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婚約指輪は、ただのジュエリーではありません。2人の関係を次の段階に進めるための大切な証であり、たくさんの写真が撮影されたり、周囲の注目を集めるものです。
そんな婚約指輪の歴史は、実は古代ローマにまでさかのぼります。このジュエリーが、どのようにして現在の婚約指輪の形になったのか、そして何世紀にもわたりスタイルがどう変化してきたかを見てみましょう。
1477年
米国宝石学会(GIA)によると、古代ローマでは象牙、火打ち石、骨、銅、鉄などでつくられた指輪が、「ビジネス契約の証や、相互の愛と服従を確認するため」に女性に与えられていたそうです。
1477年には、オーストリアのマクシミリアン大公が花嫁であるブルゴーニュのマリアのために注文したダイヤモンドリングが、現在の婚約指輪の発祥と言われています。
1525年
「ギメルリング」とは、2つまたは3つの輪を組み合わせて1つの指輪にしたものです。婚約後、男性と女性がそれぞれ片方の指輪を身につけ、結婚式でその輪をつなぎ合わせて、花嫁は1つになった指輪を身につけます。
キャサリン・ボラ(写真)とマーチン・ルーサーは、1525年の結婚時にこの指輪を選びました。
1901年
婚約指輪は1840年代にアメリカに上陸しましたが、当時はまだ比較的珍しいものでした。
エドワード朝時代(1901~1910年)には、可憐で凝ったディテールのデザインが特徴的で、ほとんどの指輪は大きなダイヤモンドを中心にしており、宝石職人の目標は、できるだけ多くのダイヤモンドを1つの指輪にはめることでした。そのため、小さなダイヤモンドがレースのような装飾のフィリグリー細工などに散りばめられていました。
1910年
この頃、婚約指輪の宝石として最も人気があったのは、古いヨーロピアンカットのダイヤモンドでした。ハンドカットのラウンドストーンは、世紀の変わり目から1930年代まで人気を博しました。
1920年
1920年代は、ファッション、アート、そして婚約指輪のスタイルにもモダンの波が押し寄せました。
アールデコのスタイルが登場すると、エドワード朝時代の複雑な飾りがついたデザインに代わり、ダイヤモンドとカラーストーンを組み合わせ、1つの大きな石を中心とした角度のついたラインが採用されるようになりました。
1922年
アッシャーカットのダイヤモンドは、1920年代に最も人気のあったスタイルのひとつです。
1902年にアッシャー家が開発し特許を取得したこのカットは、エメラルドカットに似ていますが、ダイヤモンドをより鮮やかに見せるためにより幅が広く、より大きなステップファセットが特徴です。
1925年
この頃、ダイヤモンドとカラーストーンを組み合わせたアールデコ調のジュエリーが人気を集め、婚約指輪のセンターストーンにはダイヤモンドではなく、サファイアやエメラルド、ルビーなどが使われることが多くなりました。
1930年
世界大恐慌の影響で、多くのカップルが質素な婚約指輪を求めました。その結果、スタイルはシンプルに、石も小さくなりました。
1939年
婚約指輪の素材にはプラチナが広く使われていましたが、第二次世界大戦が勃発し、戦争のためにこの材料が必要とされるようになりました。
1940年
40年代のファッションは、少ないものを使って多くを表現することが重視されていました。これは婚約指輪も同様で、宝石職人は小さな石を補うために葉や花、リボン、ハートなどの複雑なデザインを指輪に加えました。
1942年
また40年代はまだプラチナが不足していたため、指輪の装飾やバンドの素材にはイエローゴールドが主流となりました。
1945年
1940年代半ば、余裕のある人たちの間では、クッションカットやひとつはめの宝石を使ったグラマラスなジュエリーが流行しました。
この写真では、ルシル・ボールがデジ・アーナズとの結婚生活で身につけていたクッションカットのリングを披露しています。
1948年
1948年に、ダイヤモンドの卸売会社「デビアス」が“A diamond is forever(ダイヤモンドは永遠の輝き)”というマーケティングキャンペーンを開始しました。
これはダイヤモンドが、永遠の結婚の象徴であることを世間に伝える効果を狙ったものです。
1950年
「デビアス」のマーケティング活動が功を奏し、1950年代に入るとダイヤモンドの婚約指輪の売上が急増。ダイヤモンドの指輪でプロポーズする習慣が定着していきました。
この頃の主流は、センターストーンにダイヤモンドのサイドストーンをあしらったものでした。
1953年
ジャクリーン・ケネディがアメリカのファーストレディになる前から、世間は彼女に注目していました。よって、ジョン・F・ケネディが贈った婚約指輪は、そのまま婚約指輪のトレンドに大きな影響を与えました。
手の込んだ「ヴァン クリーフ&アーペル」のリングには、エメラルドカットのダイヤモンドとエメラルドの石がセットされ、リーフ型のダイヤモンドが寄り添っていました。
1954年
この1950年代のジュエリー広告に登場するモデルが、結婚式当日のJFKとジャクリーンにそっくりなのは偶然ではありません。2人の結婚を機に、エメラルドカットのエンゲージメントリングが流行するなど、華やかさへの関心が再び高まっていきました。
1955年
裁判所でシンプルな式を挙げたジョー・ディマジオとマリリン・モンローの婚約指輪は、ダイヤモンドのエタニティリングでした。
プラチナに36個のバゲットカットダイヤモンドをセットしたこの婚約指輪は、その後大流行しました。
1957年
エリザベス・テイラーの3番目の夫マイク・トッドは、「カルティエ」の29.4カラットのエメラルドカットを贈り、これまでの夫たちに差をつけました。
この指輪は、60年代に入っても続くエメラルドカットリングの人気を確固たるものにしました。
1960年
60年代は、明るく輝くダイヤモンドを見せることが重要視されていたため、その結果、モダンな印象を与えるシンプルなシルエットが人気となりました。
テッド・ホワイトがアレサ・フランクリンに贈った婚約指輪は、このトレンドのシックなシンプルさをよく表しています。
1966年
フランク・シナトラがミア・ファローにプロポーズする際に用意したのは、9カラットのしずく型のセンターストーンに先が細くなったバゲットカットのサイドストーンがあしらわれたダイアモンドリングでした。
2人の結婚生活はわずか2年で終わりましたが、その後の10年間、しずく型ダイヤモンドの人気が高まりました。