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何度も観たくなる、史上最高のスパイ映画14選
「007」シリーズから『アトミック・ブロンド』、そして『ミッション:インポッシブル』まで、スパイ映画の名作の数々を紹介します。
偽りの人生を生きることはスリリングに思えるかもしれません。ですが、ほとんどの方にとっては不安のほうが大きいはずです。幸いにも、私たちは自ら体験せずともスパイ映画を観ることで、「そんな人生とはいかなるものか?」を教えてくれます。
『三十九夜』のような名作から「007」シリーズまで、ハリウッドでスパイもの映画の人気は今も衰えません。実際、スパイというジャンルからは映画史を代表する素晴らしいアクション映画の数々が生まれており、そこには頭脳と体力のバランス、複雑なストーリー、巧みなどんでん返し、カーチェイス、爆発などの魅力的な要素が詰まっています。
そこで日常をちょっと抜け出したい気分になったときには、少し時間をとってスパイ映画の世界に飛び込んでみるのはいかがでしょうか。名作『北北西に進路を取れ』から『アトミック・ブロンド』のような比較的新しいヒット作まで、今回紹介する作品を観れば、お気に入りのシークレットエージェントが見つかること間違いないでしょう。
それでは皆さん、最高のスパイ映画の数々をご覧ください。このミッションに必要なのは、視聴デバイスとちょっとした勇気だけですので…。
『三十九夜』(1936年日本公開)
このアルフレッド・ヒッチコック初期の作品は、ヒッチコックならではの優れたストーリーテリングとどんでん返し、サスペンスによりスパイ映画の規範形成に大きな影響を与えました。
本作の主人公リチャード・ハネイ(ロバート・ドーナット)はどこにでもいるような普通の男で、英国軍に関する機密を盗み出そうとするスパイ組織の陰謀に巻き込まれます。そんな彼は、ますます困難な状況に陥り、入り組んだ嘘から抜け出せなくなっていくのでした。
『北北西に進路を取れ』(1959年日本公開)
本作はアルフレッド・ヒッチコック監督の最高傑作ではありませんが、優れた代表作の1本であることは確かなことです。また、本作は巻き込まれ型スパイサスペンスとして最高の1本でもあります。
当時はコメディ路線で人気を博していたケーリー・グラントは、本作でソ連から米国のスパイと勘違いされるほど口の上手い広告会社の幹部ロジャー・ソーンヒルを演じています。
この作品では、ヒッチコック監督がそれほど真剣に考えなかったことが功を奏し、彼の最も繊細で驚くべきアクションシーンが誕生しました。それは…グラントがとうもろこし畑で飛行機に追われるシーンです。
スティーブン・スピルバーグ監督のキャリアの出発点となり、(『ミッション:インポッシブル』を手がけた)ブライアン・デ・パルマ監督にも大きな影響を与えました。
『シャレード』(1963年日本公開)
ケーリー・グラントとオードリー・ヘップバーンが共演したこの作品ほど、魅力的な強盗映画はありません。2人が引き起こした化学反応はあまりに素晴らしかったため、作品中にどんなどんでん返しがあったかも忘れてしまうほどです。
グラントはヘップバーン演じるレジーナの元夫の隠した金のありかを追う、魅力的な詐欺師として登場します。ですが、2人が惹かれ合っていく中で、彼の正体は次々にはがされていくのでした…。
『007 ロシアより愛をこめて』(1964年日本公開)
『カンバセーション…盗聴…』(1974年日本公開)
フランシス・フォード・コッポラ監督の『カンバセーション…盗聴…』では、盗聴のエキスパートであるハリー・コール(ジーン・ハックマン)が一見ありふれた会話から殺人の疑いを抱き、妄想に取り憑かれていきます。
映画製作におけるコッポラ監督の優れたテクニック、特に編集技術は主人公が抱く妄想や強迫観念を、本能レベルで見事に捉えています。
『フューリー』(1978年日本公開)
ブライアン・デ・パルマ監督の『フューリー』は厳密にはホラー映画であり、ティーンの超能力もの映画でもあるので、スパイ映画の要素は3分の1と言えます。
無秩序ながらも、ある意味で完璧なこの作品は畏敬の念(いけいのねん)さえ抱かせるようなアクションシーンの連続で、カーク・ダグラス演じる荒々しい元CIAエージェントが、政府の恐ろしいプログラムから息子を救い出そうと奮闘します。
