『メンズクラブ』ではロンドン、ミラノ、パリをはじめ、ニューヨーク、そして東京でスナップを実施。ここでは洒落者たちに、自身のスタイルを形づくっているアイテムの数々を見せてもらいました。

-in Milan-

Domenico Gianfrate
PTトリノ ディレクター

ミラノのスナップ
Massi Ninni
上下ネイビーでそろえた洗練されたコーディネート。程よくゆとりのあるシルエットが上級者の貫禄を醸し出します。第4ボタンまで外し胸元を大胆に見せるスタイルも、この鍛えられた身体だ からこそ生きてくるテクニック。ベルトとシューズはブラックで統一し、とことんスタイリッシュに。

イタリア人らしい色気のあるカッコ良さで『メンズクラブ』でもおなじみの、ドメニコ・ジャンフラーテさん。ファッションブランドのエージェントとしてキャリアを積み、PTトリノのディレクターに就任してからもメキメキと業績を上げ続け、国内でも注目されている人物です。

ファッショニスタとしても知名度のあるドメニコさん。クラシックでもカジュアルでも上品かつ独特の存在感で着こなす姿は、説得力も抜群。今回はぜひとも参考にすべき、ラギッド&エレガンスなシャツスタイルを披露してもらいました。

ミラノのスナップ
Massi Ninni
張りのあるコットンリネンを使ったミリタリーシャツにオフホワイトのパンツを合わせ、柔和な色調で統一した品のあるカジュアルスタイル。「ぼやけた印象になりがちなベージュ系のコーディネートでは、サングラスやシューズに濃色を選び、メリハリをつけるのがポイントです」と、ラフにまくった袖やさりげなく見える素足に大人の色気を感じさせます。

PROFILE
南イタリア・プーリア州ロコロトンド出身。パンツブランドから急成長しているイタリアンブランド、PTトリノのディレクター。業界に入る前までは、サッカー選手だったという経歴の持ち主。マルチブランドエージェントのオーナーでもある。

ドメニコさんのワードローブ
ワードローブ
-in Tokyo-

Christopher Berry
コンサルタント・モデル・ライター

東京のスナップ
Cedric Diradourian
90年代のウィリス&ガイガー製サファリシャツにブライスランズのグルカショーツ、ユケテンのスリッポンを合わせたコロニアルスタイル。「蒸し暑い日本の夏には、こうしたサファリルックがぴったり。涼しく快適ですし、タフで洗濯にも強いですからね。流行を問わない私の定番スタイルです」

トラッド、クラシコ、ヴィンテージと実に幅広い装いを愛好するベリーさん。「NY出身ですので、東海岸トラッドには深い親しみを感じています。一方、私の母はかつてフィレンツェで油絵の修復に従事していました。時には対価として、当地のサルトが仕立てた洋服を受け取っていたそう。私の雑食的な嗜好は、そんなところに由来するのかもしれません…。

そして今、私はミックスカルチャーの街・東京に住んでいます。この地での刺激は、私のスタイルをさらに磨いてくれると信じています」

東京のスナップ
Cedric Diradourian
2020年にソブリンでオーダーしたブレザーは、ヴィターレ・バルべリス・カノニコの6プライウール製。「ブライスランズのチノパンにオールデンのローファーを合わせた東海岸スタイルですが、仕立ての柔らかいブレザーやカモシタのパイル地ポロでリラックスした雰囲気も意識しています」

PROFILE
マンハッタンで育ち、ペンシルバニア大学で日本語の修士号を取得。アーモリー、ポール・スチュアートを経て、2019年に日本へ移住。現在は服飾企業のコンサルタントを務めながらモデルとしても活躍。WEB版Esquireでコラム「Scent of Japan 」も連載中。

ベリーさんのワードローブ
ワードローブ

-in Paris-

Clarent Dehlouz
フレンチ・トロッターズ創立者・クリエイティブディレクター

パリのスナップ
Manabu Matsunaga
「特別なディナーなどに行くときはきちんとジャケットを羽織り、胸にポケットチーフを差し、エレガントな格好を心がけています」。ジャケットとジーンズはボリオリ、ポロシャツはフレンチ・トロッターズ、靴はジェイエムウエストン。

洋服の着こなしだけでなく、ライフスタイルすべてのセンスがいいクラランさん。「僕にとって、パリジャンシックは地中海のリビエラスタイルとパリのベーシックスタイルをミックスすること。イタリア・フランス映画『L'eclisse(太陽はひとりぼっち)』やフランス映画『La piscine(太陽が知っている)』の世界観が大好きです。

ボリオリのスーツやジャケットにジーンズ、Tシャツや天竺編みのポロシャツなどシンプルなものを合わせる…エレガントをちょっと何かで崩すのが好みです。旅行はすべてのインスピレーションになるので、欠かせませんね」

