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アルフレッド・ヒッチコック監督はこれまで、極めて鋭い視点から映画に対する想いをこめた発言をしています。ですがその中でも、「映画の長さは、人の膀胱(ぼうこう)がどれだけ我慢できるか?ということに直結させるべきだ」というコメントほど、納得できるものはないでしょう。
かつては、『2001年宇宙の旅』や『ドクトル・ジバゴ』のような長尺映画には途中休憩があり、アメリカではこの間にトイレに行ったり、ポップコーンを買ったりすることができました。ですが、最近の『アベンジャーズ/エンドゲーム』のような3時間を超える長編映画にはこのような休憩時間はなく、トイレに行かずに観終えようと思ったら、しばらく水分を抜くほかありません。
そうです、映画の最適な長さとは100分間ぐらいではないでしょうか。この長さであれば、作品の世界に十分入り込むことができるだけでなく、飲み食いなしでも問題なく、夜に見た後に何か他のことをする時間もあるというものです。
そこで今回は、100分以内で鑑賞可能な名作映画の数々を紹介します。
『スタンド・バイ・ミー』(1987年日本公開)
1890年にアメリカのエジソンがキネトスコープを発明し、1895年にはフランスのリュミエール兄弟がシネマトグラフを発明して以来の歴史の中、これまで数えることなど到底できない数の映画が手がけられてきました。
多様性の時代ではありますが多くの男性にとって、こちらの『スタンド・バイ・ミー』は思い出の名作のリストの中に入っているはずです。幼少期の青春時代をユーモアとシリアス両面で描かれたこの物語は、わたしたちを幼少期へとタイムスリップさせてくれるのです。
大人に憧れ、どこか背伸びしてしまう姿や、まだ知らない世界が世の中にはたくさんあることについて触れたシーンは、長い年月が経った今でも共感できるはずです。そして何よりも、友人との友情はかけがえのないものであることも再確認できることでしょう。
1人で鑑賞してもよいですし、家族や友人と一緒に鑑賞しても楽しめる良作です。
上映時間:89分
『トランスポーター』(2003年日本公開)
今や世界で最高峰のアクションスターとして君臨ジェイソン・ステイサム。そんな彼の代表作である本作。高級車を運転して、クライアントから依頼されたものを届けるというシンプルなあらすじですが、さまざまな障害が主人公・フランク(ジェイソン・ステイサム)の前に立ちはだかります。
フランクは自分の仕事に対して、「契約厳守」「(依頼者の)名前は聞かない」「依頼品を開けない」の3つのルールを守っていましたが、本作ではある理由でそのルールを破ってしまいます。
カーアクションが満載の本作は世界中で高い人気を誇り、シリーズ化されました。スーツ姿でクールにハンドルを握るジェイソン・ステイサムの姿には、男のロマンが詰まっています。
上映時間:93分
『ホステル』(2006年日本公開)
ヨーロッパを楽しく旅していたはずのアメリカ人バックパッカー二人組が、スロバキアのある田舎町で宿泊したホステルをきっかけに、不気味な出来事を体感してしまうという物語。
彼らはホステルで美女二人組と相部屋になり、さまざまな誘惑を通じて浮かれた気分に。ホステルで知り合った他の宿泊客が次から次へと行方不明となる中、彼らも事件に巻き込まれていきます。
ある日、ふと目をさますとなぜか監禁部屋に拘束されていることに。不気味な足音が近づく中、彼らが目にしたのは多くの器具を持つ怪しげな男性。
自由に使えるお金が無かった学生時代などに、海外のホステルを利用された方なら共感できるかもしれない要素が含まれた本作。痛々しい拷問シーンがあるため、苦手な方は要注意です。
上映時間:94分
『HUNGER ハンガー』(2008年日本公開)
スティーブ・マックイーン監督の初の長編映画は、政治的な非難を招いたあるハンガーストライキをめぐる物語を、その中心にいた人々の人間性に焦点を当てながら描いたものです。
ボビー・サンズ(マイケル・ファスベンダー)は、IRAの2度目のハンガーストライキのリーダーであり、政治犯の立場を取り戻そうと仲間たちと奮闘します。
一番の見せ場はモーラン神父(リアム・カニンガム)がサンズと議論を戦わせる17分間の長回しシーンでしょう。2人は共同生活をしながら1日15回もこのシーンを練習をし、5回目のテイクでついに成功させたとのことです。
上映時間:96分
『96時間』(2009年日本公開)
タイトルが『96時間』であるだけに、本当に90分前後で鑑賞できるのかと思われる方も少なくないことでしょう。
本作は、アメリカ・カリフォルニアに住む元CIA工作員のブライアン(リーアム・ニーソン)が、別居中の娘キム(マギー・グレイス)がフランス・パリ旅行中に誘拐されてしまったことを知り、犯人を追いかけるという物語です。
