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【遊び・体験編】消費するハワイ旅から、活かすハワイ旅へ。コロナ後、“本当のハワイ”再発見
旅のトレンドである「学ぶ」も、しっかりと押さえているハワイ観光。この地の懐の深さを、ここで再確認しましょう。
世界的な広告代理店であるWunderman Thompson Intelligence(ワンダーマントンプソンインテリジェンス)が中心となって毎年発表しているグローバル・トレンドレポート「The Future 100」、その2022年度版のTravel & Hospitalingのカテゴリーの中でトレンドワードとして取り上げられている“Academic adventures(アカデミック・アドベンチャー)”。
現在加速する旅のトレンドの中でも、「エスクァイア」も太鼓判を押す旅のスタイルです。「アカデミック・アドベンチャー」とはつまり、“学び・研究する旅”。近年では、名だたるホテルブランドもリゾート内の自然を巡りながら環境について学ぶツアーを提供しています。
さらには、米国公共ラジオ放送(NPR)は2021年8月に旅行専門サイトを立ち上げ、そこで専門家がガイドする“教育旅(educational trips)”を提供し始めるなど、この動きは世界中に広がっているのは確か…。そんなタイミングでエスクァイア日本版は、歴史と豊かな大自然を擁するハワイに改めて注目しました。このアロハの地には、今知るべきさまざまな学びが体験ができるスポットがたくさんあります。
コハナ・ケア(KoHana Kea)
“アグリコル・ラム”の生産現場を巡る
とにかくおいしいラム酒の生産現場を見学しつつ、飲み比べしたいなら「Kō Hana Distillers(コハナ蒸留所)」へ。ここでは、樽熟成せず自然な味を楽しむことができる透明なラム酒「KEA」、は樽熟成タイプの「KOHO」、ハワイ産カカオとハニーをブレンドした「KOKOLEKA」の3種類が存在し、それを飲み比べるが可能です。
名前の“Kō”は「サトウキビ」を意味し、“Hana”は「仕事」を意味します。ちなみに3種類のうちのひとつ、“KEA”は白を意味するハワイ語です。
ハワイの地固有のサトウキビから造る、世界的にも稀有なラム蒸留所「コハナ」(2015年創設)、ハワイ産業の象徴のような存在と言えるでしょう。ワイナリーがブドウを大切にするように、彼らはサトウキビの品種を大切にしています。
ここでは、そんなハワイの心を受け継ぐ固有種のサトウキビ畑からラム酒の生産過程まで見学できる上、試飲という絶好の学びが体験できます。
“アグリコル”とは、フランス語で「農業」を意味する形容詞です。
「ラムと言えば、モラセス(砂糖になる部分を採取したあとに残った廃蜜糖)から醸造する“インダストリー製法”がトラディショナルな製法であり一般的です。ですがここでは、100%サトウキビ・ジュース(写真)からつくっています。これを“アグリコル・ラム”と呼んでいますが、手間がかかるためラム全体の2%ほどしか製造できていません」と語るのは、創設者のロバート・ドーソンさん。
コハナ・ケアは原材料のサトウキビを、古代ポリネシア人が持ち込んだ数種類の“固有種”に限定。サトウキビの種類によるのはもちろんのこと、収穫された時期(3~4か月ごとに素材を変える)によっても、またエアコンを使わない常温塾成法のためその年の気温によって発酵の具合が変化するなど、味のバリエーションがとてつもなく豊富です。
ハワイ固有種のサトウキビのみを原材料としたこの地ならではのラム酒を味わったら、しばらくふつうの市販品には戻れない気がしたほど風味が豊か。
ドーソンさん(写真)は、元某IT企業のエリート技術者。そのときからアグリコルに興味を持ち、いずれもっと直接的に関わりたいと思っていたそう。2008年、息子さんが5歳になり、育児により適した土地への移住を考えるように……。そうしてハワイを候補にしたそうですが、「移住するのならその土地に貢献できなければ意味がない」と考え、研究者気質の彼は子育て同様、ハワイに最も適した農作物とは何かをさまざまな研究者に聞き取り調査し、最終的に「(ハワイの)サトウキビをよみがえらせたい」と語る文化人類学者ノア・リンカーン氏(スタンフォードPhD)に教えを請うまで突き詰めたのだとか。