ワードローブ
Manabu Matsunaga
クラランさんはアンティークカーのコレクター。2台持っているうちの1台、アルファロメオでパリをドライブする週末のスタイル。トップスはフレンチ・トロッターズの半袖セーター。黒と白の2枚を所有しているお気に入りの一枚。なんてことのないシンプルな装いなのに洒落て見えるのは、素材選びやサイジングにきちんとこだわっているからでしょう。

PROFILE
1981年ニース生まれ、パリ育ち。シンプルでいながらモダンなものがあるとパリジャンに人気のセレクトショップ「French Trotters」を創立。2005年にバスティーユエリアにオープンし、北マレに2店舗展開。

クラランさんのワードローブ
ワードローブ

-in New York-

Dan Snyder
コリドー デザイナー

ニューヨークのスナップ
Nao Fukui
「ジャケットだと堅苦しくなりがちだから、少しフォーマルにしたいときでも僕は断然カーディガン派なんだ」というダンさん。この日の着こなしはコリドーのクロシェカーディガンにピルグリムのTシャツ、そしてアウトドアシューズとしても人気の高いキーンのシューズをミックスしています。

柔らかな雰囲気を醸し出すクロッシェや花柄のモチーフなど、フェミニンで優しげなアイテムをスタイルに取り入れるのが得意なダンさん。

「女性っぽい雰囲気のアイテムを取り入れるのは好きなんだ。スポーティーなスタイルとそれらをミックスすることもある。さまざまなテイストを怖がらずに受け止めて、バランスよくまとめることで独自のスタイルを生み出せると思っているよ。自然からインスパイアされた柄や色をふんだんに取り入れるのも、今の気分なんだ」

ニューヨークのスナップ
Nao Fukui
「夏はやっぱりライトカラーでまとめたくなるよね」というダンさんは、コリドーの上下デニムにケースイスの白スニーカーを合わせるというスッキリとしたスタイリングを披露してくれました。花や植物といった自然の柄を取り入れるのも、彼ならではのセンス。「人間も自然の一部だからね!」と言います。

PROFILE
ブルックリンを拠点に2013年よりブランド「コリドー」をスタートしたダンさんは、元FBIという異色の経歴の持ち主。手始めに自分の服をすべてカスタムメイドしてみたところ、高い評判を得たことで真剣にファッションの道へと歩むようになったそうです。

ダンさんのワードローブ
ワードローブ

-in London-

Oliver Dann
アーティスト

ロンドンのスナップ
Swan Yumiko
最近の大のお気に入りが、このチョアー・ジャケット。厚手のリネンの感触と「暖かいイエロー」とでも言う色味が個性的。このジャケットとシャツはドレイクス。ジーンズは70年代ヴィンテージのリーバイス505。オーロラのラウンド・トゥのハーフ・ブーツと合わせて、小粋なアーティスト風コーデ。

オリバーさんはロンドン在住のアーティスト。物腰はソフトですが、クリエイターらしい美意識の高さも感じさせます。

「やはり40代になると、1年や2年で着なくなるものではなく、じっくりと気に入ったものだけ、ワードローブに加えていきたいもの」とのこと。「ブランドや価格にはこだわらず、ヴィンテージやストリート・ファッションもうまく取り入れるが基本であって、クオリティが高くて長持ちするものをコレクションしたい」と言います。この辺りの哲学は、まさに英国人的と言えるでしょう。

ロンドンのスナップ
Swan Yumiko
ノータイのスマート・ルック。これはオリバーいわく、「クラシックと流行りが絶妙に融合」と評するドレイクスのアイテムでコーデ。カラフルなチェックのジャケットにデニム生地のシャツ、そこに白ジーンズを合わせ、素材はモダンに。ですが、シェイプはクラシックに…。赤い靴下でつくるアクセントが、実に英国風です。スウェード靴はロークのもの。

PROFILE
1979年5月6日英国バーミンガム生まれ。リーズ大学卒。クラシックなアイビーやプレッピーを基本に、ヴィンテージ・アイテムやハイストリート・ショップのアクセサリーを上手にコーディネート。“スマートな自由人”という雰囲気をつくることに長けた洒落者。

オリバーさんのワードローブ
ワードローブ

Photograph / Massi Ninni(MILAN), Cedric Diradourian(TOKYO), Manabu Matsunaga(PARIS), Nao Fukui(NEW YORK), Swan Yumiko(LONDON)
Coordination & Text / Minako Shimada(MILAN), Hiromitsu Kosone(TOKYO), Masae Takanaka(PARIS), Momoko Ikeda, Shoji Sano(NEW YORK), Dugan Iori, Masatoshi Mori(LONDON)
Edit / Mikiya Otsuka