現地時間2022年3月27日(日)に開催されたアカデミー賞授賞式のレッドカーペットでは、「いろいろと工夫を凝らすこと」が求められていたようです。例えばティモシー・シャラメがシャツを脱いで、素肌に「ルイ・ヴィトン」のジャケットを羽織っているのを観ると、「いまやクラシックな黒のタキシードを着て流行の最先端を走ることは、かなり難しいこと」が理解できるでしょう。
ですが、だからといってスタンダードなタキシードを、より素敵に着こなす方法がない…というわけではありません。そうです、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、ホアキン・フェニックスらのように。
ここ数年、テーラリングにサングラスを合わせる俳優が増えていることも注目すべきことでしょう。2022年のレッドカーペットも、その流れは健在でした。ラミ・マレック、ベネディクト・カンバーバッチ、トラヴィス・バーカーなどは、さりげなく70年代風のクールな装いを受け継いでいたのです。
アカデミー賞という世界で最も注目される瞬間に、サングラスを着用するというコーディネートテクのオリジンが俳優ジャック・ニコルソンであることを彼らは知ってか知らずか、きちんと受け継いでいるわけです。
1975年公開の映画『カッコーの巣の上で』に主役ランドル・パトリック・マクマーフィーを演じ、1976年第48回 アカデミー賞で主演男優賞を受賞したときのジャック・ニコルソンは、タキシードにアビエーターサングラスというスタイルでした。これは歴代のアカデミー賞の中で、最も象徴的なルックのひとつと言っていいでしょう。とてもクールでかなりハリウッドスターらしく、そして簡単に他と一線を画することのできるスタイルでした。
偉大な人物のスタイルが、レッドカーペット上に脈々と受け継がれている様子…それは観ていて実にうれしいことです。さて来年は、どんなスタイルを観ることができるでしょうか? 今度は(オスカーを獲得した前年)1975年の授賞式に出席したジャック・ニコルソンが実践していたような…黒いベレー帽をコーディネートする者も登場するかもしれません。ぜひとも、一歩も二歩も進んだスタイルでわれわれに着こなすことの喜びを教えてくれることを願っています。
Source / ESQUIRE UK