キムを助けるためには、96時間以内に見つけ出さないといけないと犯人から告げられるブライアン。少ない手がかりを元に犯人に迫りますが、さまざまなトラブルが発生します。
娘がなぜ誘拐されたのか? そして、その目的とは? と、ブライアンと共に鑑賞している私たちも謎を解きたくなるでしょう。リーアム・ニーソンの代表作のひとつである本作は、高い人気を誇っており、その後2作品制作されました。アクション満載の映画を好まれる方におすすめしやすい作品です。
上映時間:93分
『キャビン』(2013年日本公開)
あらゆるホラー映画を脱構築する本作には、このジャンルに定番の展開(若者たちが手がかりを探すためにグループに分かれる、など)やキャラクター(少し間抜けなスポーツマン、ドジなチアリーダー、だらしない薬物常習者など)が詰め込まれています。
想像もつかない大きな力によって巧みに操作されていることに気づいた彼らは、黒幕たちをこらしめようと奮闘します。面白くもあり、スリルを体感できる作品で、20代のクリス・ヘムズワースも出演しています。
上映時間:95分
『バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち』(2013年日本公開)
第86回アカデミー賞(2014年)のアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞に輝いた本作は、世界最高のアーティストたちと同じステージで歌いながらも、ほとんどの聴衆たちにその名を知られることのない過小評価された才能たちに迫ったドキュメンタリー作品です。
名声と富を間近にしながらも、しばしばこれらを得ることがなかった優れた歌手たちにスポットライトが当てられており、愉快で温かく、ときに物悲しい作品です。
ローリング・ストーンズのバックシンガーであるリサ・フィッシャーの、「有名になるためなら何でもする人もいますが、私は歌いたかっただけです」という言葉が印象に残ります。
上映時間:90分
『ドン・ジョン』(2014年日本公開)
本作はハードコアポルノが若い男性のセックス観や恋愛生活にどのような影響を与えるかについての挑発的で洞察に富んだ映画です。
内容はとにかく面白おかしいものとなっており、ジョセフ・ゴードン=レヴィットやスカーレット・ヨハンソン、そしてジュリアン・ムーアら演技派俳優たちが熱演しています。
『インセプション』や『ザ・ウォーク』など、数々のヒット作品でクールな演技をもたらしてきたゴードン=レヴィットですが、本作でのユーモアな演技を見ると、彼がいかに才能のある俳優であることが分かることでしょう。
上映時間:90分
『ハドソン川の奇跡』(2016年日本公開)
2009年にアメリカ・ニューヨークで起こった、奇跡的な生還劇として知られるUSエアウェイズ1549便不時着水事故、通称“ハドソン川の奇跡”と、その後の知られざる真実をクリント・イーストウッド監督が映画化したのが本作。
不時着水事故が起きた2009年当時、私たちの多くがそのニュースをテレビで目にしたことでしょう。ハドソン川に浮かぶUSエアウェイズの機体の姿が印象的ですが、事故発生前に一体何が起きたのかについて忠実に描かれています。
本作の事故直前のことに加えて、機長を務めていたチェスリー・“サリー”・サレンバーガー(トム・ハンクス)の人物像についても触れており、彼がどのように副操縦士ジェフ・スカイルズ(アーロン・エッカート)との絆を築いていたのかも分かる内容となっています。
上映時間:96分
『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』(2020年日本公開)
本作は第93回(2021年)アカデミー賞のアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞に輝いた映画で、まさに今見るべきチャーミングな1本です。
その内容は、映画製作者でフリーダイバーのクレイグ・フォスターが南アフリカの藻場で1匹のタコと1年間を過ごし、少しずつ信頼関係を築いてこの軟体動物の世界に誘われていくというもの。
とは言え、海中の世界はビートルズの『オクトパス・ガーデン』のように素朴でのんびりとした世界ではなく、そこにはサメが回遊し、多くの危険が迫っているのでした。
上映時間:85分
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Source /Esquire UK
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です