの世界において、私はアパレル業界の進化を加速させたいと考えてきたのです。多様な感覚を重視したデザインを目指し、柔軟で快適な衣服を科学的に追い求めようというのが私たちのアプローチです。なめらかな素材に肌が触れることでオキシトシン（＝精神的な安らぎを促しストレス反応を抑制する作用があるとされる、いわゆる幸せホルモンのひとつ）が分泌され、心理的な多幸感が高まり、ネガティブな感情が抑制されることが科学的に証明されています」。
「私たちは可能な限り柔らかく高品質な生地を用いることで、身に着けるだけで気分が上向くような、そんな独自の特性を備えた衣服をつくろうとしているのです」と、ギャンディは続けます。
ネイビー・プールサイド・タオルシャツ 95ポンド（約17,500円）
ナノテクノロジーを駆使してバクテリアや臭いなどを抑制し、快適性を高める「ウェルウェア・ブレス（Wellwear Breath）」など独自の技術を取り入れることで、より着心地が良く、簡単に洗える、つまり身に着ける人々にも環境にも優しい服づくりが追求されています。
また、アロエベラ（肌柔軟・保湿・整肌・血行促進などのさまざまな作用が認められているアロエ属の植物、その肉厚の葉に含まれる粘性あるジェル状の成分）の主要化合物であるアロエシン（Aloesin）によって期待できる保湿作用・抗炎症作用を取り入れることで、さらなる優しさを目指した「ウェルウェア・ケア（Wellwear Care）」も。また、有害なUVAとUVB（いずれも肌の劣化に影響を及ぼす紫外線）の97パーセントカットを実現した「ウェルウェア・プロテクト（Wellwear Protect）」を水着やプールサイドウェアの全てに用いるなど…。それがギャンディの目指すところなのです。
ホワイト・アルティメット・リネンＴシャツ 50ポンド（約9,150円）
そんなギャンディ自身がホリデーシーズンに好んで使う、おすすめのアイテムにも興味が湧（わ）きます。
「家族とともに、夏の大半をギリシャで過ごすのですが（パートナーのステファニーはギリシャ人と英国人とのハーフです）、これまでの経験から荷物は最小限に留めることにしており、常備するアイテムはわずか数点ほどです。アルティメット・スイムショーツ（美しく見えるショーツ丈にカットされています）は外せません。それから、ギリシャ滞在中はほぼずっとタオル地シャツとショーツのセットで過ごします。新作のアルティメット・リネンTシャツが今は気に入っていて、この夏はもうずっとこればかり着ています」と、ギャンディのおすすめスタイルを教えてもらいました。
「私にとってのスタイルアイコンと言えば、スティーブ・マックイーンやポール・ニューマンに代表されるハリウッドの名優たちです。彼らが好んだジーンズにシンプルな白のTシャツというスタイルは、今でも色褪（あ）せることがありません。先人たちの生み出したスタイルのように時代を超越した快適さを『ウェルウェア』も目指しながら、衣服に対する目の肥えた現代の人々の感性に合う、きめ細かいディテールを持たせた服づくりを理想としています」。
Source / Men’s Health UK
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。
おすすめ記事：真の紳士が心がけている（であろう）20の掟
男であるならば、常に紳士であろうと意識したことがあるでしょう。紳士の持つ資質とは何なのでしょうか記事を読む
Watch Next
