Netflix「ベッカム」が配信中。デビッド・ベッカムの革新的ファッションスタイル10
Netflix「ベッカム」の配信を記念して、英国メンズウェアの歴史に革命を起こした（であろう）彼のファッションスタイルを振り返ります。
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イエス、イエス、イエス……。こちらがかの有名な“サロン”（マレー諸島などでスカートのように腰に巻く腰布スタイル）です。1998年のフランスワールドカップ中に見せた、デビッド・ベッカムのスタイル史上最もセンセーショナルなファッションは、 Netflixで配信中のドキュメンタリー「ベッカム」でも確認できます。そしていまもなお、反響を呼んでいます。
「20年前、私がサロンを着たとき、世間の人々はショックを受けました」とベッカムは数年前の『デイリー・テレグラフ』で語っています。「それは非常識なことでした。『なぜそれを着るの？何を考えているの？』今では、男性が街でサロンを着ていても誰も気にしないのに」。
確かに、サロンを着たスタイルに当時世間は大きな衝撃を受けたのは事実でしょう。ベッカムそしてベッカム一家としても、彼らのスタイルは英国紳士のファッションに大きな影響を与えてきたと言っていいですが、残念ながらサロンに至っては、ニッチな追及になってしまったのかもしれません。しかしベッカムは、この30年間で他のセレブリティにはない方法でメンズファッションのスタイルを開拓し、私たちのワードローブの幅をそっと広げた存在でもあるのです。
【1999年】『マトリックス』スタイル
ネオ（映画『マトリックス』の主人公）が人工知能に宣戦布告した年の瀬を祝して、マンチェスターで大晦日を迎えたベッカム夫妻はブラックレザーによるリンクコーデで登場しました。「ヴェルサーチを着た」と、デビッドはのちに『H&M』誌に語っています（H&Mにも実は雑誌があったのです！）。
「でも、あれは振り返ったときに、『何を考えてたんだ？』ってなるやつだね」とも述べていました。でもそれは、正しい判断ではないかもしれません。なぜなら、あれから25 年の月日が経とうとしている現在も、『マトリックス』のトレンドが再来しているのですから。そんなことを彼らは、知る由もなかったでしょうが。とは言え、大胆であることは確かですね。
【2000年】ドゥーラグ
ここには取り入れるべきことがたくさんあります。2000 年の「パーティー・イン・ザ・パーク」（イギリスのラジオ局主催で行われる音楽チャリティコンサート）で、ポップ ミュージックの未来を見据えたその展示ように、ベッカムが新世紀の到来を告げた…そんなスタイルです。
このスタイルに英国中が注目し、フューチャリスティックな雰囲気が舞台裏の機材にまでも広がりました。未来の国王チャールズ 3 世に袖を通さない服で、頭にドゥーラグ（DU-RAGU）を巻いて挨拶したことは、大西洋越しに国と国の交流が急速に進んでいく未来を示唆していたのかもしれません。
【2000年】スネークスキンのジャケット
「ヴァージン・メガストアーズ」（英国のCDショップ）で開催された、ヴィクトリア・ベッカムとデイン・バウワーズのチャート首位獲得記念のサイン会には、スター性を備えたスネークスキンのジャケットで登場したデビッド。
残念なことに、このジャケットのせいでしょうか。その後2人の楽曲「アウト・オブ・ユア・マインド」は、スピラーの「グルーヴジェット（イフ・ディス・エイント・ラブ）」に2万枚差をつけられ2位にランクダウンしてしまいます。
【2002年】POLICEに電話を！スタイル
ここには2つのポイントが存在しています。ひとつは、ベッカムがファッション界のメインストリームに影響を及ぼした最初のサンプルである「ポリス」のサングラスです。そしてもうひとつが、彼のヘアスタイル「ホクストン・フィン（短めのおしゃれモヒカン）」が初登場した瞬間です。
この髪型は1990年代のロンドン・ホクストン地区で流行っていたことにちなんで、「ホクストンフィン」と呼ばれるようになりました。それをデビッドが世界的なワードにしたのです。
サッカーは一般的に、この時点までハイストリートから流行を吸収することにかなり無頓着でした。タイアップ広告に出ても、浮いたように見えるだけでしたが…デビッドだけは一線を画した存在でした。
【2005年】「バック・トゥ・ザ・クラシック」スタイル
「スポーツ界のアカデミー賞」として、2000年から開催されている「ローレウス世界スポーツ賞」。2019年の「年間最優秀成長選手賞」には、大坂なおみが選ばれています。
その2005年の会場に現れた、ベッカム夫妻の写真がこちらです。この写真を見ながら、「わたしたちはあの頃どんなだったかな？」と思い浮かべてみてください。 「あの頃、自分たちもこんなに若かったのか？」と感慨深く思った人も少なくないでしょう。
そんななか、重要な出来事も起こっています。気づいた人もいることでしょう、それはデビッドのスタイルです。正統なタキシードを身にまとい、ヘアスタイルは「ホクストンフィン」から一変し、90年代のカーテンを彷彿とさせるオールバック…。30代で確立する自身のスタイルの方向性をここで示していたのです。
【2008年】メットガラにて
2007年にアメリカのプロサッカークラブ「ロサンゼルス・ギャラクシー」に移籍し、ヨーロッパで最も有名なスポーツマンから世界で最も有名なスポーツマンの一人になった 1 年後、メットガラに登場したことは、ベッカム夫妻がアメリカのポップカルチャーの最前線に浮上したことを意味しています。
この年のテーマ「スーパーヒーロー」に、ぴったりな装いかはわかりませんが…。
【2018年】ロイヤルウェディングスタイル
ヘンリー王子＆メーガン妃の結婚式に出席したデビッドの装いは、昼間の正礼装である「モーニング」でしたが、エドワード朝時代の気難しい雰囲気を取り払ったかのようにフレッシュな雰囲気でした。
現代ではなかなか実践することのない正統派を極めた正装ですが、この席で多くの出席者がそれを実践し、ファッションの視野を広げることはとてもいいことだと思います。
【2022年】一般弔問に参加
エリザベス2世がお亡くなりになり、多くの人が「自分はどう生きていくべきか？」を考えている頃、これまでで最も進化したファッション界の至宝とも呼ぶべき“ベックス”が現れました。
ベイカーボーイ帽（キャスケット）に武骨な傘、きちんとしたオーバーコート…このこともまた、「ロンドン橋計画（エリザベス女王が死去した後の手順を決めた計画書）」の一部に入っていたのでしょうか？
【2023年】ウェス・アンダーソン作品から出てきました
9月、ちょうど映画『アステロイド・シティ』の公開に合わせて、デビッドはウェス・アンダーソン作品の主演俳優かのようにパリにやって来ました。恐らくダージリン急行で来たのでしょう。BGMで『Les Champs-Élysées(オー・シャンゼリゼ)』が聞こえてきませんか？
と言うよりも、監督のウェス・アンダーソン自身のスタイリングにも影響を与えているかのように、ちょっと似ています。
【2023年】「ヴィクトリア・ベッカム」のショーにて
2023年10月、「ヴィクトリア・ベッカム」のパリコレ会場で娘のハーパー・ベッカムとともにフロントロウに座った2人。
この着こなしは、過去10年におよびダブルブレストスーツの着こなし総決算とも言えるでしょう。娘のホワイトドレスをある意味引き立てるように、サンダルと白Tシャツでヌケ感全開のドレスアップを演出していました。
source / ESQUIRE UK
Translation & Edit / Minako Shitara
※この翻訳は抄訳です
