新しい女性スーパーヒーロー像を描いて大ヒットを記録した映画『ワンダーウーマン』。しかし、主役を演じたガル・ガドット自身も、作品自体も、性差別の憂き目に遭ってきたという。

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Wonder Woman

 『ワンダーウーマン』の成功は、現在も多くの人々の話題に上っている。『ジャスティス・リーグ』(今秋公開予定のバットマンやワンダーウーマンらヒーローが集結する作品)はひどい出来かもしれないし、マーベルシリーズでは『ジェシカ・ジョーンズ』だけが見る価値のある女性ヒーローかもしれない。しかし、ワンダーウーマンが証明したのは、ハリウッドには女性が監督を務め、女性が主演する、女性のためのスーパーヒーロー映画に多くの可能性がある、ということだ。 

 主演のガル・ガドットがワンダーウーマン役をチャンスだと感じた理由には、彼女のこれまでの経験があるという。 

 「これまで生きてきたなかで、男性の失礼な振る舞いを感じる瞬間がよくありました。それは性的な振る舞いというわけではなく、性差別という点で不適切なもので、女性を軽んじるような行為でした。女性としてのこれまでの人生は、バラ色で最高というわけではなかったんです」と、自ら表紙を飾った最新の『ローリングストーン』誌で語っている。 

 女優になるかなり前にはミス・イスラエルに選ばれたことでも知られるガドットだが、当時の彼女はミス・ユニバースのコンテストで英語を話せないふりをしたり、わざと不適切な服装をしたりして、自らこのチャンスを棒に振ったという。「わたしは堂々と負けたんです」と彼女は語っている。 

 また、モデルにもなりたくなかった彼女は、ロースクールに通い始め、自身の外見に関係ないキャリアを追い求めた。そんな彼女がアクションスターの役を得て、ワンダーウーマンを演じることになったのは、彼女にとっての個人的な勝利であり、女性のための象徴的な出来事といえよう。 
 

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Gal Gadot Comforts Young Wonder Woman Fan at Comic Con 2017
Gal Gadot Comforts Young Wonder Woman Fan at Comic Con 2017 thumnail
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 ワンダーウーマンがチケット販売所を席巻してから、ガドットは女性とそのイメージに関する熱狂的な議論の中心となった。彼女の意見では、女性に関する立場について「中立」というものはないという。 

 「いつも『あなたはフェミニストですか?』と聞かれるのですが、この質問は驚くべきものだと思います。私は、『当然すべての女性と男性はフェミニストであるべき』と考えているからです。フェミニストでない人は性差別主義者だと思います」(ガドット) 

 性やジェンダーをめぐる議論には、ときにくだらない横やりが入る。ガドットがイスラエル人であることや、彼女の胸が小さいことを中傷する批評家たちの言説は、その最たるものだ。 

 「そういう批評家には、『あなたが本当にそう考えるなら、アマゾネスはどうなのでしょうね。彼女らの乳房は1つしかありませんけど』と言ってやりました」とガドットは話す。ご存じのようにアマゾネスは、ギリシア神話に登場する女性だけの部族である。 

 「彼らは何が言いたいのでしょうか?私の胸が小さくて、お尻が小さいこと?それが大きな問題だ、ということでしょうか」(ガドット) 

 もちろん、そんなことは問題ではない。『ワンダーウーマン』は素晴らしい成功を収め、ガドットは続編にも出演する予定だ。また、監督のパティー・ジェンキンスは続編の報酬交渉に真剣に取り組んでおり、彼女は女性監督として過去最高の報酬を手に入れることになるだろう。 

 現在、ガドットは役作りのトレーニングを続けている。作品を観た女の子や男の子たちは、ワンダーウーマンのようにドレスアップして熱気をますます高めている。 

 ここに前例ができた。映画業界の重役たちは、これまでの女性への借りを返さなければならないだろう。


By Sarah Rense on August 24, 2017
Photos by Esquire US
ESQUIRE US 原文(English)

TRANSLATION BY Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。


編集者:山野井 俊