役作りのための肉体改造と言えば、クリスチャン・ベールが真っ先に思い浮かぶでしょう。映画『マシニスト』のガリガリに痩せた不眠症の男を演じ、『バットマン ビギンズ』では筋骨隆々とした大富豪などと、ベールは演じる役に合わせて徹底的かつ自在に身体を作り変えてきました。

 それに対して、ここで紹介するマイケル・B・ジョーダンの肉体改造に関しては、それほど騒がれていません。映画『ブラックパンサー』でも、『クリード 炎の宿敵』でも、正直、笑ってしまうほど逞しい肉体を披露しているのにです。これも彼がその肉体を、生まれながらに持っているかのように、堂々と披露しているからに他なりません。

 しかし、冷静に見てみれば、隆々と輝きを放つ美しきその体躯は、並大抵の努力では得られないと気づくはずです。そして、次のステップとして疑問が湧いてくるでしょう。「どのように鍛えれば、これほどの巨大な肉体を得ることができるのだろうか?」と。

 あれほどの肉体改造をジョーダンに対し、「わるいが、もう1度ゼロからやり直してくれ!」と言ったなら、彼は動揺するのでしょうか? そんな想像も浮かんできます。ですが実際のところ、そうなった場合にもジョーダンは一つ返事で成し遂げることでしょう。しかしながら、懸念点もあるようです。

 エンターテインメントメディアである「Vulture」のインタビューでジョーダンは、「いまは自分がとても小さく感じる」と少し嘆かわしそうにそう語っていました。

 それは現在、彼は映画『Just Mercy(原題)』という作品でブライアン・スティーブンソンという人権派の弁護士の役を演じるため減量中だからなのです。

「いつも同じ演技をしている俳優とは思われたくないし、それ以前に自分はヒゲが生えない体質だから、役に応じて見た目を切り替えるにはさまざまな方法を見つけ出さなければならない。『クリード 炎の宿敵』では人間とは思えないほどの肉体の持つアドニスというボクサーを演じたが、そのプロジェクトが終わった後には、以前のように歩き回るのも難しかった…。『前は、どんな身体だったっけなぁ?』といった感じで、洋服もすべて買い換えなくてはならないほどだったよ。あれだけ筋肉を増やせば、スーツは確実に身体に合わなくなるからね」

 マイケル・B・ジョーダンは、「ヒゲが生えない体質」であることに驚いた方もいるかもしれません。皆さんが疲れて気力を失い、「人生は公平でない」と感じたときには、このことを思い出すといいかもしれません。「いま、信じられないほど成功しているハンサムな映画スター、マイケル・B・ジョーダンは、ヒゲが生えない」ということを。

 ミスター「肉体改造」として、クリスチャン・ベールに勝るとも劣らない実力を見せつけたことで、さらに人気急上昇となりつつあるマイケル・B・ジョーダン。実際、減量と増量を繰り返すことは決して簡単なことではありません。ですが彼にとっては「それが仕事だから…」と割り切り、ヘッチャラにこなすことでしょう。

 とは言え、「また服を買い替えなきゃいけないじゃないか!」とボヤくことは間違いなさそうですね。

Source / Esquire UK 
Translation / Hayashi Sakawa 
※この翻訳は抄訳です。