コンサート、MVやアルバムカバーで着用している衣装で、ハリー・スタイルズは何年にもわたってメンズファッションを開拓し、スタイルのインスピレーションを私たちに提供してきました。ここ最近で、ファッションに刺激を与えてくれるアーティストを1人挙げるとするならば、やはり“ハリー・スタイルズ”の名前は外せないでしょう。そこには、その名前にも一因があるのかもしれませんが…。

 ボーイズバンドのワン・ダイレクションが解散して以来、スタイルズは長すぎる「AllSaints(オールセインツ)」のレザージャケット、黒のスキニージーンズ、ウールのキャップという典型的スタイルから見事脱却しました。

 そして、全く異なる音楽ジャンルへと挑戦し始めたことに加えて、服装における実験も始めました。ハリー・スタイルズが魅せるファッションへの挑戦の数々…「次はどんなスタイルを見せてくれるか?」と、 それを考えるだけでも多くの方が楽しみにしていることでしょう。 

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ハリー・スタイルズが教えてくれること

 ハリー・スタイルズが主に私たちに訴えていることとは、「ファッションがどれほど素晴らしいか」ということです。おそらく大半の人々は、「見栄えが良く、かっこよくなりたい」と思っているはずです。しかし実際に、服を着こなすこと自体を楽しんでいるでしょうか? 皆さんも試しにここで、自問してみてください。そして、その答えが「No」という方は、ぜひこの続きを読み進めてみてください。

 一流の男性は、ファッションでさまざまな挑戦をし続け、時に失敗しながらも常に楽しんでいます。 その1人がハリー・スタイルズなのです。彼はジェンダーの規範をそれほど厳密に捉えておらず、メンズ・ウィメンズの表記など気にせずにさまざまなスタイルを楽しんでいます。

 しかしそこには、スタイリストのハリー・ランバートの助けもあります。そんなスタイリスト自身に関して言えば、ファッションモデルのような格好こそしていません。ですが、彼らはファッションのプロであり、私たちのスタイルをより洗練されたものへと導いてくれる手助けをすることが生業であり、その才能に満ちているのです。残念ながら私たち全員が、パーソナルスタイリストを雇える環境にはありません。なので間接的に、スタイルズのワードローブからそのヒントを学んでみましょう。

 それでは彼の気になる5つのスタイルについて、「もう知っているよ」という方にも振り返りをかねて、ここでご紹介していきます。 


色 × 色のカラフルな装い

「マーク・ジェイコブス」のウィメンズのスーツで、ブリット・アワーズのアフターパーティーに登場したハリー・スタイルズ
Neil Mockford//Getty Images

 これまでも「Esquire」では提唱してきましたが、2021年春夏のトレンドでも色物を取り入れたスタイルが挙げられるように、男性はもっと色物を着るべきです。「人にどう見られるか」を恐れず、挑戦してみてください。

 もちろん写真のスタイルズのように、誰もがパープルのシャツに対照的な明るいイエローのスリーピーススーツを着れるとは思いませんが、ブルーのパンツに淡いグリーンのTシャツ、白いシャツに明るいピンクのパンツなどでうまくいくはずです。

  

「ワイド&フィット」スタイル

アップリケとステッチが愛らしい「ボーディ」のジャケットに、「グッチ」のコーデュロイパンツを合わせたハリー・スタイルズ。リラックスしたスタイルながら、真っ赤なマニキュア&パールでスパイスも印象的なスタイル。
Neil Mockford//Getty Images
「ランバン」のニットヴェストとストライプパンツで、ラジオのイベントに登場したハリー・スタイルズ。
Kevin Mazur//Getty Images

 パンツはワードローブの中でも過小評価されがちなアイテムですが、最も時代が反映されやすいアイテムでもあります。通常、ジーンズやテーラードパンツは、プリントシャツやジャケットのベースとして機能します。ですがスタイルズのワードローブでは、異なる働き方をしています。

 ワイドパンツをハイウエストにはき、トップスには平均よりも大きくボタンを外したシャツの上にドットのヴェストをタックインしています。トップスはスリムに、ウエストラインにまとまりをもたせてワイドパンツを主張したスタイルを完成させています。ボディラインにメリハリをつけるこの「ワイドフィット」スタイルは、スタイルズの得意技と言っていいでしょう。

 ワイドパンツにシンプルな白いシャツ(短いものか、タックインする)を着るだけでも、同じ効果が得られるはずです。

特徴的な「スーツ」の着こなし

スーツ&ブーツは共に「グッチ」を着用のハリー・スタイルズ
Kevin Kane//Getty Images
ボウタイブラウスとパターンがレトロな、「グッチ」を着用するハリー・スタイルズ
David Becker//Getty Images

 スタイルズのお気に入りは、主張のあるスーツやセットアップを崩すことなく着ることです。特にパーティーシーンでは、「グッチ」は欠かせません。目の覚めるようなブルーや、遠くから見てもすぐにわかるような柄のスーツなどです。

 組み合わせには、ボウタイブラウスやシンプルにアンダーシャツを着ていることもあります。しかし、どちらにせよ「通常の」襟付きシャツを着ていることはほとんどありません。また、シューズもレースアップシューズではなく、ブーツやローファーなどです。

コーディネートの仕上げにジュエリー

ハリー・スタイルは、ズブルー × グリーンが目を引く、「グッチ」のニットとパンツを着用
Getty Images

 ミキモト × コム・デ・ギャルソンやH&M × シモーネ・ロシャなどのコレクションが、男性向けのアイテムにパールを打ち出すよりもずっと以前からハリー・スタイルズにとっては、パールや金の指輪、長いネックレスなどのジュエリーを愛用しています。これらは、17世紀に男性貴族らがすでに使用していたものでもあります。

 スタイルズだけでなく、ジュエリー業界やファッション業界は、メンズファッションにおけるジュエリーの復活を目指しています。金のチェーンネックレスやシグネットリングなどのジュエリーは、すでに浸透しつつあります。

ジェンダーフリーなファッション

共同ホストを務めた2019年metガラでのハリー・スタイルズのファッション。「グッチ」のシースルートップとパールのイヤリングでジェンダーの垣根を軽々と超え、世界中の視線を集めました。
Karwai Tang//Getty Images

 これはジュエリーにも当てはまることですが、スタイルズはファッションでジェンダーの壁を取り除いています。レースの付け襟やシースルーシャツ、ヒールのある靴…。しかし、これらが女性のためだけのものだと誰が言ったでしょうか? 女性が彼氏や兄弟のパーカを着るように、男性がこれらのアイテムをどのように着こなすのか? を率先しています。

 ジェンダーフリーが謳(うた)われる現在、「男性が着るものは男らしくなければいけない」という考えは「レガシー」とも言える存在になりました。そのおかげで、メンズファッションの幅が広がりつつあるのです。これはファッションを楽しむ全ての人にとって、喜ばしいことでもあります。

 スタイルズのように率先して取り入れる人こそ少ないものの、あなたはあなたが好きなものを身につけることができるのです。もし、それを批判する人がいたとしても、きっと社会がそれを許さないはずです。

Source / ESQUIRE NL