古代ポリネシア文化と密接に結びついたサトウキビ農業は、近代プランテーション化され、その後南米産などの安い砂糖に押され1990年代に完全に途絶えてしまいました。「一度失われてしまった固有の文化・農業を、取り戻したい」という思いが貫かれた生産現場を“体験”することは、文化の多様性を維持することの難しさを知る場もであります。
Kō Hana Distillers
住所:92-1770 Kunia Road, Kunia, Hawaii (Exit 5 off of H1)
電話:808-649-0830 (ツアー予約はHPもしくはメールにて akoha@kohanarum.com)
営業時間:11:00-17:00
https://www.kohanarum.com/
クラロア・ランチ(Kualoa Ranch)
大人も子どもも大自然を満喫
ハワイと言えばおなじみの遠足先、「クアロア・ランチ」。広大な土地で乗馬やジップラインなど、多種多様なアクティヴィティを体験できる、絶好の牧場。コオラウ山脈の中にあり、もともとこのエリアはカメハメハ大王が住んでいた聖地で、4000エーカー(約500万坪)=東京ドーム約450個分もあるためにわかに信じられませんがすべて私有地です。
欧州からの入植者が、カメハメハ大王に貢物としてプレゼントした牛が繁殖しすぎて環境を破壊。そのため王はメキシコからカウボーイを呼んで牧畜技術を学びました。
その後アメリカの東海岸からの宣教師がハワイに来て、ハワイ人に当時のモダン治療方法(人間のための現代医療)を教えに来ました。カメハメハ大王のアドバイザーになりました。信頼され、大王の友人にもなったので、クアロアの土地を購入できたそうです。牧場になる前にサトウキビ農場をし、1850年にクアロアの土地を譲り受けたもののサトウキビがうまくいかなかったため、1860年ごろに牧場を始める代わりに、管理を任されたことが牧場の始まりです。
乗馬や牧場体験、シークレットアイランドツアー、ジップラインなど老若男女問わず楽しめる多様な体験がそろっていますが、それだけでなく、ハワイの食文化に欠かせないタロイモ収穫(写真)など、 学習型のツアーも用意されています。
この牧場で育てた牛などの肉は、クアロアランチ敷地内のファーマーズマーケットで買うことができます。しかし、ここで養殖した牡蠣はその美味しさのせいで争奪戦が繰り広げられていて、地元の料理店も仕入れが困難だそう。出合えたらラッキーと言えます。
1850年創立で、現在の社長で6代目。「私有地だからこそ切り売りされずに、自然が維持できていると思います。もしそうでなければ、ワイキキのようにディベロッパーに進出されていた可能性が高い」と語るのは、ここで働く遠藤アキラさん(写真)。
牧場の歴史を説明してくれた遠藤さんが所属するのは、「自然管理部門」。これまで30年続けてきた外来種の駆除などハワイの自然本来の形を維持する業務に、さらに力を入れるべく3年前に専門部署化し、より現代的な方法で一層の生態系維持に励んでいるそう。
ここは映画のロケ地としても有名。『ジュラシック・ワールド』などのブロックバスターもの(写真)や『50年目のファーストキス』などのロマンスものまで、今も残る実際のロケ地や映画セットを背景にセルフィが可能です。
かつてツアーに使われていたバスは、町中で実際に走っていたトロリーや軍のもらい受け車両(現在使用されているものは本土から輸入された特注品)。今はそういったヴィンテージ車両はバッテリークーパーに展示してあり、第二次世界大戦ン時代の救急車とPinzgauer製のジープがあります。ヴィンテージカー好きなら思わず、エンジンルームや運転席を覗いて見たくなってしまうかもしれません。
雨が降ったら……という心配はありますが、例えばワイキキの乾季(5~10月)晴天率は92%(ナショナルウェザーサービス発表)。雨が降ってもすぐにやむ、“いい天気”が当たり前だからこそ1日はこんな場所でアクティブに過ごしたいものです。
Kualoa Ranch
住所:49-560 Kamehameha Hwy, Kane’ohe, HI 96744-5152
電話番号:808-237-7321(電話でツアー予約をした場合は要サーチャージ$15)
営業時間:8:00-18:00
https://www.kualoa.com/
イオラニ宮殿(Iolani Palace)
ハワイ王家と日本とのつながりに迫る