原作はもはや誰も気にかけていなかった小説かもしれませんが、本作でデ・パルマ監督は『キャリー』で成功を収めた要素や、自らが夢中になってきたさまざまな映画の要素(例えば施設からの脱出シーンでは、10分近くも無音に近い演出となっています)を組み合わせることで、見るものに強烈な感情を与える作品となりました。
そこには純粋な視覚的快感があり、クライマックスまで目が離せません。
『007 ゴールデンアイ』(1995年日本公開)
ピアース・ブロスナン版の「007」をシリーズ最高傑作とする意見は、生粋のファンからは一蹴されるかもしれません。ですが、ブロスナン版の「007」シリーズはエンターテイメントであり、彼がサンクトペテルブルク市街を戦車で爆走するシーンほど、痛快なものはありません。
男たちを誘惑して殺そうとするファムケ・ヤンセン演じるサディスティックな悪役、本作の中心キャラクターを見事に演じたショーン・ビーンやアラン・カミングらの名優たちの好演にも魅了されることでしょう。
そして、クライマックスのパラボラアンテナでの戦いなどを通じて本作は、人々がボンド映画に求めるあらゆる要素が詰めこまれた傑作であるに気づくはずです。
『ミッション・インポッシブル』(1996年日本公開)
ブライアン・デ・パルマ監督ほど、爆発が大好きな監督はいません。そんな彼は自らの作品中、最大の興行的成功を収めた本作の中で板ガム型爆弾で巨大な水槽を爆破するシーンまでつくっています。
ですが、本作で最も印象的なのは、緊迫感あふれる静かな瞬間(トム・クルーズ演じるイーサン・ハントがCIA本部に侵入した際、警報が鳴ってしまわないよう自らの汗の落下を阻止したシーンなど)を生み出すデ・パルマ監督の手腕です。
本作の大ヒットにより、シリーズ化された『ミッション:インポッシブル』。今では大人気スパイ映画シリーズとして高い人気を誇っています。
シリーズ第7作目は現在制作中であり、北米の公開予定日は2021年11月19日とのこと。もしかしたら年内に、日本でも公開されることでしょう。
『ミュンヘン』(2006年日本公開)
スティーブン・スピルバーグ監督が手がけた多くの作品の中で、最も過小評価されているであろう本作。これは1972年のミュンヘンオリンピックで起きたイスラエル選手の殺害事件への報復を行う、イスラエルの諜報部隊を題材にしたものです。
スピルバーグ監督は脚本家のトニー・クシュナーやエリック・ロスの助けを借りて、故郷の名のもとに次々と暗殺を実行しながら実存的危機に直面していく主人公たちを巧みに描いています。
スピルバーグ監督の洞察力に富んだスリラー作品は、イスラエルとパレスチナのいずれかを支持するものではなく、今日の憎しみに満ちた政治情勢に必要なある種の解毒剤となるでしょう。
『バーン・アフター・リーディング』(2009年日本公開)
『ゼロ・ダーク・サーティ』(2013年日本公開)
キャスリン・ビグロー監督がオサマ・ビンラディン(リッキー・セコン)を長年追い続けてきた女性エージェント・マヤ(ジェシカ・チャステイン)を巧みに描いた作品。題材となっているのは米国史の中でも最も有名な暗殺作戦の1つですが、この作戦は勝利とはほど遠いものでした。
外交政策マニアからは「事実に正確ではない」との反論も出ていますが、ビグロー監督は自らの使命に尽くした彼女が払ってきた精神的な負担を描こうとしました。
『ボーダーライン』(2016年日本公開)
麻薬戦争を巧みに描いた本作では、FBI捜査官のケイト・メイサー(エミリー・ブラント)が米国・メキシコ国境での悪夢のようなミッションに取り組みますが、彼女は自らが巨大な政治的問題の末端にいるに過ぎないことに気づいていきます。
本作の結末は「よく理解できない理由で、ほとんどの場合は会うことのない人々のために戦争をする」という、スパイの動揺すべき真実を認めるものです。
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『アトミック・ブロンド』(2017年日本公開)
MI6のスパイであるロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)は、同僚のエージェントの殺害に関する調査と、ベルリンで活動するすべての二重スパイが載ったリストの発見のため、壁崩壊が迫るベルリンに送り込まれます。
セロンがクールなシークレットエージェントを演じるという圧倒的魅力に加え、美しい画作りや全編に散りばめられた80年代ミュージックなど、最初から最後まで記憶に残る1本です。