アメリカにおいて、唯一王族文化を持つハワイ州。同じく皇族文化を持つ日本との交流は長く、江戸時代ジョン万次郎がカメハメハ4世大王に謁見(えっけん)した際、「人口減少を防ぐためにも日本からの移住をすすめた」というのは歴史上有名な話です。
宮殿には、明治天皇から当時の7代目のデイビット・カラカウア王に贈られた有田焼(写真)や、旭日勲章を着けた肖像画などが残され、日本とのつながりを感じることができます。
なぜハワイに日系人が多く、日本の運転免許証が通用するほど親近感を持てる土地となったのか? 「ロイヤルコレクションtoジャパン ツアー」では、そのプロセスにも思いを馳せることができました。
また、なぜハワイの王族文化は途絶えたのか? その謎を解いていく過程では、「アメリカの併合」という名の侵略により人生を翻弄された「ハワイ最後の女王」リリウオカラニ(写真)の悲劇に胸打たれます。
その土地の歴史を知らずして、観光するなかれ。近現代のハワイ王国の歴史をイオラニ宮殿で学べば、ハワイ観光が充実かつ現代らしい旅になります。
Iolani Palace
住所:364 S King St, Honolulu, HI 96813
電話:808-522-0822 (ツアー予約はHPにて)
営業時間:11:00-17:00(ロイヤル~ツアーは毎週水曜日13:00)
http://www.iolanipalace.org/
TripadvisorでIolani Palace関連情報を見る
※この記事の館内写真は、特別に許可を取って撮影しています。通常は一部を除き撮影は禁止されています。
Kokua Foundation(コクア・ファンデーション)
サーフ音楽界のキングの環境保護活動に参加
ハワイが生んだ大スターであり、2000年代サーフミュージック界のアイコンでもあるジャック・ジョンソン(写真)。そんな彼が妻と一緒に2003年に立ち上げた環境保護財団、「Kokua Foundation(コクア・ファンデーション)」。
今も暮らす生まれ故郷のノースショアの自然を膨大な資産を投げうって保護してきた夫妻の財団が、このたびエデュケーションセンターを立ち上げました。
「コクア・ファンデーション」では、持続可能性を現地の学校が取り入れる際にコンサルティングしたり、6歳からの児童に環境について教えるプログラムを25の学校と提携して実施したり、シングルユース(一度きりの使い捨て)のプラスチックを減らすためのプロダクト開発など、その事業は多岐に及びます。
その後、2019年にハワイ北部ノースショアに8エーカーの農地と1エーカーの店舗用用地を購入。持続可能な農業と農産物販売機能をもつ「“聖地”のようなランドスケープにしたい」と言うのは、事業に参加するジャックの姪ジャクリーンさん(写真)。
「自給自足(という考え方)だと、自己完結してしまいます。そうではなく、この場所を人と人がつながり合うサステナブルな地域にしたいのです。そして、みんなのコミュニティセンターにできたらと願っています」とのこと。
売上は人件費などを除きすべて財団に還元し、さらなる保護活動に利用する予定だそう。
現在、月初めの第一土曜日(9:00~11:30)、この土地を開墾するボランティア作業“コミュニティ・ウォーク(Community Walk)”に参加できるとのこと。
地元の参加者優先ではあるものの、空きがあれば貴重な体験ができるチャンス。詳しくは公式サイト内にて。ウェブ予約も可。
Kokua Foundation
住所:66-249 Kamehameha Hwy, Haleiwa, HI96712
電話:808-638-5345(office)
営業時間:木金土 11:00-15:00
https://www.kokuahawaiifoundat...
カカアコ(Kakaako)地区のウォールアート
ハワイのストリート・アートに触れる
もともと倉庫街だった地域が近年スタイリッシュに進化し、若い人たちや観光客に人気のスポットとして名高いカカアコ地区。ここでインスタスポットとして有名なのがウォールアート。特にクック・ストリート沿いは、まさに「犬も歩けば……」状態。
ひとつひとつ作家名が明記されており、ストリートアートの集合というよりも、町自体を美術館として捉えているイメージ。描かれる絵も次々にブラッシュアップされているので、インスタでサーチして最新作も目的にするもよし、人気作品を探すもよし。お気に入りを見つけて記念写真を。